モーターサイクルデイズ

ホンダスーパーディオ

ギリシャからネパールまでシルクロード横断の旅

  原付スクーターでギリシャからネパールまでシルクロード横断の旅。当時、原付スクーターで海外ツーリングをしている人はいなかったので、どこまでエンジンがもつかわからない、タイヤも現地では手に入らないので日本からギリシャに送り、バイクに積んで走ることにした。パキスタンのガンダーラ遺跡のあるタキシラという町に到着。旅も後半なので、早めにタイヤ交換しておくことにする。町でバイク屋探し。なかなか見つからなかったが、ようやく薄暗い一軒のバイク屋にたどり着いた。店には古いバイクが数台あるだけ、タイヤチェンジャーどころかタイヤレバーもなかった。日本の50年以上前の世界だ。


タイヤがはまらない

パキスタンのバイクはチューブレスタイヤを使っていないので、どうやったらはまるのかわからないらしい。

  いろいろやっていると近所の野次馬や友人たちも集まってきて賑やかになった。バイク屋はほとんどドライバー1本でこなし、どうにかタイヤ交換完了寸前まで漕ぎ着けた。しかし最後の最後、ホイールの溝にタイヤの端がうまくはまらない。パキスタンのバイクはチューブレスタイヤを使っていないので、どうやったらはまるのかわからないらしい。タイヤが変形するくらい力任せにやろうとしたので、あわててストップさせる。もう少しでとんでもないことになるところだった。んーこれ困った、タイヤに空気が入らなければ走れない。ここで旅が終わっちゃうぞ。まさか、たかがタイヤ交換で、こんな苦労をするとは夢にも思わなかった。

  諦めて、タイヤを持って町のタイヤ屋さんへ行ってみる。と言ってもオンボロコンプレッサーが1台あるだけ。タイヤの溝にオイルを塗って滑りやすくしたり、テープを貼ったり、試行錯誤。新しいタイヤに変えようとしていたが、使っていた古いタイヤの方が柔らかいので、前のタイヤに交換してみる。しかしそれでもはまらない。みんな親切でいろいろやってくれたが、結局どれもダメ。「いよいよ終わりか…」と天を仰ぐ。


タイヤ交換?が完了した

シューーーーーーーッ… ポン!!「えーーーっ、はまった!ウソだろ~!!」奇跡が起こった。

  日が暮れてきたのでホテルに戻ることにする。肩を落としているとホテルの隣の店のおじさんが「どうしたんだ?」と心配そうに声をかけてくれた。事情を話すとそれなら俺の友達の店へ行ってみようという。「どうせ無理だよ…」と思うが、親切に言ってくれるのでついて行く。着いたところは小さな小屋にタイヤが5,6本積んであるだけ。どう見ても見込みはなさそう。タイヤを渡すと、タイヤを2、3回ポンポンと叩き、エアを入れ始める。シューーーーーーーッ…  ポン!!「えーーーっ、はまった!ウソだろ~!!」奇跡が起こった。やった、これで走れる。旅が続けられる。ところがタイヤを見ると、古い方のタイヤがはまっている。「あははは…」なんだよ、元に戻っただけじゃん、この1日は何だったんだ?  思わず笑ってしまった、それでも走れるならいい。かなり減っているけど、このタイヤで頑張ってカトマンズまで走ろう。


ホンダ スーパーディオ50cc/パキスタン/1994年

ホンダ スーパーディオ50cc/パキスタン/1994年

  最後にお金を払おうとすると「いらない」という。そういえば、思い返すと今日回ったバイク屋とタイヤ屋、どこもお金を受け取らなかったな。苦労したけど、出会ったパキスタン人はみんな親切だった、タイヤを通じて温かい心に触れたことが何より嬉しかった。


スピードが出ない

それまでと同じ感覚でアクセルを開けているのに、スピードが出ない?

  原付バイク世界6大陸の最後が北南米縦断の旅。妻のヒロコとふたり旅ということから原付の中でも最も丈夫で、運転しやすいスーパーカブを選んだ。結局トータル5万キロ以上走ったのだが、トラブルらしいトラブルはほとんどなかった。さすが世界名車のスーパーカブだ。ところが一度だけ、予想外のことが南米アンデス山脈で起こった。

  地上絵で有名なナスカからアンデス山脈を越えて古都クスコへ。その途中4000m級の峠越えが2つ、この旅最大の難関だ。カブは粘り強くトコトコと坂道を登って行く。日本の峠は高くても2500m程度、それが4000mを越えたらどうなるのか、想像もつかないまま走り続ける。3000m、3500m、4000mと標高を上げてゆくほどスピードが遅くなる。これまでと同じ感覚でアクセルを開けているのに、スピードが出ないのだ。15km、10km…どんどん遅くなり、今にも止まりそう。同時に何だか僕の息も苦しくなってきた。さらに頭痛まで、まさかこれが噂の高山病か!?


バイクを降りてアクセルを開けながら歩く

バイクから降りると車重が軽くなり、動くので、それからは急坂になるとバイクを降りてアクセルを開けながら歩くことにする。

  なるほどそうか、空気が薄くなるとガソリンが濃くなる、それでエンジンが吹けないんだ。納得。しかし人間だけでなくバイクまで高山病になるとは思わなかった。まさかまさかの展開だ。

  最高速度は10~15kmがやっと、勾配が急になるとついに進まなくなる。バイクから降りると車重が軽くなり、動くので、それからは急坂になるとバイクを降りてアクセルを開けながら歩くことにする。そして傾斜がゆるくなるとまた跨る、それを繰り返して進んで行く。

  標高4500mを越える村で一泊することに。夜は高山病が辛くてほとんど眠れなかったが、翌日一度3000mまで降りると楽になった。その後再び4000mを越えても前ほどつらくない、どうやら体が順応したらしい。しかし人間と違ってバイクはそうはいかない(笑)ポケバイ並みに力の出ないカブを何度も押し歩き、時に1台をふたりで押し、どうにかこうにかアンデス山脈を越えたのであった。


ホンダ スーパーカブ50cc/ペルー/1998年

ホンダ スーパーカブ50cc/ペルー/1998年

ホンダ スーパーカブ50cc/ペルー/1998年02

ホンダ スーパーカブ50cc/ペルー/1998年02


それでは次回をお楽しみに!

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