スモールで遊ぶ#02

  前回からスタートした「スモールで遊ぶ編」ですが、第1話では遊びのベースとしてオススメな50Sについて掘り下げています。その上で「サンデーレースを楽しむ」というのが、スモールでの遊び方でイチオシだったりしますよという内容でした。
  でも「いきなりレースっていうのは……」なんて声も聞こえてきそうなので、今回は一歩手前とも言えるストリート仕様のチューニング解説をしていきたいと思います。  それでは「スモールで遊ぶ編・第2話」、いってみよう!!

まずは"街向き軽チューン"から!

Vespa50S
可愛らしいルックス
お洒落なイメージ
そうした入口から購入するも
「遅い」や「調子が悪い」など
実用面で不満を抱える人も少なくないようです
そこでオススメなのが
実用性を高めるための"街向き軽チューン"
ま、ライトチューンってやつですね

  さてさて、普段乗りで「もうちょっとパワーが欲しい」とか「もうちょっと乗りやすくしたい」って感じた時、その解決策としてオススメしたいのが"街向き軽チューン"です。ただしあくまでチューニングなので予算が必要となるため、無理のない計画で取り組むようにしていきたいところです。
それでどんなことをするのかってところが気になりますよね? まず手を入れたいところってボアアップを含むエンジンまわり、それとブレーキを含めた足まわり。そこに絞って取り組むのが無理のない計画のためにも重要です。

「  え?  それってけっこう大がかりなチューニングメニューなのでは」って思われそうですけど、内容的にはライトチューンの範疇なんだと納得してもらえるハズです。それに今回紹介するチューニングメニューの延長に、サンデーレースを楽しむためのレーシングチューンがあるということも理解しておいてください。

  それにいきなりレーサー製作に踏み込むよりも、まずはスモールを題材としたチューニングがどういうことなのか、どんな効果があったり、どういうことができるのか、そこのところを勉強していくようにしたいと思っています。
  さらに"目指す遊び=サンデーレース"というのは街乗り仕様のままでも走れるんですけど、レースとなればそれなりにマシンを作っていくことになります。だからその手前にある"街向き軽チューン"なら、チューニングの意識として中間的な感覚でも捉えられるんじゃないかと思うんです。

◎スモールのバリエーション1◎

べスパカラーバリエーション

たくさんの種類があるということで前回ご覧頂いたスモールのバリエーションでしたが、それぞれがどんなモデルなのか、遊びのベースとしてどうなのかといったところを掘り下げてみましょう。 これらはムゼオの協力で集めることができたモデルバリエーションですが、仕様違いまで含めて考えるとあくまで一部でしかありません。この先もチャンスがあればご紹介していくようにしたいと思いますのでお楽しみに。

  日本では50Sのほうがスタンダード的なポジションとして浸透しているので、価格の安い50Rのことは廉価版と捉えられがちだったりします。でも実際は50Rがスタンダード的ポジションで、よりゴージャス仕様となるのが50Sであると理解してほしいところです。  大きな特徴として50Sの4速ミッションに対して50Rでは3速ミッションを採用(a)し、タイヤも50Sの10インチと異なり50Rでは9インチを採用しています。ほかにもサス(b)ハブ(c)が50Sとは異なっているので、すでに50Rを所有していて遊びのベースにしようというならありですけど、一から探そうというなら50Sのほうが断然オススメです!

エンジンまわりの街向き軽チューン

  ここからは具体的な内容に踏み込んでいくことにします。いったい"街向き軽チューン"では、どんなメニューでどんな効果を期待できるのか? そこのところを見ていくことにしましょう。  一応おさらいしておくと、普段乗りで「もうちょっとパワーが欲しい」とか「もうちょっと乗りやすくしたい」って感じたときの解決策が"街向き軽チューン"というワケです。突き詰めると「思うような加速が得られない」など、モアパワーを実現できれば大多数の不満が解消され、そして驚くほど乗りやすくなるんです。そのために手っ取り早く、かつ効果の実感しやすいチューニングメニューこそボアアップだと言えます。  ご存知のとおり、ボアアップすれば吸排気にも手をつけていくほうがベターです。しかしそこは"街向き軽チューン"なワケですから、無理をしないでじっくり進めていきましょう。たとえば今回ボアアップしたのなら、マフラーは来月、キャブレターはさらにその翌月というようにすれば、お小遣い制のお父さんでも無理なく取り組んでいけるのではないでしょうか。  それにボアアップしたところで、ジェットセッティングだけだとどこまでやれるのかといったデータ収集もできるので、考え方次第で楽しみながら自身の経験値も高めていくのにもってこいだと言えるでしょう。  それではエンジンまわりのメニューごと、効果や効能について掘り下げます。

