旧車レストア #04(Vespa VNB2)

  今回は「旧車レストア編」の4回目をお届けしちゃいたいと思いまーす!
前回までの内容は、仮組みを終えてダメなところ&欠品パーツなどをリストアップした状態まででしたね。なので、今度はそういった部品などを手配したりする段になっているワケです。そうなってくるとパーツをどうやって探すか、どうやって欲しいパーツだと見極めるか、そういったことがキモになってくるんですよ。……ということで、そこいら辺を掘り下げていく第4話がスタートでーす!!

ある意味ここからが本気の一歩

  さて、じっさいにレストアを視野に入れている、もしくはレストアを始めているという方は、そろそろどんなレストアをするのか、そのレベルを決めていることでしょう。とくに段階が決められているとかではないので、自分のできそうなレベルを想定して取り組めばいいと思います。ハッキリと分類できるのって最上級ともいえる完全再現だけしかなく、それ以外は1品だけパーツが違うのも、手に入るならなんでも使うというのも、本人の気持ち次第ですからね。

  これまでにも言ってきてますけど、 自分のやりたいレベルによって"ほぼ純正でそろえなきゃいけない"とか、"リプロでもいいや"とか、"とりあえず付けばVNB2用でなくてVNB5用でもいいや"とか、人によってやることが違ってきちゃうワケです。  そこで重要になるのが「欲しいものが本当にほしいと思っているものかの判別ができる」ということ。

  いやぁ~、いよいよですね。ここら辺からレストアの深みにハマっていくワケですが、レストア道的には避けて通れない道ってヤツです。覚悟してくださいね(笑)。

まず始めないといけないのが勉強です。純正の正しいパーツであるかを判別できないと基準がハッキリしません。たとえ完全再現でなくても、忠実度はともかくオリジナルを意識するとしたならば、正しいパーツを基準としなければ"ここにリビルトパーツを使おう"とか、"ここは代替で流用パーツを探してみよう"といった判断もできません。それにそもそも"付いているパーツが正しいからそのまま使おう"とか、"このパーツは正しくないので探さなきゃ"といった判断ができないと始まらないワケですから。なので、ある意味ここからが本気の一歩だってことになるかもしれませんね。

正しい判断のためにすべきこと

正しく判断できるようになるためには勉強するしかないので、どうするべきかってところに踏み込んでみようと思います。で、そうなると教材が必要になるじゃないですか。そういう意味でマストと言えるのが該当車種のパーツリスト。それと洋書になるので読み解くのは大変だけど、テクニカというシリーズも役立つハズ。
  あとは実車を1台でも多く見る機会を作るほうがいいのと、イベントに行ったり、オーナーさんのところを訪ねたりするのが有効です。正しい部品や車両の知識というのは、自分の車両を見ているだけでは身に付きません。できるだけ多くの車両を見て、オーナーさんと話して情報交換をすることが大切なことなんです。そういう意味では"時間が許す範囲で画像検索してそれを見る"というのも効果ありです。
  とにかくいろいろな車両を見るようにして、そうするとなかにはオリジナルっぽい車両もあるハズなので、そういうのも含めてできるだけ数を見るようにしたいところです。そうして数を見ることでわかってくることもあるだろうし、こういう風にしたいといった参考となる要素も見つかる可能性があるワケです。
  勉強するにも、パーツを探すにも、オーダーするにも、良し悪し&正しいか否かを判別するにも、レストアに伴うパーツに関するアレコレは、すべてそういうネットや実車などを含めて数を見ることが一番効果的だし知識になるんです。数を見て、数をこなして、とにかくいろんな経験を積むことが大事。そしていろんな人と知り合うことが良い物を作る1つの方法だったりします

パーツリストの重要性

Vespa P200E

該当車両のパーツリストであればパーツの構成と部品番号がわかるので、レストアや修理などの際にマストとなる。ただし図版なのでわかりづらさもあるし、じっさいと違っていることもある。なので、すべてを信用するワケにはいかないけれど、レストアを始めるなら必ずそろえてから始めるようにしたい。場合によってはネットからダウンロードできるものもあったりするが、VNB2に関してはちょっと探した程度では見つからなかった。写真のように、パラパラと目を通すだけでも知識につながることがあるのでオススメ。

