BBB MAGAZINE

  • 大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!

    2015.12.01 / Vol.18

    ヒストリックモデル #05

CREDIT

    • ライター
    • 執筆

    隅本辰哉

    • 撮影

    隅本辰哉

    • バイク

    Vespa

ここのところスモールで遊ぶ編を集中的にやってきましたが、ちょっとここらでヒストリックモデル編#05をお届けしちゃいましょう。 クローズアップするのは125 Primavera(プリマベーラ)です。スモールシリーズの長兄的ポジションとして1965年に登場した125Nuova(ヌオーバ)の性能と利便性を向上させ1967年にデビューし、数度のモデルチェンジを経て2000年まで生産された長寿モデルだったりします。 今回はそんな125 Primaveraの変遷も含めて掘り下げて行きましょう!

125 Primavera登場の背景

Vespa 125 Primavera
Vespa 125 Primavera
世界から愛されてこその長寿モデル

今回ピックアップするヒストリックモデルは125 Primavera(プリマベーラ)というモデルですけど、「スモールで遊ぶ編#04」でちょっとだけ紹介していたりします。......そう、実はスモールベスパのバリエーションモデルの1つなんです。
通称でスモールと呼ばれるコンパクトなシリーズは1963年に登場し、当初は共通のボディに50ccと90ccというラインナップで展開されました。だけど次第にモアパワーといったニーズが高まったていったのでしょう。1965年には125Nuova(ヌオーバ)という125ccモデルが追加され、いよいよスモールシリーズが整うカタチになったワケです。 そして1967年になってヌオーバの後継機種としてプリマベーラがデビューしますが、キャブを大きなものに変更して左サイドパネルにボックスが追加されました。これによって性能と利便性が向上し、使い勝手も良くなったと言えます。
ちなみにプリマベーラは70年代半ばくらいにエンブレムデザインを意匠変更して、最終的に1983年まで生産されています。そこでこの意匠変更以前のモデルを第1世代、意匠変更以後のモデルを第2世代として分類することにします。 今回クローズアップするのは、そうした歴代プリマベーラの中でも第2世代となる125 Primaveraです。艶も十分に保たれたチャイナブルーの車体は、非常にいい状態で保存されていたことが伺える1台でしょう。

A MiyanoのVespa 125 Primavera
owner:A Miyano

正確な資料がないため厳密性には欠けますが、筆記体で始まったプリマベーラのエンブレムが70年代半ばくらいでブロック体へと変わります。なのでその辺りを区切りとして世代の分類をしておくことにしたワケですが、第1世代と第2世代の違いについて解説しておきましょう。 ただ第2世代への移行はいわゆるマイナーチェンジレベルの内容なので、主な変更点となると以下の4項目程度しかありません。なお本文でも触れていますけど、ヌオーバと比べてサイズアップされたキャブレターの採用によって走りが良くなっています。それとサイドパネルのボックスが標準装備されたことで、実用性も高められていたと判断できます。

◎第1世代プリマベーラ

フロントエンブレム:(第1世代)
125Primaver/第1世代
フロントエンブレム:(第2世代)
125Primaver/第2世代

フロントエンブレム
●レッグシールド前面の向かって左上辺りに装着されるロゴエンブレムは、"Vespa125"の流れ文字や筆記体と呼ばれるデザイン(第1世代:左)を採用。その後に排気量を表す"125"部分が省略された"Vespa"のみのブロック体デザイン(第2世代:右)へと変更され、グッとモダンな印象に変化しています

メーターパネル:(第1世代)
125Primaver/第1世代
メーターパネル:(第2世代)
125Primaver/第2世代

メーターパネル
●四角ピアッジオマークが入る白い盤面のVEGLIA製スピードメーターで、扇形状のものを採用(第1世代)。同形状かつ同色ながら盤面に入るピアッジオマークに違いあり(第2世代)。第1世代で見るとフロントエンブレムのピアッジオマークと異なっているので、デザインの移行期だったのかもしれません

エンジンフードのツマミ:(第1世代)
125Primaver/第1世代
エンジンフードのツマミ:(第2世代)
125Primaver/第2世代

エンジンフードのツマミ
●ツマミ部分を良く見てみると進行方向前側から後ろにかけて入っていた滑り止めの溝加工(第1世代)が、進行方向に対して直角方向に変更されているのが特徴となっています(第2世代)。ちなみに第2世代以降では、第3世代も含めて直角方向に変更されたデザインのものが採用されています

