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    2008.02.27 / Vol.01

    今こそ2ストに乗ろう! 〜スポーツ編〜

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今こそ2ストに乗ろう! 〜スポーツ編〜

今現在、国内で市販されているバイクは全て4ストロークエンジン(4スト)のバイクである。
  かつてはオートバイレースの最高峰クラスでも採用されていた2ストロークバイク。現在では環境問題等々さまざまなエミッションにより肩身が狭くなってしまっている。しかし、かつて全盛を極めた2ストロークの強みである"軽量でハイパワー"という大きな魅力に虜となってしまったライダーは多く、今でも絶大なる人気を誇っている。同等の排気量であれば4ストバイクよりも高出力を発揮し、さらに構造上軽量であることなど、純粋にスポーツするなら"2ストバイク!"と思えるほど"速さの魅力"が詰まったバイクだ。
新車は無くても中古車にはまだたくさんの2ストロークエンジン(2スト)バイクが流通している。新車では買えなくなっただけに、今こそ2ストバイクに乗ってみてはどうだろうか。

≫  2ストは速い!

2ストロークエンジンはその構造から小排気量でも高い出力を発揮する。4スト50ccのバイクが大体3.5馬力程度なのに対し、2ストローク50ccエンジンは倍の7馬力を余裕で越えていた。しかも2ストエンジンは軽いのも特徴のひとつ。「軽くてハイパワー」、それだけで2ストバイクが速いことが容易に想像できるハズだ。

  特に80年代中盤から90年代までの毎年のようにモデルチェンジが行われていた2ストレーサーレプリカバイクたちは、4ストの同じ排気量のバイクよりもハイパワーかつ軽量なバイクに仕上がっていた。そして実際の"走り"においても、ひとクラス上の4ストバイクを食ってしまうことが当たり前のように起こっていた。

その証拠と言ってはなんだが、当時のレースレギュレーションを見てみると理解しやすいだろう。例えば、85年から始まったTT--F1クラスでの4ストバイクの最大排気量750ccに対して2ストバイクでは500cc、TT--F3クラスでは4ストバイクの最大排気量が400ccに対して2ストバイクは250ccと、4ストバイクよりも遥かに少ない排気量の2ストバイクが同じクラスで走る=同等の性能を有すると認められていたということだ。そして、日本の最高峰のレースでも、排気量的に不利に見える2ストバイクは実際に常時トップ争いに加わっていたのだ。

≫  2ストは4ストに対抗できる!

また、我々により身近な公道仕様の市販車のスペックを見るとさらに分かりやすい。具体的にいえば、1988年当時の4スト400ccバイクの最速バイクであったCBR400RRが59馬力(乾燥重量162kg)。現在でも人気の高い250cc2ストバイクの代表格であるNSR250Rの最高出力は45馬力(乾燥重量127kg)。パワーウエイトレシオで比較すると、前者が約2.7、後者が約2.8となり、両者はほぼ同等であり互角。ゆえに、排気量的に約38%も少ない250cc2ストバイクが400cc4ストバイクに対抗できる性能を持っているという事にもなる。
  余談になるが、日本のような馬力規制が行われていなかった海外メーカーのバイクには、250ccで70馬力というまさにレース専用車のような高出力エンジンが搭載されていたモデルもあった(ちなみに、そのモデルに搭載されていたエンジンはスズキ製)。

≫  2ストは楽しい!

2ストエンジンのパワーは前述したが、ただ速いだけでなくさらにパワーのデリバリーフィーリングが、4ストとは一味も二味も違った独特なものであることもライダーが感じる速さに繋がっている。それは、最高出力を追求していくうちに4ストバイクと比べてピークパワー付近でのパワーバンドが狭くなり、出力特性がとてもピーキーとなっていたことだ。

  80年代のピーキーなバイクの代名詞であった、今でも大人気のヤマハRZ250の初期型では、約6000〜6500回転付近になると、ゆるやかに盛り上がってきていたパワーの伸びが一瞬落ち込み、次の瞬間、爆発的なパワーが炸裂! ハンドルをしっかり掴んでいないと身体が振り落とされてしまうくらい強烈な加速が始まる。

  軽い車体を活かしたスタート時の鋭いダッシュ力と、その後一瞬パワーが落ち込みエンジンがもたついていると思った直後のはじけ飛ぶような猛烈な加速感は、当時では"ハンマーで(勢い良く)叩かれたような加速感"と表現されていたほど。このエンジン特性を"2段発射ロケット"とも言われており、RZ250のエンジン特性をうまく表している言葉だった。その過激さこそ2ストの楽しさといえるだろう。

≫  2ストは進化した!

だが、そのピーキーであるエンジン特性を少しでもフラットにするために、進化することになる。要するに弱点とされていたパワーの谷や不足していた低速トルクを補うために、それぞれのメーカーが独自に考案した排気デバイスがニューモデルに装備されたのだ。その排気デバイスにより、低回転からの扱いやすさが増えた2ストバイクは、トータルでの速さにさらに磨きをかけた。このように高回転域での高いパワーを維持したまま、低回転域での扱いやすさも兼ね備えた特性を手に入れた"2ストの熟成バイクたち"の速さは、今や伝説となり語り継がれていると言っても過言ではないだろう。

≫  他にもたくさん!

2ストエンジンは、4ストエンジンと比較して、特にヘッド周りの構造がシンプルであるため、構成する部品点数が圧倒的に少なく重量も軽い。さらにオイル潤滑システムが大きく異なるため、潤滑させるオイル(2ストバイクでは「オイル交換」というものがない。ギヤオイル、エンジンオイルは燃料と一緒に燃焼させる。したがってオイルは「交換」するのではなく「補充」する。そういった意味では意外とメンテナンス性も高い!?)容量が少ない等で、クランクケースも小型・軽量にできるなど、エンジン単体でのメリットも多い。そのメリットを最大限活かして、エンジンを抱えるフレームなど車体全体も小型がすることができる。よって車体全体が軽量化できるなど良い事づくめだ。さらに、コンパクトなエンジンのためフレーム搭載位置の自由度が増し、より運動性能の高い重量バランスのバイクを作ることができる。
  このように、車体が軽量でハイパワー、このふたつのキーワードが"2ストは速い!"といわしめる大きな要素となっており、今でも魅力的なマシンであることは間違いない。また、2ストサウンドは4ストサウンドとは全く違うものでもある。好き嫌いは分かれるところだろうが、2ストが少なくなった今こそ、2ストサウンドがどんなバイクより目立つ事は間違いだろう。

オススメ2ストスポーツバイクラインナップ

1980年代のレーサーレプリカブームによって、当時サーキットを圧巻していた2ストレーサーマシンのレプリカが多数市販車として登場している。どれもレーサー直系の技術がフィードバッグされたハイテクマシンだ。排気量のバリエーションも多く、50cc~250ccにかけて多数のモデルが存在する。中にはGPマシンのフルレプリカとも言える、「RZV500」のような大型2ストモデルも存在した。

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