旧車レストア #03(Vespa VNB2)

  さて1度「ヒストリックモデル編」をはさんだ「大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!」ですけど、今回は「旧車レストア編」に戻してその3回目をお届けしますよー!
ツキイチ連載ということで、なんだかんだ2ヶ月のブランクってことに若干のオドロキを隠せないスミモトです。なのでザックリおさらいしちゃうと、第2話ではこれまでに集められた部品などをフレームに組付けてみるという作業を行いました。この組み付け終わった状態って、あくまで仮組みでしかないんですけど完成時のイメージもつかみやすくなりますからワクワクしちゃいますね♪
それでは旧車レストア編の第3話を始めちゃいましょー!!

仮組みを終えたVNB2

  第2話では仮組み作業を終えたワケですが、これは「なにが足りていないか、なにがダメなのかを洗い出すため」だということもそのときに説明しています。どうですか? 「そうそう、仮組みが終わったんだよ。……ちょっと思い出してきたぞ」っていうカンジじゃないですか?

  ひとまずこの仮組状態のVNB2を、じっくりと見てみることにしましょう。全体のフォルムに丸さがあって、古い時代のベスパらしさにあふれているってカンジがしませんか?

  フェンダーライト時代のプレーンでシンプルな雰囲気をしっかりと受け継ぎつつ、テールエンドに向けて絞りこまれていくヒップラインの優しいデザインこそがVNA~VNBの持ち味だと言えます。

  みなさんが目にする機会も多いと思われるP/PXシリーズは、時代の影響もあって80年代に大流行した角張ったデザインを採用していました。そのころはバイクもクルマもエッジの効いたシャープなモデルが多かった印象がありませんか?

  そんな流行のデザインというものを追いかけながら、「歴代ベスパのボディフォルムがどのような変遷を辿ったか」……そんな見方でベスパを解釈していくのもおもしろそうですね。

現行モデルへと続くP200E

Vespa P200E

(P200E)

P/PXシリーズ●1978年に登場して以来、生産のなかった時代……いわゆるブランク期間を経るも、2014年現在でも継続生産される超ロングセラーモデル。元々は125/150/200ccというラインナップで展開されていたが、生産再開後の現行モデルは125/150ccだけとなった

なぜ洗い出しをするのか?

  たとえば解体屋で欠品だらけの車体を現状で手に入れたとか、今回のムゼオ(当企画の協力者であるMuseo Vespa Giappone)のように部品がそろってきたから……そんなキッカケでレストアに踏み切るという状況でなければ、ここで行う洗い出し作業は必要ないという思う人も多いでしょう。
  でも、そんなことはなく、欠品部品を探すだけが洗い出しの目的ではありません。どういったレベルのレストアを計画するのかによっては、付いている部品がオリジナルであるかを見極める必要もあるでしょう。ちょっぴりカスタム仕立てにしたいというなら、どの部品を交換するかチェックするのも重要なことだったりします。
  ただし今回のVNB2に関しては、現段階でまず欠品部品のリストアップだけ行うことにします。理由は正しい設計図と構成部品リストなど探せないため、あくまでザックリとカタチにしていきながら完成度を高めていくようにしようという計画だからです。
  それと合間には修正や補修だったり、ペイントなども行う予定なので、その都度なんらかの問題が発生する可能性があるでしょうし、そういったことにも対処をしつつ必要に応じたリストアップも繰り返していくことになると思われるからです。
  そんなワケで、さっそくVNB2の洗い出し作業に取りかかりましょう!

VNPフロント

ホーン&クレスト
フロントフェンダー上側のホール部分に装着すべきホーンがありません。それとフロントフェンダー上に装着される、クレストと呼ばれる飾りもありません

ヘッドライト・フロントエンブレム

ヘッドライト&フロントエンブレム×2
ハンドルマウントのヘッドライトがありません。その下側のレッグシールドの向かって上部左側にVespa、中央部にPIAGGIOのロゴ・エンブレムがありません

メーター&グリップ

メーター&グリップ
ハンドル上側カバー上面のスピードメーターがありません。それと写真に写っているハンドルはは左側だけですが、グリップが左右ともにありません

ダルマが無い

テールランプ(通称ダルマ)
リヤにあるはずのテールランプがありません。リヤフェンダー部の本来あるべき位置に跡が残っていますが、その形状から通称ダルマなどと呼ばれています