リヤエンブレム:(第1世代)
125Primaver/第1世代
リヤエンブレム:(第2世代)
125Primaver/第2世代

リヤエンブレム
●第1世代ではフロントエンブレムと雰囲気を合わせた流れ文字風デザインの"Primavera"が採用され、第2世代になるとブロック体デザインで"125primavera"を採用している点が世代別の相違点となります。排気量を表す125が第1世代ではフロント、第2世代でリヤというのもおもしろいなと感じました

ヒットシリーズのハイエンドライン

象徴的なバーエンドウインカー
スリークでシンプルなコクピット
象徴的なバーエンドウインカー

第2世代へと切り替わったプリマベーラに対し、それを追うように登場したのが第3世代となる125ET3 Primaveraでした。結局1976年からは第2世代と第3世代を併売というカタチで生産し続けていましたが、1983年になると第2世代も第3世代も世界的にモデルの終焉時期を迎えます。 しかし日本国内ではスモールシリーズ自体が爆発的にヒットしていたため、当時の輸入元である成川商会がピアッジオと懸命の交渉を重ねました。その結果1987年から2000年の間だけ、日本仕様とされるET3プリマベーラの再生産モデルが日本限定でデリバリーされたのです。
この年代にラインナップされていたベスパはスモールシリーズだけでなく、ラージシリーズのP/PXシリーズもありました。しかし当時のベスパについてたずねると"コンパクトなサイズ"だったり、"丸くてカワイイお尻"や"小ぶりなヘッドライトまわり"、それに"印象的なバーエンドウインカー"といった特徴が挙げられることから、人気の的だったのはスモールシリーズの方だったと推測できます。 中でもハイエンドラインとしてデビューしたプリマベーラはヘッドライトにステンレス製リムを採用して差別化をはかるなど、シリーズの牽引役として象徴的なモデルだったように思います。

【主要諸元】Vespa 125 Primavera

フレーム形式 スチールモノコック
全長×全幅×全高 1,665mm×670mm×1,005mm
軸距 1,180mm
最低地上高 225mm
シート高 --mm
車両重量 73kg(乾燥)
燃料タンク容量 5.6L
燃料消費率 50km/L
タイヤサイズ(F/R) 3.00-10/3.00-10
ブレーキ形式(F/R) ドラム/ドラム
懸架方式(F/R) シングルユニット
エンジン型式・種類 強制空冷2ストローク単気筒
総排気量 121.16cm3(cc)
内径×行程 55.0mm×51.0mm
圧縮比 1:8.2
最高出力 --kW[--PS]/--rpm
最大トルク --N・m[--kgf・m]/--rpm
燃料供給装置形式 Dell'Orto SHB19/19
始動方式 キック式
点火装置形式 ポイント
最小回転半径 1,650mm
Vespa 125 Primavera:左
Vespa 125 Primavera:右
アルミ地のハブカバー&グレーのサスペンションカバー
フェンダー上の特徴的なクレストは第1世代から踏襲され、アルミ地のハブカバー&グレーのサスペンションカバーは第3世代で黒になります
フロントのドラムブレーキ
基本的に第1世代と共通となるドラムのデザインを採用。ただし第3世代になるとハブ形状が変わるのと一時期だけPK風のデザインも存在
フロントのホーン部分
第1世代と共通イメージなホーンマウントの白っぽいベースゴムが特徴。ただしデザインと材質は時期によって異り、第3世代で黒いものに変更
ウインカースイッチ:左
ウインカースイッチは左に倒せば左ウインカーが点滅、右はその逆といういたってシンプルなもの。ハンドチェンジ機構は4速タイプとを採用
スッキリしたライトまわり
プリマベラは第1第2世代ともにキーレスタイプとなるため、ライトまわりがスッキリした印象。また共通でステンレス製ライトリムを装着します
ハンドル右部分のスイッチまわり
右下の丸ボタンがホーン、その上がライトのハイ&ロー切り替え、一番左のつまみタイプがヘッドライトON/OFF、右側面ボタンがキルスイッチ
格子柄のグリップとセミシャープレバー
格子柄のグリップ、セミシャープレバー(先端の玉が少し小さい)といった特徴のほか、印象的なバーエンドウインカーがルックス上のポイントです
ネイマン製ハンドルロックキー
ハンドルポスト下の右側に、ネイマン製ハンドルロックキー。楕円形状の飛び出たタイプでカバーも付きます。第3世代でザディ製のものに変更
スペアタイヤホルダーを標準装備
レッグシールド内側にスペアタイヤホルダーを標準装備。50Sなどとホイール形状が異なるため、ホルダー自体の形状と装着方法が異なります
ダブルシート
後端が跳ね上がったようなフォルムのダブルシートは第1世代から踏襲。第3世代で形状がまったく違うものに変更。前端に荷掛けフックを装備
ガソリンタンク
ガソリンタンクがこの頃はボディと同色である第3世代からはボディカラーに関係なく黒いタンクとなる
フロアマットを装備
センタートンネル上面部に三角形状のフロアマットを装備。第3世代ではフットスペース同様のレールへと変更。リヤブレーキはフット式となります
スチール製センタースタンド
亜鉛メッキが施されたスチール製センタースタンドを採用。通常のメッキ処理によるギラッとした仕上げとは異なる、雰囲気の良さがポイントです
物入れとして使えるBOXを設置
左サイドパネルに物入れとして使えるBOXを設置。第3世代ではBOX内前方にCDIが設置され、実質的に物入れとしてのスペースは若干縮小
ダルマテールと言われる形状のテールランプ
第2世代まで旧型テールとかダルマテールと言われる形状のテールランプを採用。ナンバーブラケットはボディ同色のものが付けられています
シュラウドと呼ばれる黒いクーリングカバー
強制空冷エンジンのため、シュラウドと呼ばれる黒いクーリングカバーがシリンダーまわりを覆っています。ファンカバーは鉄素材のシルバー塗装
ケース後方にハイテンションコイルを設置
第2世代まではポイント点火なので、ケース後方にハイテンションコイルを設置。第3世代ではCDIユニットとなり、左サイドBOX内に設置されます
排気パイプが長く伸びた形状のマフラーを採用
第2世代までは50Sとよく似た出口部分の排気パイプが長く伸びた形状のマフラーを採用。第3世代では黒い筒状のスポーツタイプ風に変更