【ボアアップ】

  どういう乗りものに仕上げたいかが大前提になります。"街向き"というところで考えると、基本は乗りやすくストレスなく走れるというのが最低限でしょう。そこそこの走りやすさと上まで回っていく感覚の両立を目指すとして、そのためには75~85ccくらいのボアアップKITが良さそうです。ちょうどノーマルの感じを残しつつ、ちょっと力強くなって回る感じも味わえます。  それよりもハッキリ体感できるパワーを求め、下からある程度の力強さも欲しいというなら100cc以上のボアアップKITですね。そうすると下の力がだいぶ増強され、加速感も向上します。  人によってはガンガン加速していく感じが疲れるという人もいますよね。だからマイルドな加速でノーマルより走りやすくするか、はたまた力強いほうに振るか、ただ排気量を上げればいいということではなく、それぞれに特性があるのでそれを理解して決定するようにしたいところです。  たとえば排気量が102ccでも、ポート形状によって性能も変わってきます。加えてボアが広がれば上が回らなくなる傾向にあるし、ほかへの負担も増えるためトータル的な寿命も短くなってしまいます。なので自分が求めるところがなんなのかを考え、用途と先のことまで加味してどういう特性に持っていくかを決めるのが理想です。そのため専門店などで相談してから、どんな排気量のボアアップKITにするかを決定するのが無難でしょうね。


【マフラー】

  ボアアップKITを組んだ後、増えた分の排気量にあったマフラーを選ぶようにしましょう。極端に太いものをチョイスしても、排気量が小さいままだとまったく使いものにならなかったりしますからね。  そもそもノーマルよりヌケの良さを期待してマフラーを変えるワケです。それでも比較的オールマイティなものが多いので、キャブセッティングでマッチさせればなんとかなるケースも多かったりします。  最終的な判断は、やはり専門店などで相談して決定するのがいいでしょう。例えば見た目で決めたとして、それでセッティングが合わない場合は諦めるか別のマフラーを買うしかないワケです。納得のいくところまで買い直し続けていけるのかと言ったら、恐らく大抵の人が無理じゃないかと思います。そりゃそうですよね。だからこそ専門店で相談して、情報やノウハウまで手に入れられるのがベターなんです。


【キャブレター】

  マフラー交換でヌケを良くしたなら、その分入口側も手を加える必要があるんです。そういう意味でセッティングを出すためのキモとなる部分でもあります。ジェットセッティングで調整し、それだけでは足りないというところで大口径キャブに変更したりするといった手順で行います。  排気量によってジェットだけで済む場合と、キャブ自体を大きくしないといけない場合とがあるワケですね。ただしそれは排気量とマフラーによって変化するので、やっぱりお店で相談するとか仲間やネットから情報収集して良さそうなところを試しながら探って決める作業が必要です。  ただ、決してチューニングメニューとして"排気量×マフラーの種類"からジェットの番数はこれでOKというようにはならないものなんです。それはどういじっているかによって状態が異なってしまうのが理由です。とくに排気量が大きいボアアップKITの場合にはケースを削ることになるので、その削り具合によって変わってしまうというのが要因です。そのため個々の状態に合わせたセッティングをやっていくしかありません。


【クラッチ】

  ボアアップKITを組むと、ほぼ十中八九クラッチが滑ってしまうんですよね。理由は劣化したクラッチ板がボアアップで増大したパワーを受け止め切れないから。なのでクラッチ交換はボアアップとセットくらいに考えた方がいいでしょう。  交換と言っても、ノーマルに組み込まれている純正のクラッチプレートで十分です。その際、ノーマルと同様にクラッチプレートを3枚で組む方法と、接触面を増やすために4枚で組む方法とがあります。つまりそのままではクラッチが滑ってしまうことを考慮し、消耗品であるクラッチ板をボアアップするタイミングでリフレッシュしてしまうワケです。


【その他】

  実用レベルとして"街向き軽チューン"に取り組むなら、エンジンまわりに関してはボアアップ、マフラー、キャブレター、クラッチに手を入れることで効果も費用とのバランスも悪くありません。それでもより高度なチューニングメニューについて考えるなら、電装やギア比を変えていくのが有効です。  たとえば電装を12V化してCDIに変更するといった具合です。軽いフライホイールがセットになっているので回転が速くなり、CDI化によって高回転にも対応できます。そして12V化で燈火類が明るくなり、夜間の安心度が飛躍的に向上します。

