BBB MAGAZINE

  • 大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!

    2017.05.02 / Vol.35

    - page2 - ヒストリックモデル #10

CREDIT

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    隅本辰哉

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    隅本辰哉

    • バイク

    Vespa

【主要諸元】 Vespa160

形式名 09C
製造年 1969〜1979年(シリーズ通算)
フレーム形式 スチールモノコック
全長全幅全高 1,780mm680mm1,040mm
シート高 --mm
ホイールベース 1,240mm
車両重量 98kg
燃料タンク容量 --L
燃料消費率 40km/L
最高速度 95km/h
エンジン型式・種類 強制空冷式2ストローク単気筒
総排気量 161.16cm3(cc)
内径行程 60mm57mm
圧縮比 7.8:1
最高出力 5.74kW[7.8PS]/5,200rpm
吸気方式 ピストンバルブ
燃料供給装置型式 Dell'Orto/Irz
点火装置 femsatronic
電圧 12V-35wステーター
始動方式 キック
2stオイル混合比 5%
クラッチ形式 湿式多板
変速機型式 常時噛合4速ハンドチェンジ式
ファイナルドライブ ダイレクトドライブ式
タイヤサイズ(F/R) 3.5010"/3.5010"
ブレーキ形式(F/R) ドラム式/ドラム式
懸架方式(F) --
懸架方式(R) --
Vespa160
スペイン・モトベスパ社による現地生産モデルのVespa160。本文でも触れていますが、ピストンバルブでフェムサCDIという変わり種です。フレームはモトベスパ社だけの独自形状を採用し、レッグシールド上端の左右幅が少々狭められたものとなっています。
Vespa160-2
Vespa160は1969〜1973年のモデルですが、撮影車両の詳細な生産年までは不明。本家の該当モデルは180SSあたりとなり、つまり過渡期におけるスポーティさも標準装備していた当時のモトベスパ社のハイエンドモデルという見方が妥当なような気がします。

【ディテール】

ヘッドライトとレッグシールド
- ヘッドライトとレッグシールド -
スポーティな印象の車両に使われることが多い台形タイプの角型ヘッドライトを採用することで、"走り"のイメージが引き立てられた印象です。またレッグシールドの幅がどことなく狭められているところも、興味深いポイントとなっています
フロントボックス
- フロントボックス -
本家イタリア製で"Rally"というモデルのフロントボックスと雰囲気は似ていますが、"Rally"とはレッグシールド形状が異なるので別モノなのでしょう。またフタ部分のキーが、イタリアンモデルで見るような四角いスライドキーではない点も独特な印象を受けます
ブレーキアーム
- ブレーキアーム -
丸パイプ形状のブレーキアームが古いスモール系と似た雰囲気です。本来このくらいの年式のラージ系ではセンタートンネルから横に出るタイプのため、フロアからニョキッと生えるタイプではないのであまり見慣れない雰囲気を醸し出しています
ガソリンコック
- ガソリンコック -
機能的な差は特になく、本家イタリアンモデルと比較しても長めのタイプとなっています。そして異なるツマミ形状のフューエルコックレバーが装着されていますが、ツマミ形状は本家イタリアンモデルのVNA1に採用されている形状に似ています
タンクキャップ
- タンクキャップ -
ラージ系なのにスモール系のような、小さな給油口を採用しています。合わせてキャップも小ぶりなモノを採用していて、タンク上面の表記は2ストオイルの混合比となります。ピストンバルブ時代のベスパでは、混合比がほぼ5%となっていました
独特な構成のエンジン
- 独特な構成のエンジン -
本来なら年代的に考えてもロータリーバルブ系エンジンが搭載されているハズだと思われるのですが、ピストンバルブフェムサ製CDIという点が注目ポイントです。またキックペダルが、なぜかスモール系の形状と似たモノが使われています
ケース穴をふさいだ跡
- ケース穴をふさいだ跡 -
本当はロータリーバルブのためのキャブ取り付け穴があったケースであるのに、どういワケかその穴を塞いでいる事が分かります(写真中央)。同年代の本家イタリアンベスパではロータリーバルブに移行済みであるのに、不可解な部分だったりします
スペアタイヤホルダー
- スペアタイヤホルダー -
スペアタイヤ装着のためだけに特化した、とてもシンプルな最低限のホルダーを装備しています。本家イタリアンモデルであればこの位置にバッテリーや電装部品などを設置する機種も多かったりしますので、すっきりした見た目がとても新鮮な感じです
テールランプ
- テールランプ -
当初は本家イタリアンモデルの初期のスーパーやスプリントに使われていた通称ダルマテールなどと呼ばれるテールランプが採用されていましたが、後になってやはり本家モデルで70年代に多く見られた傘付きテールランプへと変更されています

