小林ゆき完全レポート EICMミラノショー速報

  秋はヨーロッパで国際的なモーターサイクルショーが各地で開催される季節です。今年100周年を迎えるイタリアはミラノで11月6日から9日に開催されるEICMAミラノショーの模様を、長年、国際モーターサイクルショーの取材を続けている小林ゆきが、現地から速報します。

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EICMAミラノショーって?

ミラノショーは今年2014年に100周年を迎える、世界でもっとも歴史の長いモーターサイクルショーの一つです。その前身のイベントが始まったのは1901年のことで、実に113年もの歴史があるイベントです。
  EICMAとはイタリア語でEsposizione Internazionale Ciclo Motociclo e Accessoriの頭文字を取った略語で、日本語に直訳すれば「国際自転車/オートバイ/アクセサリー見本市」といったところ。日本では昔から「ミラノショー」の呼び名で知られています。
  オートバイだけの国際展示会は、ヨーロッパではフランスのパリサロン、ドイツのINTERMOT、イギリスのバーミンガムショー、あるいはアメリカを中心に北米やアジア圏の各国でも開催されていますが、ミラノショーが事実上、世界一の規模となっています。

年々、ミラノショーの規模は拡大され、とくに2005年からは新しいエキスポ会場にその場所を移転し、さらに展示面積を広げて出展者数も来場者数も拡大されました。

  展示面積 出展者数 来場者数
ミラノショー[2013年] 28万㎡ 1500社以上 55万人(6日間)
東京モーターショー[2013年]
(四輪トラック含む)
3万8239㎡ 178社 90万人(10日間)
東京モーターサイクルショー[2014年] 3万2600㎡ 122社 11万人(3日間)

  ミラノショーを、東京モーターショーと東京モーターサイクルショーで比較してみました。こうして比べてみると、いかにミラノショーがとんでもない規模で行われているかがお分かりいただけると思います。

今年の見どころ

国際モーターサイクルショーの見どころと言えば、「ワールドプレミア」と呼ばれる世界初公開のニューモデルたちです。

先に開催されたケルンのINTERMOTで発表されたカワサキのNinja H2Rに続き、ミラノショーで発表されることになっている公道仕様のNinja H2は、ティーザー広告の効果もあり、世界中で話題沸騰中です。そんなわたしも、今年のミラノショーの目的はH2発表の歴史的瞬間に立ち会いたい!という思いで渡航を決めたほどです。
また、他のビッグブランドもそれぞれニューモデルを発表しますが、それだけではありません。最近の傾向として、「オールドブランドの復活」が見どころとして挙げられます。ここ数年で復活したノートン(イギリス)、今年復活を遂げたインディアン(アメリカ)に続き、ミラノショーでは「マチレス」(イギリス)と「ブラフシューペリア」(イギリス)が出展することになっています。
それでは、ミラノショー直前情報の見どころを抜粋してまとめてみましょう。

HONDA [2015 VFR800X Crossrunner,]

ホンダのニューモデルとして投入されるのは、VFR800Xクロスランナーです。アドベンチャーのカテゴリーが熱い今日日、ホンダはV4エンジンをチョイス。カワサキのベルシス1000は直4、BMWの水平対向、アプリリアやKTMのV2など、アドベンチャーカテゴリーは様々なエンジン形式が出揃いました。多くがパイプフレームなどで構成されているのに対し、このクロスランナーはアルミツインスパーフレームとし、オンロード性能を高めています。アドベンチャーバイクブームに軍配が上がるのはどのメーカーのモデルなのか。人だかりがどれくらいあるのか、現場で確かめてきたいと思います。

HONDA [Forza125]

新型の125ccクラススクーター、Forza125。125ccクラスは、ヨーロッパの多くの国で高速道路や都市型高速を走ることができ、それに対応するべく高性能スクーターとして誕生したForza125の外観は“GTスタイル”にまとめられています。11.5リットルタンクと43.5km/l(WMTCモード)の燃費性能は、給油のストレスを軽減するということです。