◎スモールのバリエーション2

   スモールシリーズとしては古いモデルであるプリマセリエの"らしい部分"を受け継ぎつつ、スモールのスタートとされる通称スモールフラップの特徴も垣間見えるモデルが50Nだと言えます。そういう意味ではベーシックなモデルだと判断することもできます。   一見50Sと同じデザインに見えるホイールながら9インチサイズのホイールを採用(d)していたり、ワイドレシオな3速ミッション(e)のためクロスしている4速ミッションよりも走りでハンデを感じてしまうシーンが多くなるハズです。9インチの場合、タイヤの選択も難しくなります。   こうした事情により持っているなら遊びのベースにするのもありですが、新たに車両探しからスタートするならやはり50Sをオススメします。

  ちょっと雰囲気の違う50Specialですが、ルックス的に角目(f)だったり、ノーズがプラだったりという差はありますけど性能面は基本的に50Sと変わりません。ちなみに撮影車両は4速バージョンですが、3速バージョンもあるので注意しましょう。  ハンドルまわりは四角いヘッドライトによってずいぶんと異なる印象に仕立てられていますし、125ccモデルのようなホイール(g)を採用してゴージャスなイメージも打ち出しているのが特徴です。  ともあれ50Specialの場合は希少車ですから所有していてベースにするというなら止めませんが、あえて50Specialを探してベースにしようというならけっこうハードルは高めです。そういう意味でもベース選びとして考えると50Sが無難だということになります。

足まわりの街向き軽チューン

  エンジンまわりに手を入れて望むパワーや扱いやすさを実現したら、今度はそれに見合う足まわりまでやっておくことで実用性&快適性にプラスして安心感も上乗せできます。絶対にやらなければダメという項目ではありませんが、足まわりまで手を入れることでトータルなスペックアップを実感できるようになります。  やはり予算もかかることなので「また月が変わってからにしよう」など、無理なく取り組んでいくことをオススメします。一つ手を入れたらつぎは月が変わってからというペース配分も、その間に乗ることで効果を実感できるメリットがあります。一気に組み上げるのも悪くないですが一つ一つの効果を体感するのは難しいので、自分なりの経験値を増やしていくには確実に前者のほうが有効だったりします。


【前後サスペンション】

  ちょっと硬めにしたいとか、微調整ができるようにしたいなど、セッティングの幅を持たせたいときはサスペンションの交換で対処します。もちろん乗り心地にも影響しますから、ただ硬くするのではなく調整できるもので自分の乗り方に合ったセッティングを目指すのが理想です。  コシの強さ、調整の幅など、種類もいろいろとあるので見た目の好みや予算と内容で判断すればいいでしょう。もちろん専門店や仲間から得られる情報も有効に活用したいところです。


【ブレーキ】

  50Sでは前後ドラムブレーキを採用しています。そこでブレーキの強化……というか効きを向上させるため、シューの材質(種類)やブレーキワイヤーを太いものに変えるのが有効です。  ブレーキワイヤーを太くする対処法はフロントブレーキ限定ですが、細いワイヤーでは握り込んだときに伸びてブレーキシューを広げる(ドラムハウジングに押し付ける)力が逃げてしまって効きが悪くなってしまいます。なのでワイヤーを太くすることによって、力を逃さず伝えることができるようになるんです。  またブレーキの強化というならディスクブレーキ化も選択できますけど、高額でハードルもかなり上がってしまうことから"街向き軽チューン"の範疇ではそこまでやらなくてもいいのかなっていう気がします。


【タイヤ】

  50Sの10インチ径であれば種類もあり、それぞれが性能と耐久性と見た目などをバランスさせた特性を備えています。なので好みや用途で選んで使用すればいいでしょう。  たとえば見た目の雰囲気重視で選ぶという方法もあるし、チューニングで向上した走りの質に合わせたハイスペックなハイグリップタイヤを選ぶという方法、それに価格で選ぶという方法だって構わないと思います。

今回はこれで終了!

「スモールで遊ぶ編・第2話」ではボアアップによるモアパワー達成を軸として、エンジンまわり&足まわりに手を入れることで乗りやすく扱いやすい方向に持っていくことができたと思います。ただしボアアップで排気量を変えた場合、必ず登録変更して合法的に楽しむようにしてくださいね!

それでは次回をお楽しみに!