サドルシート欠品

サドルシート
フレーム中央、ガソリンタンクの上部にあるはずのシートがありません。本来なら、VNBにはサドル形状のソロタイプシートが標準で装着されています

センタースタンド

センタースタンド
欠品ではありませんが、センタースタンドは削れて短くなってしまっているので要延長です。さらに接地部分を覆うゴムカバーもボロボロなので交換します

スペアタイヤホルダー

ブレーキスイッチ&スペアタイヤホルダー
レッグシールド裏側(乗車時の足元前方)のにあるべきスペアタイヤホルダーと、リヤブレーキのフットペダル脇にあるべきブレーキスイッチがありません

ガソリンコックレバー&チョークノブ

ガソリンコックレバー&チョークノブ
シートの前方下部に見えるガソリンコックレバーがノンオリジナル品のため交換が必要です。その上側のチョークノブも怪しいので交換しようと思っています

Voice of the pro shop◎実用に耐える改造

BENE 安川太一郎さん

株式会社BENE:代表取締役
安川太一郎さん

  「8インチの125と150(125cc版だったVNA~VNBには、同じボディに150ccエンジンを搭載するVBA~VBBといったモデルも存在)で覚えているのは、補強の意味でセンタースタンドをよく改造したことやなぁ……」と話し始めてくれたのは、大阪のベスパ専門店として知る人ぞ知るBENEの安川さん。
  そんな安川さんによると「125の8インチはよくやった。よくやったけど、よく改造もしちゃった。なんでかというとセンタースタンドが1本のボルトで止まっていて、しかも細いヤツがあるのよ。それをすぐ曲げちゃう。みんな、センタースタンドをかけたままシートに座っちゃうから。なのでスプリントとかラリーのセンタースタンドを、長いんだけどちょん切っちゃって穴を開けて装着したりした。それはよくしたなぁ……実用に耐える改造っていうやっちゃ」とのこと。
  じっさいVNA~VNBあたりだと台数的にも多くて、そんなに部品で困ることもなかったそうなんです。それで安川さんも「125の8インチっていうのはけっこう売れたよ。ようやった、ようやった。2とか3とか4……6までいろいろあるけど、全部やったんちゃうかな。VNBあたりだとどのモデルでも比較的安く仕上がるし、いいんじゃないですか? コストパフォーマンス&カッコもそこそこいいし、8インチやから背も低いしな。それに部品もそんなに苦労せえへん。いざとなったらインド製のを使える」と言っているくらいですから、相当な台数が流通していたんだと思われますね。
  それと裏ワザっていうんじゃないんですけど、150cc版のほうなら実用的に使えて無理のない改造ができるという情報も安川さんよりGETです。「150っていうのはスプリントの2ポートといっしょですから、ヘッドとシリンダーだけ変えたらイケるんですわ。クランクもいっしょなんで、そのまんまイケる。ヘッドなんかは厳密には違うんですよ。違うんですけど、ストロークがいっしょだからそのまま組めちゃう。それで150スプリントと同じエンジンになっちゃうのね。調べてないのでギア比だとか細かな違いはあるかもしれんけど、ノリ的にはそれでよう走るようになるんですよ。ウチではね、大幅な改造はしないし無理な改造もしない。それがコンセプトなので、チューニングもしない。あくまで実用レベルでの使い勝手を向上させる程度っていうのが一番好きよね」とのこと。
125cc版のほうをボアアップしてしまうと登録の変更が必要となるため、そこまではちょっとという人も多く、安川さんとしてはお勧めはしなかったそうだ。

  新旧ハンドチェンジ車が中心。最近ではLML(インド製のレトロスタイルスクーター製造メーカー)に力を入れているが、古いベスパ&ランブレッタまで頼れる数少ないショップのひとつ


【店舗情報】
住所◎大阪市城東区中央1-4-22
TEL◎06-6930-8739
営業◎11:00~19:00
定休◎水曜日
web◎http://www.bene-jp.com/

アクセサリーパーツから補修用部品まで豊富にそろえる店内。部品を探すなら古い車両のパーツまでカバーするので相談するのもありだし、他店購入モデルの修理も依頼可能

今回はリストアップまで進めましたが……

  洗い出し~リストアップまでを終えたことで、気分的には加速度的にレストアがはかどっちゃうぞってなカンジですが、じっさいはそうでもなかったりします。いや、むしろここからは世界中から部品を探しだして集めまくるとか、フレームまわりの修正やペイントなど、けっこう時間のかかる……つまり進行の読めない段階に突入していくことになります。

 旧車レストア編第4話では部品集めのためのノウハウやテクニック、すでにわかっている問題……たとえばセンタースタンドの延長加工などを行っていく予定です。

それでは次回をお楽しみに!