2ストエンジン搭載&ハンドチェンジ機構など、ある意味で最もベスパらしい現行モデルなのがPXと言えます。ところがこのPXの終焉が噂されているのをご存知ですか?  そこで今回はそんなPXについて見ていく事にしましょう!

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最もベスパらしさを受け継いだハンドチェンジスクーターの完成形/Vespa PXシリーズ

Vespa PX
ベスパの歴史を紡ぎ、ベスパらしさを凝縮した現行モデルそんなPXシリーズが新車購入出来なくなる日も近い!?

  数年前からベスパ愛好家や専門店などで、ベスパらしさを色濃く残しているPXシリーズの終わりが近いんじゃないかといった話題が持ち上がっていました。それがここに来て、どうにも免れない事態となっているようです。

  ……と言うのも世界的に2stへの締め付けが強化され、全2輪メーカーを見渡しても2stエンジン搭載モデルの縮小が否めない状況なのは明らかです。そうした状況下ですから、愛好家や専門店からは「もはやPXに対してなんらかのテコ入れ……それこそオールΝewといえるほどの改革が施されなければ遅かれ早かれどこかのタイミングでPXの終焉もない話ではないだろう」というような話が絶えなかったワケです。それが今年になると、専門店が声を揃えて「これで最後」や「新車はもう買えません」という文句とともにPXの販売に力を入れているんです。

  ちなみにメーカーからも輸入元からも正式なアナウンスはありませんが、過去にもそうしたアナウンスのないままに様々なモデルが生産を終了してきた事実がありますので、輸入元に近い立場の販売店側ではなんらなかの情報をキャッチしているか、または販売店だけにはなんらかのアナウンスがされているのかもしれません。

◎70年分の歴史を感じられるベスパ、それがPX

  ベスパは1946年から市販が開始され、昨年で丸70周年を迎えています。その記念イベントが世界中で行われたりもして、愛好家達を熱狂の渦に巻き込む盛り上がりを見せました。

  そんなベスパの登場に際して、画期的と言えるポイントがいくつかありました。それは軽量で強度も十分に保たれたスチールモノコックボディの採用、左グリップまわりでクラッチ操作とシフトチェンジを行うハンドチェンジ機構の採用、タイヤ交換を容易に行えるよう配慮したフロント片持ち式サスペンションとスペアタイヤの常備、走行中に衣服を汚す事がないようレッグシールドを備えつつ女性が足を揃えて乗車出来るフラットフロアの採用などです。そしてこれら画期的だったポイントをそっくり引き継いで、70年という系譜の上に成り立っているのがPXなのです。

  なおPXシリーズのルーツとなるPシリーズから数えると、P/PXで今年40周年というとても息の長いモデルだと言えます。つまりPXシリーズはベスパの歴史上、その半分以上の歳月を担ってきたハンドチェンジモデルの完成形であるとも言えますし、もしも本当に終焉を迎えるのだとしたら最終形態であるとも言えるワケです。

  ベスパにとって最初の市販モデルは"98"というモデルで、排気量が98ccであるところから名付けられました(左)/70周年記念イベントは"ファブリカ1946"という名称で日本でも行われました。輸入元であるピアッジオグループジャパンのフランチェスコ・ファビアーニ社長が記念ケーキのろうそくに着火する瞬間を逃すまいと、この人だかりの山です(中)/PXシリーズのルーツは1977年に発表されたPシリーズで、愛好家にはお馴染みのTVドラマシリーズ「探偵物語」で松田優作演じる工藤ちゃんが乗り回していたベスパが正にP150Xでした(右)

何故にPXシリーズが終わりが近いと噂されるのか?

2000年代になってもというか、2017年の現代においてもなおピアッジオの「ハンドチェンジには2stである」という拘り
Vespa PX

  まずはハンドチェンジモデルの完成形であり、ベスパらしさを凝縮した現行モデルだと評したPXシリーズですが、ここでシリーズを取り巻く環境や背景についても触れておきましょう。

  現在のベスパはPXシリーズを除くと、4stエンジン×オートマチックユニットを組み合わせた"イマドキのオートマスクーター"ばかりというラインナップ構成です。例えば排気ガスに関する規制もその厳しさを増してきた現実を鑑みると、やはり時代の変化を感じ取りながら進化し続けてきた結果だと言えるでしょう。それでも敢えて旧態依然とした2stエンジン×ハンドチェンジによるPXシリーズをラインナップから外さないのは、ピアッジオ(ベスパの製造メーカー)にとってそれがベスパのルーツであるという拘りを持っているからではないかと想像します。

  決定的にそれを感じたのは、ベスパ生誕65周年を記念したPXシリーズの復刻モデルにおいて2stエンジンを諦めなかった事でした。当然、その当時の厳しい排気ガス規制であるEuro3規制をクリアしていましたから、業界的には激震と言えるほどのインパクトだったと記憶しています。しかし今後益々厳しさを増していくEuro規制。それだけに大方の予想ではピアッジオがどれほど頑張っても、2stエンジンに拘っていてはクリアしていく事が至難の業であるだろうとも言われていいます。このような現状と背景を踏まえた上で「そろそろPXの終焉が近づいているのでは?」というウワサが世界中で聞こえるようになってきたワケです。

【主要諸元】
PX 150/125 ※[  ]内は125

製造年2011〜
カラーグロスブラック、モンテホワイト、ドラゴンレッド
フレーム形式スチールモノコック
全長×全幅×全高1,780mm×745mm×1,110mm
シート高805mm
ホイールベース1,250mm
車両重量120kg
燃料タンク容量8L
燃料消費率--km/L
最高速度--km/h
エンジン型式・種類強制空冷式2ストローク単気筒
総排気量150cm3(cc)[123cm3(cc)]
内径×行程57.8mm×57mm[52.3mm×57mm]
圧縮比--:--
最高出力7.8 HP (5.8 kW)/6,000rpm[6.5 HP (4.8 kW)/6,000rpm]
最大トルク11.2 Nm/4,000rpm[9.5 Nm/4,250rpm]
吸気方式--
燃料供給装置型式キャブレター
点火装置--
電圧--
始動方式セルフ式 + キック式
2stオイル分離給油
クラッチ形式湿式多板
変速機型式常時噛合4速ハンドチェンジ式
ファイナルドライブダイレクトドライブ式
タイヤサイズ(F/R)3.50×10"/3.50×10"
ブレーキ形式(F)油圧式200mmディスク
ブレーキ形式(R)機械式150mmドラム
懸架方式(F)--片持ちリンクアーム油圧式サスペンション
懸架方式(R)--デュアルアクション モノショックアブソーバー