テクニカの重要性

Vespa P200E

テクニカは1~5までが車両解説的な内容になっていて、近年のモデルは未掲載となる。写真にあるテクニカ2がVNB2を掲載しているもので、もういっぽうがパーツリスト。テクニカに関しては、すべてが正しいかと言うと100%ではないと感じる部分もあったりするが、それでも世界的には教本的なものであり、一つの基準として認識されている。とくに"どこの部品は何のメッキだ"とか"どこは何色だ"ということが書いてあるので、それを調べながら作業を勧めていけば、そんなに大きく間違っていないものにはなるだろう

欠かせないのは探究心

  数を見て経験を積むことの重要性に触れてきましたけど、それっていわゆる"よく言われる当たり前のこと"であって、"なんでそれが必要なの?"ってところにポイントがあったりします。たとえ当たり前のことだとしても知らないのなら"なんで?"となるだろうし、もし知っていたとしても改めて自分が理解している理由と照らし合わせてみるとなにか新しい発見があるかもしれないじゃないですか。要はそうやって探究心を持ちつつ、レストアに挑むことが重要なんだと覚えておいてください。
  数を見ることで違いに気づければ、どっちが正しいとか、どれが正解かを気にするようになります。そして、ある程度は情報の平均化もできるでしょう。なにより正解を見つける1つの方法として早いというメリット……要はいろいろなのを見ることによって、「トータル的にこういうのが多いから、じゃあこれをちょっと調べてみよう」となり、それが正解を探す近道になるんです。
  作業を進めるにも、内容を良くするにも、一番の近道はとにかく細かなところまで調べようとする探究心。それと1人でも多くのベスパやレストアが好きな人たちと交流を持つということ、1台でも多くの車両を興味を持って見るということが大事です。漠然と見ているだけではなにも進まないし、なにも身につきません。
  ここのネジはどうなっているんだろう、ここにはどういう部品が付いているんだろう、自分のはこうだけどほかのはどうなっているんだろう……そういう気持ちがないと正解にたどり着くことが難しくなってしまいますし、やりたいレストアのレベルすら維持できなくなってしまうでしょう。

レバーの種類

VNB2の現役だった時代は法的な縛りも緩く、シャープレバーと呼ばれるレバー先端が球状になっていないタイプが使われていた。その後、転倒時などに危険という判断からレバー先端部を丸める法律ができたため球状となった。大きさの違いは、より安全に留意した結果。日本国内では車両運送法によって定められているため、やはり先端の丸められているレバーでないとNGだ。なお(写真1)はVNB2のシャープレバー、(写真2)が70年代目前のころに採用された小球タイプのレバー、さらに数年後は大球タイプのレバー(写真3)が採用された。ちなみに先端球のあるレバーは大小ともスモールのもの。スモールとは小型版ベスパの通称で、50cc〜125ccまでのエンジンを搭載していた。

インターネットだって有効に使いたい

Vespa VNB2フレーム じっさいにeBayでVNB2用のパーツ検索をしてみた結果がこちら。想像通り豊富に出品されているけれど、お目当ての部品に絞れないばかりか、リプロ品などもチラホラ
Vespa VNB2フレーム eBayでの検索結果から、たまたま発見したスピードメーターが雰囲気も悪くないので注目している。検索ワードを上手に選択して、お目当てのパーツを物色しよう