モトベスパのハイエンドシリーズ・バージョン2/ Vespa GT160

Vespa GT160
Vespa GT160

世界一周の途上で日本に立ち寄りその際に託された旅するベスパ

モトベスパ社の160シリーズにおいて、いわゆる後期モデルとなるのがVespa GT160(1973〜1979年)です。スペック的なものはVespa160とほぼ共通ですが、設定色のバリエーションはグッと増やされ、アルミ製トリムこそ省略されていますが本家イタリアンモデルのRally200に類似したデカールが追加されていました。
ちなみにバージョン3とされるVespa GTi160ではバーエンドウインカーが装備され、スペイン語でウインクインジケーター(ウインカー)を意味する "i"がモデル名に追加表記されたようです。
さてVespa GT160の撮影車両はずいぶんとくたびれた感じに見えることでしょう。実はこの車両、マルコさんという方が世界を旅するための相棒とした車両なんです。そのマルコさんが母国・コロンビアを出発し、まず向かったのが妹さんのいるスペイン。それがマルコさんの旅のスタートだったのですが、当初は自転車を相棒としていました。そして妹さんを訪ねて渡ったスペインで、スパニッシュモデルのVespa GT160を手に入れます。ただ最初からそうだったのかは不明なのですが、マルコさんのVespa GT160はサイドカーであり、そのVespa GT160サイドカーで旅を再開します。そうしてアジア方面などを経由しながら日本へとやって来ました。

集合写真
ベスパクラブ初代会長の川合さんがマルコ号(Vespa GT160)でイベントに参加したときの一コマ(写真内右側の大きな写真)。集合写真(写真内左側の写真)にはマルコさん本人も写っています

そんなマルコさんが日本でたまたま入ったショップが、モンキーダビッドソンなどのユニークなバイクで有名だった"乗りもの館(のりものや)"でした。この時マルコさんが乗っていたのはVespa GT160サイドカーだったため、連絡がまわったサイドカー専門のブリストルドッグスで面倒を見ることになりました。同時にブリストルドッグスと繋がりのあったベスパクラブとも接点ができ、そのままベスパクラブ員達との交流も始まったそうです。
しかしマルコさんのVespa GT160サイドカーはあまり調子の良い状態ではなかったため、世界一周を続けられるようにと国内メーカーに呼びかけてバイクを手配。そのバイクにサイドカー(元々Vespa GT160に装着されていたモノ)をブリストルドックスが付け替えたことで、マルコさんは旅を続けることが出来たようです。
ここでいらなくなったVespa GT160ですが、経緯不明ながら初代ベスパクラブの川合会長が買うことになり、その後転々としながら現在はムゼオで保管されています。

エンブレム
エンブレムはバージョン2なので「Vespa GT」が付けられています
訪問国の言語でコメント
訪問国の言語でコメントが書かれていたり、ステッカーが貼られています
書き込みだらけ
アジアで立ち寄ったお店だろうか? そんな感じの書き込みだらけです

今回はここまで!

スパニッシュベスパラリー風デカール
謎多きスパニッシュベスパラリー風デカールでイメージを変えた160シリーズの後期モデル

今回の「ヒストリックモデル#10」では、魅惑のスパニッシュモデルであるVespa160/Vespa GT160にフォーカスしてみましたがどうでしたか?
とにかく信頼できる資料に乏しい中、どうにか解明できた部分だけを記事化してみたといったところです。それでもイタリア本国モデルとは雰囲気の違うモデルとして、大いなる魅力を秘めている事をご理解いただけたのではないでしょうか。正規輸入されたモデルではないですし、並行でもほとんど見かけることない超レアモデルです。そしてこうしたライセンス生産モデルには、生産国や生産メーカー毎の特徴がハッキリと現れていたりするのが興味深くもあります。なので今後も機会があれば、そうした世界のライセンス生産ベスパを取り上げていこうと思いますので、どうぞご期待ください!

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