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もてぎ7時間耐久レース!
もてぎ7時間耐久レースウォーミングアップ

  250ccマシンで参加できる国内最大級のアマチュア耐久レース“もてぎオープン7時間耐久ロードレース”、通称“もて耐”。エントリーの大多数を占める国産マシンに混じって、オーストリアのKTM RC250を駆り出場するチームが5チームある。その中でも、なんと女性ライダー3名だけでエントリーしているチームを発見! かつて、外車+女性ライダーだけのチームはあっただろうか!? 編集部ではこのチームを今年のもて耐で最も注目すべきチームとして張り付き取材を敢行!

スタイリッシュな女性ライダーとKTMのマシンが
サーキットに爽やかな華やかさを振り撒く

  “KTM-NAKANO & G—TRIBE”は、KTMの正規ディーラーであるKTM中野(東京都中野区)とオートバイのサスペンション専門ショップであるG—TRIBE(神奈川県横浜市)が、タッグを組んで“もて耐”に挑戦するために立ち上げたプロジェクトチーム。このプロジェクトの最大の特徴は、ライダーに女性だけを起用しているところ。それも、レース経験を問わず“もて耐”に挑戦するための「やる気」があるライダーを起用しているということだ。

マシンのセッティング確認

  このプロジェクトに参加したのは、吉井花奈さん、行田純子さん、木村亜美さんの3名。吉井さんは、愛車であるKTM RC390を駆りKTMジャパン主催のシリーズ戦“KTMカップ”に出場しており、3人の中ではKTMのマシンを一番理解しているライダー。行田さんは、出産を機に5年以上もレースから離れていたが、レース経験が豊富でチーム内では一番頼りにされている存在。なぜなら、現在の250ccクラスの“もて耐”が始まる以前の排気量制限無しの時代の“もて耐”に600ccマシンを駆り出場していたという“もて耐経験者”だからだ。木村亜美さんは、1000ccのスーパースポーツを何台も乗り継ぎ、峠道を楽しんだりライディングスキルを高めるためにオフロードで練習をバリバリこなしているライダー。マリンスポーツも大好きで、ジェットスキーでは耐久レースの経験もあるという。また、いろいろなオートバイ雑誌等でも活躍しており「アミーゴ」の愛称で読者から親しまれているモデル兼ライターでもあるのだ。

練習走行で問題発生!?      
予備パーツが…???

  もて耐では、予選前日に参加者専用スポーツ走行(練習走行)が3本行われる。走行時間は、1本目が45分、2本目が90分、3本目は30分。今年はスケジュールの関係上、3本目の走行中に日没を迎えるため“もて耐”初の夜間走行が行われることとなった。このため、各マシンには鈴鹿8耐さながらヘッドライトとテールライト装備が義務付けられている。
  1本目の走行は、第1ライダーの吉井さん。慣れたマシンで颯爽とピットアウト。この時間は、タイムアタックではなくそれまでの練習で培ってきた走り方やライン取りを再確認するような丁寧な走行から始め、徐々にペースアップしていく事に徹する。順調に周回を重ね、トラブルも無く1人で45分を走りきった。「前回走った時のタイムまでは届かなかったのですが、マシンは足周りのセッティングが進んでとても走りやすくなっていました。体力的にも45分間連続走行でも問題はありませんでしたので、決勝でもこのくらいの連続走行は問題無いと思います。明日の予選では、今日の走りの悪かったところを修正してタイムアップに繋げたいです」(吉井さん談)

行田さんがライディング

 練習走行2本目の90分枠の最初の時間は行田さんがライディング。すり減ったバンクセンサーや革ツナギがレース歴の長さを物語る。与えられた45分を消耗したタイヤで乗り切った。

  2本目の走行は90分のロングラン。このため、第2ライダーの行田さんと第3ライダーの木村さんが45分ずつ走行することとなる。最初にコースインしたのは第2ライダーの行田さん。このチームの中でレース歴が長い行田さんは、余裕を持って周囲の動きを確認しながらゆっくりとコースイン。しかし、コースに入るとすぐさまアグレッシブな走りに豹変する。それでも冷静さを失わず、まだあまり慣れていないマシンの感触とコースの路面状況をしっかりと確認しながら周回を重ねる。
  走行開始から42分が経過した時、ピットインのサインが提示される。次の周、行田さんが予定通りピットイン。「タイヤが前後とも減ってきていたので、フロントもリヤもコーナリング中に外に逃げていくような感じでした。だからなのか、走行中にステップをけっこう路面に擦ってしまっていたんです。でも、新品タイヤに交換すれば問題ないと思います」。(行田さん談)
  次は第3ライダーの木村さん。木村さんは、ツインリンクもてぎでは四輪(オールドミニ)でのレース経験はあるが、オートバイでは初めて。この“もて耐”出場に合わせて急遽ライセンスを取得するなど初めてづくしで、本人も相当に不安やプレッシャーがあるようだ。ピットでは笑顔も見せていたが、普段よりもやや堅い表情が多かった。さらに木村選手には、身体的な不安要素があったのだ…。

メカとのコミュニケーション

 走行後、タイヤの減りによる操安性の不安をメカに伝える行田さん。メカとのコミュニケーションもバッチリだ。

マシンの状況やコースの路面状況を伝え素早く交代する

 次のライダーである木村さんに、マシンの状況やコースの路面状況を伝え素早く交代する行田さん。

緊急ピットイン!

