BBB MAGAZINE

  • 藤原かんいち電動バイク世界一周 夢大陸オーストラリア編

    2008.11.24 / Vol.33

    「先に進めない...」

CREDIT

    • ライター
    • 執筆

    藤原かんいち

    • 撮影

    藤原かんいち

    • バイク

    モトラ

VOL.33 「先に進めない...」[夢大陸オーストラリア - 番外編 -]

先に進めない...

翌日、コーエン。翌々日の昼にケープヨーク行最後のガソリンスタンドがあるアーチリバーロードハウスに到着した。

橋もあるにはある
橋もあるにはあるがかなりヤバイ

ここから次にガソリンスタンドがあるバマガまでが約350km。燃費を最低のリッター40kmと計算して、10リットルあれば十分だな。まずはバイクの4.5リットルタンクを満タンにし、さらに携帯タンクに6リットル入れておく。これで400kmは走れるはずだ。
アーチリバーロードハウスからおよそ50km、道はメインルートは西海岸のウエイパへ続くルートと、最北端のケープヨーク岬へ続くルートの二手に別れる。
僕はもちろん右折。ここから道幅は極端に狭くなり、砂も深くなった。本格的な悪路の始まったことを肌で感じる。

ガタガタガタガタガタガタ...

馬で大陸を旅する
馬で大陸を旅する。一日どれくらい進めるんだろう

深い砂地を抜けたかと思ったら、今度は激しいコルゲーション(路面が洗濯板のようにデコボコしている)が始まった。
ガタガタガタガタガタガタ...
「あ、あ、あ、あ、う、う、う、う...」
スゴイ振動だ、歯をしっかり合わせていないと舌を噛みそう。モトラのタイヤが小径のため、路面のギャップをひとつひとつ拾ってしまうのだ。激しく暴れ、まるでロデオの暴れ馬のよう。振動でモトラがバラバラになるんじゃないか、本気で心配になる。
緩やかな下り斜面のカーブを曲がった瞬間だった。いきなり大きな川が目の前に現れた。
「おおおっ、これがあの噂のウェンロックリバーか。うぇ~っ、これを渡るのか、かなり深そうだな!」
偵察のためモトパンとブーツを脱ぎ、ズブズブと川の中に入って行った。歩いてみると場所によって多少の差はあるが、深いところは腰まで浸かることがわかった。これは、まともに行ったらモトラは完全に水没、オシャカだぞ。
川上の方がやや浅く、川を横断するように直径3,40cmの岩がいくつか並んでいた。もう少し岩を拾ってきて橋になるように並べれば、もしかしたら岩の上をバイクを押して渡れるかもしれない。そう思い岩を探したが、結局見つからなかった。
よし、それなら水深の浅いところを探そうと、川上へ、川下へ歩いてみるが、逆に深いところばかりだった。くそ~っ、諦めてバイクへ引き返す。全身ずぶ濡れで完全に意気消沈した。

「どうしよう、先に進めない」

ウェインロックリバー
車にモトラを載せウェインロックリバーを渡る

絶望感に打ちひしがれる。途方に暮れているところに2台の4WDが現れた。運良く一台は屋根に小さなボートを載せている。
そうだ! あのボートを貸りて、ボートにバイクを載せて川を渡ろう。あははは...簡単じゃないか、なんて頭がいいんだ。
自分勝手なアイデアに浮かれた僕は、急いで車に駆け寄り、ドライバーにボートを貸してくれと頼み込んだ。
「アハハハハ...それならボートなんて使わなくても、車の荷台にバイクを載せて渡ればいいんだよ」
「あっそっか、なるほど、それもそうだな...」
どうしてこんな簡単なことに気が付かなかったんだろう。自分のアホさ加減に苦笑い。
3人がかりで荷台にモトラを載せると、車はドアの3分の2くらいを川に沈めながら、まるで船のように波を立てて進んで行った。そしてあれほど苦労した川を、呆気なく渡り切ってしまった。
「良かった、これで先に進めるぞ」
お礼を告げて再び走り出すが10、20分と経つにつれて、モヤモヤした気持ちが沸き上がってくる。どうも気分がスッキリしないのだ。それはこれまでどんな悪路も自分とバイクの力で切り抜けてきたのに、今回は人の力を借りてしまったという後悔だった。
自力で渡る方法はなかったのか? 人の力を借りて渡ってそれで良かったのか? 自分の行動が納得できなくなってしまったのだ。
しかし、車で渡ったという事実を変えることはできない。あの方法しかなかったんだ、小さなことじゃないか、そう自分に言い聞かせて自分を納得させた、つもりだった...

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