BBB MAGAZINE

  • 藤原かんいち電動バイク世界一周 夢大陸オーストラリア編

    2008.11.24 / Vol.31

    「ここは戦場か?」

CREDIT

    • ライター
    • 執筆

    藤原かんいち

    • 撮影

    藤原かんいち

    • バイク

    モトラ

VOL.31 「ここは戦場か?」[夢大陸オーストラリア - 番外編 -]

日本の約22倍もの広大な国土を持つオーストラリア大陸。日本人の持っているイメージは内陸の赤い砂漠、グレートバリアリーフを代表とする美しい海だが、北部は熱帯雨林の壮大なジャングルが広がっていることはあまり知られていない。

ナンバープレートが見えない...
深い砂でナンバープレートが見えない...

中でも大陸の最北端ケープヨークへ続く道は、密林の厳しい自然環境のため、舗装はもちろんまともな道は通っていない、川を渡らなくてはならない悪路だと聞いていた。ここまでは乾燥地帯「砂」との戦いだったが、ケアンズからは熱帯特有の暑さと川との戦いになりそうだ。
西本くんと仲間に見送られてケアンズを出発。
「さあ、行くぜっ」
マレーバを経由して二つ目の町となるマウントカーボンに到着。ガソリンスタンドでケープヨークまでの給油ポイントを確認する。
舗装が途切れると、道はクネクネと蛇行を始め、緩やかな登り坂になった。これまでは直線的な道路ばかり。周りの草木は熱帯林のものだが、日本の林道を走っているような気分になった。
標高が上がるにつれ森に遮られていた視界が開け、高台に出ると、密度の濃いまるで緑のジュータンのような熱帯林が眼下に広がった。そのジュータンの中を細い道がまるで糸のようにヒョロヒョロと延びている。
「ウへ~ッ、とんでもない道だなぁ、あれを走るのか!」
ジャングルを走っている自分の姿を想像すると、胸が熱くなった。

突然地面がガタガタと揺れ始めた

砂が深い
ジャングルなのに砂が深いというのは意外な発見

日のあるうちに目的地のロードハウスに着く予定だったが、思ったよりも距離があり、日が暮れてもたどり着くことができなかった。仕方なく道から少し入った空き地にテントを設営する。
道から丸見えだがほとんど車は通らない僻地なので、まあ問題ないだろう。ところがところが、さあ寝るかという時になって、突然地面がガタガタと揺れ始めた。
「なんだ!? なんだ!?」
驚いてジッパーを開くと、なんと、さっきまで走っていた道を大型の戦車や軍隊トラックが砂埃を巻き上げ走っているではないか...
「ど、ど、ど、どういうこと??」
そうか、おそらくアーミーが近くで演習をしているのだろう。それにしても戦車が公道を走るとは知らなかった。しばらくするとさらにパンパーン!と乾いた銃声まで聞こえてきた。ここは戦場か?
僕は何て恐ろしいところのにテントを張ってしまったんだろう。自分の悪運を恨んだ。
夜ではテントの移動は不可能、それどころか流れ弾が当たる可能性もある。こんなときは人間というのは全てをマイナス方向に考えてしまうようで、悪いことばかりを想像してしまう。
できる限り体を小さく折り曲げ(流れ弾対策のつもり)、子犬のようにおとなしく、夜が明けるのをジッと待つのであった。

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