 第3ライダーの木村さんが緊急ピットイン! なんと、シフトチェンジロッド部が外れた!

  木村さんも順調に周回を重ねているように見えた30分後、なんと緊急ピットイン!  ピットに緊張が走る。「シフトチェンジロッドが外れて、シフトチェンジが出来ない!」と木村さん。車体左側を見ると、チェンジロッドが垂れ下がっている。2コーナーからずっと5速で走ってきたようだ。どうやら練習走行時から、マシンを左にバンクさせた時にシフトリンクのピロボール下部が路面と接触しており、ついにここで破損してしまったようだ。予備パーツがあれば、すぐ交換してコース復帰できるのだが、チームにとっては予想もしていなかったパーツが破損してしまったため予備は無し…。最悪、3本目の走行はキャンセルしたとしても、翌日の予選までには部品を調達しなければ予選にすら出走できない…。そこでメカニックが動いた。ツインリンクもてぎから一番近いKTMディーラーに在庫している部品を買いに行くという。そのディーラーまでは早くても片道30分、往復1時間以上は掛かるが行くしかないのだ。
  メカニックが部品を取りに出発してから1時間強が過ぎた頃、パーツを持ったメカニックが帰ってきた!早速、破損したパーツと新品パーツを交換しマシン修復素早くは完了!
  だが、3本目の走行時間の終了予定時刻となってしまった…。しかし、ここでラッキーな出来事が!実は木村さんがピットインした直後、なんと2本目の走行が赤旗中断していたのだ!  それに伴いタイムスケジュールが約25分遅れとなっていたことが幸いし、なんとか3本目の走行に間に合ったのだ。

無惨に破損したシフトロッド

 無惨に破損したシフトロッド。ステップ突端に着いているはずのバンクセンサーも削られて残っていない…。相当、深いバンク角でコーナリングを行っているようだ。

もて耐のタイムスケジュール表

 今年のもて耐のタイムスケジュール表(隣のピットに貼ってあったものデス!)。予選落ちした時には、その日の午後から始まる4耐に出場となり、ゴールは日没後となる。

夜間走行に備えてヘルメットを磨く

 マシンの部品調達にメカニックが動いている時間に、夜間走行に備えてヘルメットを磨く。特にシールドは少しでも汚れがあると光を乱反射するので念入りに。

ラップ計測器を再度固定

 夜間走行に向けて、不要なトラブルを避けるためにラップ計測器を再度固定し直す吉井さん。気合いが伝わってくる。

予定通りのピットイン

 夜間走行を最初に走った第3ライダーの木村さんが予定通りのピットイン。次に第1ライダーである吉井さんに交代する。

  最後の3本目の走行は夜間走行。ヘッドライトの明かりとサーキットの照明を頼りに走ることとなる。日没となったことで路面温度や気温も下がり、走り易くはなっているが、どのライダーも不慣れな夜間走行で、サーキット中の緊張感が増す。そこでライダー3人の間で話し合いが行われ「夜間走行は3人とも少しずつ走る!」ということに決定。最初のライダーは先ほどトラブルでフルに走れなかった第3ライダーの木村さん。予定通りの周回をこなして第1ライダーの吉井さんに交代。さらにその後は第2ライダーの行田さんの予定だったのだが、吉井さんのライディング中にチェッカー…。これは、初めての夜間走行ということで2人とも想定していたタイムより遅くなってしまったために時間切れとなってしまったのだ。行田さんの夜間走行練習は無くなってしまった!
  しかし、この日の練習走行では部品の破損というトラブルはあったものの、ライダー全員が転倒もなく無事に終了したことが一番の収穫。ライダーそれぞれの課題も見つかった事により、明日の予選でそれぞれがいかの修正できるかがカギとなりそうだ。

吉井選手がピットアウト

 吉井選手がピットアウト。この時すでに走行時間の半分を過ぎていた…。

チェッカーフラッグが降られ走行は終了

 吉井選手のピットインを待つ行田さん。しかし、残念ながらチェッカーフラッグが降られ走行は終了。行田さんの夜間練習走行時間は無くなってしまった…。

写真&文/武田正衛

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