BBB MAGAZINE

  • 大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!

    2017.05.02 / Vol.35

    - page1 - ヒストリックモデル #10

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    隅本辰哉

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    隅本辰哉

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    Vespa

ヒストリックモデル編も、なんだかんだで第10回目となりました。そんな10回目を記念してというワケではないんですが、今回は世界で展開されていたベスパライセンスモデルの中から"光と影の国が生み出したスパニッシュ・ベスパ"を取り上げてみたいと思います!

Vespa スパニッシュモデル
吸気系式、点火装置、フレーム形状......ライセンスモデルらしくない仕様変更により摩訶不思議な雰囲気が漂うスパニッシュモデル
「Vespa160」ロゴ
フロントキャリヤの影になってちょっと確認しづらいと思いますが、フロントエンブレムは四角形状のピアッジオマークに「Vespa160」ロゴを採用しています。この「Vespa160」ロゴは本家イタリアンモデルにはないモデル名なのですが、イタリアで生産された160GSがある事から「160ccという排気量には何か意味があるのか?」と気になるところではあります

そもそもベスパとは第二次大戦後、庶民の復興の足として重宝されたという背景があります。そうした実績にあやかりつつピアッジオ(ベスパを生産するイタリアのメーカー)が世界で展開しようとしたからなのか、はたまたクルマよりも安く手に入れられる便利な実用車というウワサが広まったことでベスパの生産を希望するメーカーが跡を絶たなかったからなのか、ピアッジオはベスパの現地生産のためのライセンス契約を世界中の2輪メーカーと交わしていきます。
そうして契約を結んだメーカーの1社にスペインのモトベスパ社があったのですが、非常に資料が少なく、なかなか謎が解明できなかったりするメーカーであり、モトベスパ社の生産したベスパのラインナップも把握し難いところがあったりするのです。
そんなところがあるからこそ、ある意味でスペインを表現するのによく使われる"光と影の国"というフレーズが頭を過ぎってしまいます。......そう、光と影の国が生み出したスパニッシュベスパとは、どうにも謎多きベスパのライセンスモデルだったりするのです。

◎ピアッジオに許可され現地生産されたベスパ

スピードメーター
本家イタリアンモデルではオプションだったスピードメーターですが、ホフマンベスパ(ドイツ)にはドイツ・VDO社製メーターが標準で装備されていました
鋭角に尖ったウインカー
台湾製と思われるパーツを多用しているのがダンモータース(インドネシア)で、鋭角に尖ったウインカーは台湾製の特徴と類似しています

現地生産の種類として耳にしたことがあるかもしれませんが、模倣品と呼ばれるようなものを除いて大きくライセンス契約とノックダウン生産と呼ばれる方式があります。ベスパの現地生産を例に照らし合わせてみると、1940年代後半から欧州圏とアジア圏で現地生産されたベスパがその地域の人々の生活を支える実用車として重宝されるようになりました。
このころ現地生産された大半のケースがピアッジオとのライセンス契約によるもので、カンタンに言うとピアッジオの許可を得てベスパを生産していたワケです。ライセンス生産という方式では図面を元にピアッジオ・クオリティで作られていくワケですが、車体構成パーツの細かなモノを現地調達もしくは現地製造パーツでまかなうケースも多く、結果的に本家イタリアンモデルと少し異なる雰囲気のベスパが出来上がってしまうようです。

イタリアンモデルと異なる部分の目立つ変り種モデル

Vespa ハイエンドモデル
本家イタリアンモデルに当てはめれば180SSに相当すべきハイエンドモデルそれがスパニッシュモデル・Vespa160

さて、そんな謎多きベスパを生産していたモトベスパ社ですが、ピアッジオとは1952年にライセンス生産のための契約を軸として提携しています。それから35年間、熱き情熱の国スペインでベスパを生産し続けていましたが、1987年にその提携関係にピリオドを打ってしまいます。それでもモトベスパ社自体はその後も存続していたのですが、2003年になると51年という歴史に幕を閉じ一切の生産設備を閉鎖してしまいました。
いよいよここからは今回クローズアップするモトベスパ社のVespa160をご紹介していきますが、見れば見るほど実に面白いと感じさせるディテールを秘めています。その理由はライセンス生産モデルでありながら本家イタリアンモデルとはどこか違っている部分が目立つからです。
例えば年代と背景から判断する限り、Vespa160は本家イタリアンモデルの180SSに該当するモデルと思われます。ところがフォルムこそ似ているように見えるのですが、サイズも排気量も180SSに比べて一回り小さかったりします。しかもメインフレームは何かの流用ではなく、ライセンスモデルでありながら独自設計のように思えてなりません。しかもエンジンは単に排気量が下げられているのではなく、ロータリーバルブのケースを使用しているように見えますがキャブレター接続箇所が塞がれ、ピストンバルブ化されているという不思議仕様であるところも興味深かったりします。
さらにフェムサ製CDIが装着されているのも見逃せないポイントです。本家のハイエンドモデルですら1972年製のラリー200が登場するまでCDI化されていないだけに、いろいろと謎の多いモデルだと言えます。ただ残念ながらモトベスパ社、そしてモトベスパ社がラインナップしたライセンス生産モデル群に関する信頼できる資料を見つけられずにいるため、今後もモトベスパ社に関する謎の解明は継続していかねばと思う次第です。
なお海外での解説として「ボディは基本的にスプリントと似ていて、CDI化とピストンバルブ方式を採用するエンジン等、古いテクノロジーと新しいテクノロジーによるハイブリッドとなっています。そして3つのバージョンに分けられ、Vespa160は1969〜1973年の初期モデル。特徴として設定色がブルーのみで、フロントフェンダーとサイドパネルにアルミモールを装着していました」とあり、なぜそういった仕様なのかが謎であるというところから"奇妙なモデル"であるとしています。
ちなみに残り2つのバージョンとは中期モデルとなるGT160(1973〜1979年)、後期モデルとなるGTi160(1974年)になります。

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