インプレッション

第2世代のプリマベーラ!
秘めた魅力が満載
走りのキレも人気の要因

第2世代のプリマベーラはポイント点火の2ポートエンジン、そしてシングルスプリング仕様のクラッチという構成です。正直なところ現代的なフルスペックモデルとの比較では厳しいと言わざるを得ませんが、125ccという排気量がもたらす程よいパワー感によって交通の流れをリードするくらいは余裕です。なので走りの面に大きく不満を感じるようなことはないレベルに仕上がっていると言えます。 パワーと加速のバランスもスムーズですし、ギクシャクすることもありません。かなり乗りやすいですし、スモールならではの軽量ボディも功を奏して普段乗りにちょうどいいキビキビ感があります。クラッチのアームが短くてテコの原理による操作の重さが感じられますが、総じて走りやすい印象を持ちました。
それと意外に思うかもしれませんが、小回りに関してはP/PXなどのラージ系に分があります。たとえばUターンしようとしてハンドルを据え切った状態で手押しでグルっと回そうとしても、1車線程度の幅では回り切れなかったりします。同じ場面でP/PXだと回り切れるんですよね。それでも小ぶりで軽量な車体なので、車線変更時などの切り返しはとても軽やかなものです。 総じてスモールシリーズならではの軽快感やヒラヒラ感がラージシリーズとは違う魅力だし、コンパクトなボディは構えて乗るという感じが皆無だという点もオススメです。こうしたフットワークの軽さにつながるファクターは、シティコミューターとして評価されるポイントと言えるんじゃないでしょうか。見た目の可愛らしさも世界中で愛される要因ですからね。

◎125ET3 Primavera

125ET3 Primavera

1976年の登場から1983年までは第2世代との併売、その後ブランクを経て1987年の復活から2000年までの期間に日本国内でのみデリバリーされた第3世代モデル。それがET3プリマベーラです。 エンジン点火方式にCDIを用いた3ポートエンジンを搭載し、格段に動力性能を高めていた点が好評価を生みました。 今回は第2世代をクローズアップする回でしたけど、どうしても併売されたモデルとして比較されがちだったりするので、あくまでざっくりですけどチラ見せレベルでご紹介しておくことにしました。詳細なモデル紹介は近いうちに改めて取り上げたいと思っていますのでご期待ください!

今回はこれにて終了!

さて「ヒストリックモデル#05」はいかがでしたか? シリーズを通してロングセールを記録したヒットモデルとして、今なお中古車人気の高いモデルでもあります。なによりそのネーミングは現行モデルへと引き継がれ、時代を越えたスモールシリーズの代名詞的存在へと成長している点も見逃せません。 ぜひともそうした別世代のプリマベーラも取り上げていくつもりですし、他にも魅力あるヒストリックモデルの取材を計画していきます。
どうぞご期待ください!!

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