YAMAHA [01GEN]

すでにドイツのケルンで開催されたINTERMOTで発表されたヤマハ01GEN。コンセプトモデルとして発表されました。01GENのパワーユニットは明らかになっていませんが、EICMAのサイトによれば、「T-MAXのプラットフォームを用いて……」との記述があり、これはひょっとするとトリシティの530ccバージョン? 高速道路も乗れる3輪型モーターサイクルとして市販されるのか?! 期待が膨らみます。

SUZUKI [GSX-R1000 ABS 2015・GSX-R1000S]

いよいよ来年2015年にモトGPに復活するスズキからは、GSX-Rシリーズの2015年モデルが発表になります。モトGPのマシン名称はついに「GSX-RR」となり、名実ともに“レーサーレプリカ”となるのか、新型GSX-Rに期待したいところ。また、ストリートファイター風というか、ちょっとグラディエーター風味も加わったネイキッドのGSX-R1000Sも発表になりました。ヨーロッパでは日本におけるカワサキのような、熱狂的なスズキファン、GSX-Rファンが多く、EICMAのスズキブースも多いに盛り上がることでしょう。

KAWASAKI [Ninja H2]

なんといってもショーの目玉は、このカワサキのNinja H2でしょう。INTERMOTでサーキット専用モデルH2Rが発表になりましたが、ミラノショーではいよいよ公道仕様のH2がお目見えとなります。昔から熱狂的なモトチクリスタ&モトチクリステがいるイタリアの地で、いったい彼らはどんな反応を示すのか。しかと見届けたいと思います。。

DUCATI [Ducati Scrambler]

ドゥカティの新型スクランブラーもまた、カワサキNinja H2に負けず劣らず、というか、こちらの方が大量にティーザー広告含め数か月前からプロモーションを開始していました。最初はマシンをチラ見せもせず、スケボーやサーフィン、野外フェスなどサブカルチャーと絡めて「楽しい! FUN!」を前面に出したティーザーで。徐々にマシンの姿を現し、様々なシチュエーションでの楽しみを提案した動画をこれでもかと発表し続けてきました。ザ・イタリアンであるドゥカティの新たな挑戦がユーザーの気持ちにハマるのか否か。速報ではその空気感をお届けしたいと思います。

Matchless Model X Reloaded

マチレスは1899年に創業したイギリスのモーターサイクルメーカーです。第二次世界大戦前にはノートンやトライアンフとともに世界のバイク界を席巻していましたが、たびたび身売りするなどして消滅していたメーカーです。1930年代にはモデルXが、また1960年代にはG50など名車を送り出してきました。今回の復活劇ではモデルXのReloadedということで、果たしてビンテージのイメージを踏襲するのか、それとも現代の技術を大いに盛り込むのか、注目です。

Brough Superior SS100

ブラフシューペリアはイギリスで1919年から1940年まで製造していたモーターサイクルメーカーです。映画『アラビアのロレンス』でも知られ、「モーターサイクルのロールスロイス」とも呼ばれます。そのブラフシューペリアが、現代の技術で蘇りました。特徴的なVツインのエンジン形式はそのままに、創立当時のモデルSS100の名を現代的に復活させました。

Photo&Text by KOBAYASHI, Yuki 小林ゆき

小林ゆき

  横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在フリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。普段は総合走行距離22万㎞に迫る愛車GPz900Rなどでの街乗り&ツーリング派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化について研究中。最近は二輪車安全運転指導員としても活動を始めた。海外の国際モーターサイクルショーには1996年のケルンショーを皮切りに、パリサロン、INTERMOT、EICMAミラノショー、上海二輪車ショー、シンガポールバイクショーなど各地で取材をしている。愛車はGPz900R、ZX-9R、スカラベオ250ie、TZR125、KSR110、リード100、ヴァナゴンGL。