  世界中の人が利用しているインターネットは、部品を探すにも手に入れるにも有効な方法の1つ。言語の壁はあるけれど情報量はケタ違いだし、海外ネットオークション(写真4/ムゼオではeBayを利用することがあるそうだ)なら世界中の人が世界中でパーツを売買しているから探しやすい場所だと思ってかまわないだろう。
  国内ネットオークションでも気長に待てばお目当てのパーツが出ることもあるだろうけれど、数が違うので海外ネットオークションは無視できない。探したいものの車両名や形式、部品名などで検索してみると、表示されたもののなかには純正部品ばかりではなく、リプロだったり、サードパーティ製のものなども含まれていると思われるので、自分の設定したレストアレベルに合わせて選ぶとか、さらに絞り込んだ検索をするようにすればいい。もちろん選ぶ段には、それ相応の知識も必要だったりするけどね。
  ちなみにそうして探してみたらVNB2用の純正と思われるメーターを発見したので、ムゼオとしても注目しているとのこと(写真5)。じっさいメーターは欠品パーツだったりするので。
  それと国内外有名ショップのホームページをのぞいてみるのもありだし、可能ならそういうショップに直接行ってみるのもオススメ。オークションより高値なのは普通だけれど、あればかなりの確率で正しいものである場合が多い。ただし言語の違いでコミュニケーションが上手く取れず、間違った部品を手にする可能性を否定できない。そこは海外通販にありがちなリスクなので、踏み込むならがんばって克服するしかないかな。もちろん国内のショップであれば直接部品の相談もできるし、情報を直に入手できる場合だってあるので大きな魅力だといえるでしょう。   あと……ちょっと気になっていることがあって、今の時代の風潮なのかもしれないけど、だれかが言ったこと……たった1人の人が言ったことを確認しないまま、それを鵜呑みにする人がけっこう多いように感じるんですよ。まあ、それなりの関係があったうえで信頼しているんだと思いますが、やはり"つねに絶対"というのはなかなか成立しないと思うんです。
  どのモデルであれ、新車時の状態がどうだったかを知っている人から直接聞くことができる人はそういないハズですし、パーツリストも図版の使いまわしで実車の状態とは若干異なっている場合がたまにあるそうですよ。それから教本的に思われているテクニカにしても、すべての仕様を網羅しているワケではなく、イタリア生産以外のモデルについてはほとんど未知の世界だったりもするワケです。   なので誰かの話というのも1つの参考として、まずは聞いておいてから自分でも1度確かめるくらいでないと正解に近づけることが難しくなってしまいます。確かめ方も"本を見てほぼ同じことみたいだからOK"としてしまうのではなく、本もネットもオーナーさん同士の情報確認も、それも可能なら複数の情報確認までやって「1つ2つ違う意見もあるけれど、だいたい合っているみたいだからきっとこれが正しいハズ」というように、自分自身が確信を持てるところまで確かめてから判断するようにしたいです。
  なんでも疑ってかかれということではないんですけど、レストアのための車両に関する情報は可能な限り共有していくほうが同じ趣味人同士として有益です。なので仮に間違った判断をブログなどで発信してしまい、その内容が広まってしまうのは大きな問題です。それでも間違っていたり、勘違いがあった場合でも、わかったときに訂正するように心がけていくようにしましょう。そういったことも踏まえて、たとえ正しいと判断したことでも「これが正解」と言い切ってしまうのではなく、「自分が確かめたらこうでしたよ」といったニュアンスで情報の交換や発信するようにするのがベターではないかと考えます。

レストアで色まで再現するなら

前出のテクニカには純正色に特化した6番があって、シリーズはこれで完結となる。そのテクニカ6には塗料メーカーMax Mayer社の協力も得られ、歴代モデル(98/1946年〜ET3/1976年まで)のカラーナンバーおよびカラーサンプルがそろっている。そのためレストアで色まで再現するつもりならテクニカ6は欠かせない。ただしマックスメイヤー社の塗料は危険物という扱いとなり、国内で手に入れることが困難な状況。そのためカラーサンプルだったり、オリジナルペイントの車両や部品を手に入れて、それを元に調色してもらうことになる

Vespa VNB2フレーム マックスメイヤー社製オリジナル塗料。VBA(VNA〜VNBシリーズと見た目がほぼ同じで150ccエンジンを搭載したお兄さんシリーズ的なモデル)用に用意されたタッチアップなどの補修用塗料
Vespa VNB2フレーム テクニカ6の表紙はシリーズ共通のデザイン
Vespa VNB2フレーム 車名からカラーナンバーと色の名称が分かる
Vespa VNB2フレーム マックスメイヤー社のヒストリーも掲載
Vespa VNB2フレーム カラーサンプルが抜き出せてとても使いやすい

どんどん高まってきてますよ〜

  パーツをどうやって探すか、パーツを見極めるための勉強をどうするか、今回はそんな内容でお届けしましたが、ここからは勉強するのも手配したパーツが届くのも結果的に時間を要する段階に突入です。次回もレストア編でいけるかは、パーツの集まり具合にもよりますので、スミモトにもまったく分かりません。
  とは言え、今からレストアの今後の展開が楽しみで高まっているのも事実。みなさんもインターネットで画像検索しまくっていただき、ぜひ知識を増やしてワクワクしちゃってくださいね!

それでは次回をお楽しみに!