BBB MAGAZINE

  • 全国「旅ごはん!」バイク紀行

    2013.03.25 / Vol.39

    ドルチェの焼きカレー

CREDIT

    • ライター
    • 執筆

    藤原かんいち

    • 撮影

    藤原かんいち

    • バイク

    リトルカブ

愛車のリトルカブ
リトルカブと走り回り、日本全国各地のいろんな「旅ごはん」を食べ歩いた。

いま日本中にB級グル1ヶ月以上に及んだ九州の旅もいよいよ大詰め。九州から山口県へ渡るため、長崎から佐賀を通り福岡入った。そして関門海峡へ向かう。リトルカブを走らせながら「今日で九州も最後なのか、せっかくだから何かおいしいもの食べたいなぁ...」何にしようか、あれこれ想像を巡らせる。でもやっぱり一番好きな、洋食がいいよなぁメやご当地グルメが溢れ返っている。それぞれの町が町おこし等を目的に、志向を凝らした新しい名物を生み出しているのだ。おいしそうなメニューが目白押しで、それらを紹介するガイドビックも飛ぶように売れ、それを紹介するホームページやブログも数多く存在している。

旧門司関税
門司港には歴史的に貴重な建築物がいくつも残っている。これは旧門司関税。

気が付くと前方の標識に門司の文字。「おおっ、もうこんなところまで来ていたのか」。明治初期に開港、120年の歴史を持つ門司港は、明治や大正時代の建物がいくつもあり、門司港レトロとして多くの観光客を集めている。これまで何度か訪れているが、特にネオ・ルネッサンス調の木造建築が美しい、門司港駅は僕のお気に入り。国道からすぐだし、しばらく九州へ来る予定がないので訪ねてみよう。

酒蔵
国道の外れに酒蔵を見つけて行ってみると使われておらず、ひっそりとしていた。

国道の信号を左折。門司港駅へ行って見ると、な、な、なんと!工事中らしく全体がネットに囲われているではないか。あははは...思わず苦笑い。平成24年から大規模保存修理工事中が始まり、平成30年まで続くらしい。仕方なく、ハーバーの中心にある海峡プラザへ向かう。その途中、町のあちこちに「焼きカレー」と書かれたのぼりが目に留まる。そうだ、門司の名物は「焼きカレー」だったんだ。前回、食べようとしたが、時間が悪く食べられなかったことを思い出す。焼きカレーかぁ...いいな。よし、決まりだ。

関門橋
頭上にかかっている大きな橋が関門橋。そして対岸に見えているのが下関。

手に入れた「焼きカレーマップ」によると、焼きカレー歴史の始まりは半世紀前。明治から昭和のはじめ、海外との貿易港として栄えた門司港には多くの洋食店が建ち立ち並び、西洋と東洋を混在させたハイカラなメニューが誕生。そのひとつが焼きカレーなのだという。誕生の諸説はいろいろあるようだが、昭和30年代の門司港にあった喫茶店といわれている。店で余ったカレーをグラタン風にオーブンで焼いたところ、香ばしくおいしく食べられることがわかり、メニューに加えられたという。

日本最大級の歩行者用跳ね橋
門司港にある日本最大級の歩行者用跳ね橋。門司港らしい風景のひとつ。

現在はご飯の上にカレー、チーズや玉子などをのせて焼いた「焼きカレー」が主流で、門司港発祥のご当地メニューになっている。マップによると「焼きカレー」を出す店は21店舗、それぞれが個性的な焼きカレーを提供している。マップに店舗の写真と一緒にカレーの写真が出ているのだが、どれもおいしそうなのでどこにするか迷う。

きれいな棚田
海岸線が長く斜面が多い長崎では、きれいな棚田をたくさん見ることが出来る。

そこでまずは第1回焼きカレー倶楽部のコンテストで1位になった「BEAR FRUITS」へ行ってみると、外で10人程が並んで待っていた。やはり人気店だからなぁ。この様子だと30分以上待ちそう。今日は日曜日。ランチタイムだし仕方がないかな…

とりあえず他も見てみようと思い、町をブラブラ。のぼりの立つ店はいくつもあるが、ピンと来ない。結局、海峡プラザまで来てしまった。そこで「ドルチェ」という喫茶店風の店が目に留まった。マップには10種類以上のスパイスを入れ、3日間以上かけて煮込んだ自家製カレーにチーズをのせていると書かれている。値段も850円と手頃。窓から店内を覗くと空いている席があったので、そのまま入って行く。

ドルチェ
店構えはこんな感じ。僕は食べなかったけど手作りケーキもおいしいらしい。

席に案内されると「焼きカレー」を注文。店内は僕が高校生時代に通っていた喫茶店のような懐かしい雰囲気。15分ほど待つとグリルで熱々に焼かれたカレーが運ばれてきた。カレーの上に焦げ目の付いたチーズがトロリ。うまそう。カレーとチーズ、僕が好きな食材のベスト2が入っているので、それだけで自然と笑顔になる。

焼きカレー
見るからにおいしそうな門司名物の焼きカレー。焼きたて熱々を食べよう!
関門海峡歩行者トンネル
原付は歩行者用トンネルを歩いて関門海峡を渡る。ちなみに原付の通行料は20円!

「いただきま〜す!」「アチッチッチッ…」かなり熱々だ。そしてチーズが延び〜る(笑)。食べてみると濃い目のカレーとチーズがいいバランス。カレーは柔らかめでご飯によく絡む。カレーライスとドリアを一緒に食べているような、新しい味だった。量も適量でお腹いっぱい、大満足。最高の気分で九州のラストランチを終えることができた。

さあ、関門海峡へ向かおう!

九州の山道
九州の山道は車も少なくマイペースで走れる。自然が多くて気持ちが良い。

かんいち的採点表

あじ:

ボリューム:

値段:

焼きカレー 850円(税込)

~今回の旅ごはんinfo~

ドルチェ
住所:福岡県北九州市門司区港町6-12
TEL: 093-331-1373
定休日:火曜日
URL:http://dolce1373.sakura.ne.jp/

ドルチェ

~最後に藤原かんいちさんより~

3年間を越えて続けてきた「旅ごはん」ですが、今回が最終回となりました。いままでご覧いただき、誠にありがとうございました。偶然ですが、今回が第39回、まさに皆さんに心からサンキュー!です。

北は北海道から沖縄まで、いろんなものを食べました。改めて振り返ると、各地で食べたメニューのその時の風景と味がひとつひとつが蘇ってきます。もしこれまでに紹介した「旅ごはん」で気になるメニューがあったら、是非、バイクに乗って食べに出かけましょう。この連載がツーリングに出かけるひとつのきっかけになれば嬉しいです。そしてさらに、あなたが見つけたメニューを是非あなたの「旅ごはん」に加えてください。

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