スモールで遊ぶ #01

  さてさて今回からいよいよ「スモールで遊ぶ編」をお届けしますよ〜……って、スモールってなに?  となっちゃいますよね。そんなベスパ初心者も大丈夫!
ちゃんと一から説明していくことにするので、安心してください。「なんだかベスパってよさそうだよね」とか、「ベスパって楽しそうかも」なんて思い始めちゃってる人、どんどんウエルカムしちゃってくださいね〜  それでは「スモールで遊ぶ編・第1話」、始まります!!

Vespa50S
世界的に生産中止となった後 日本だけに再生産モデルがデリバリー
それほどまでに売れまくった大ヒットモデル

最初に選ぶべきは50Sというモデル

  まずベスパで遊ぶってどういうことか考えてみることにしましょうか。ベスパってスクーターにカテゴライズされる乗りものですけど、もっと大きなくくりで見ればバイクです。だからどう使うか、どう遊ぶかっていうところはなにも変わりません。チューニングやカスタムなど、いじって遊ぶのなら世界中の豊富なパーツが使えます。ツーリングだって楽しめるし、ベスパが出場できるレースだってあります。意外にタフだし壊れてもシンプルな構造だから、ちょっと詳しい人なら直すのも自分でできちゃったりします。

 

  でもベスパには長い歴史があるのでとても多くのモデルがあって、そのうちどれをベースにして遊ぶのがいいのかとなるとけっこう迷ってしまいますよね。
そこで最初に言いたいのが「50Sならカンタンお手軽」ってことなんですよ。

  まず誤解のないように付け足しておくと、手持ちのベスパがあるならそれで遊んでもぜんぜんかまいませんからね。だけど「興味が湧いてきたからベスパを買って始めてみることにする」というなら50Sというベスパを選ぶのが無難だしオススメです。この50Sというベスパは小ぶりなボディを採用しているため、通称スモールボディと呼ばれています。スモールボディまたはスモールと称されるベスパには50S以外にもさまざまあるので、50Sのこと、それ以外のスモールのこと、どんどん掘り下げていきましょう!

スモール/Vespa50S

スモール/Vespa50S
小ぶりで扱いやすいベスパとして1963年に登場し、モデルチェンジや進化を遂げつつ日本でも大ヒットしたベスパ。とくに50S人気は凄まじく、最盛期はおよそ9000台/年間、トータル5万台という販売台数を記録

ラージ/VespaPX

ラージ/VespaPX
スモールと比べて大型ボディを採用するモデルが通称でラージ、またはラージボディなどと呼ばれている。とくに1977年に登場したPシリーズは後にPXシリーズへと進化し、現在でも新車が買える人気のベスパだ

  スモールということでくくられるベスパって、じつはけっこうな種類があります。すべてをお見せすることはできませんが、ムゼオの協力によりめぼしいスモールを集めてみました。 とりあえずならべただけでも9種類。中央の青色は50S、そしてその左右の緑色&黄色は50Sベースのロードレーサー&オフロードレーサーですが、生産期間が長くバリエーションや排気量違いなどもあるため、じつに豊富なラインナップを誇るのがスモールなんですよ。  追い追い、ここに集めたスモールそれぞれの説明や、遊びのベースとしてどうなのかといったことにも触れていこうと思っていますので楽しみにしていてくださいね。

50Sとはどんなモデルなのか?

   ここからは50Sについて詳しく見ていきましょう。よくベスパのイメージって「丸いオシリにバーエンドウインカー」だと耳にしますが、これってモロに50Sから受けた印象だと言えます。日本国内での50Sの販売は2000年代初頭で終了していますが、トータルで5万台に迫る50Sがデリバリーされたんです。輸入車として考えればかなりの台数だし、当時はいたるところで目にする機会があったと記憶しています。とくに渋谷や原宿あたりの美容室なんかに止めてあるなど、オシャレなイメージと直結してベスパ人気が形成されていったように思います。
   では性能面はどうだったのでしょう? これはお世辞にも速いとは言えません。残念ですが遅い乗りものだったと認識してもらう必要があります。でもエンジンはショートストロークでよく回り、ぶん回し続けてもめったに焼きつかないタフさを兼ね備えていました。そのうえ豊富なチューニングパーツが出回っているので、思い思いのチューニングメニューで速さや走りやすさ、それに扱いやすさといった望む方向性でのカスタマイズが可能だったことは高ポイントだったと言えるでしょう。
   ちなみにチューニングして、性能面を追求することだけが50Sの遊びメニューではありません。ドレスアップやデコレーション、ツーリングや普段使いなどに適した実用カスタムなど、車両ばかりか用意されているパーツ類まで懐の深い世界観で構成されているのが50Sの良いところだったりします。

【主要諸元】
モデル名 Vespa50S
型式名 V5SA1
製造年 1963-2000初頭(含む再生産)
総生産台数 トータル130万台以上(再生産分が未確認のため)
フレーム形式 スチールモノコック
全長×全幅×全高 1,655mm×670mm×1,015mm
軸距 1,180mm
最低地上高 --mm
車両重量 73kg
燃料タンク容量 5.6L
燃料消費率 55km/L
最小回転半径 --mm
最高速度 60km/h
エンジン型式・種類 空冷2ストローク単気筒
総排気量 49.77cm3(cc)
内径×行程 38.4mm×43.0mm
圧縮比 7.2:1
最高出力 1.9kW[2.6PS]/5,800rpm
燃料供給装置形式 Dell'Orto・SHB16-16(キャブレター)
始動方式 キック
点火装置形式 フライホイールマグネット6V/40W
バッテリー --
2stオイル混合比 1:50(2%)
クラッチ型式 湿式多板
変速機形式 常時噛合4速ハンドチェンジ式
ギヤレシオ 1速29.54:1/2速17.74:1/3速11.50:1/4速8.15:1
ファイナルドライブ ダイレクトドライブ式
タイヤサイズ(F/R) 3.00×10"/3.00×10"
ブレーキ形式(F/R) φ--mmドラム/φ--mmドラム
懸架方式(F) シングルユニット
懸架方式(R) --
左グリップまわり

左レバーでバイクのようにクラッチ操作しながらグリップ自体を回転させ、グリップ根元の数字と「・(ドット)」位置を合わせてシフトする。バーエンドのウインカーは50Sのアイコンだ

右スイッチまわり

メインキーがないため、エンジン停止はスイッチパネルの右側面のキルスイッチ長押しで行う。停止するまで押し続けなければならない。小さな丸型メーターも50Sのアイコンだ

リヤブレーキペダル

左レバーがクラッチレバーなので、リヤブレーキはフロアに設置されているところがハンドチェンジベスパ全般の特徴となる。ご覧のように右足で操作するフットブレーキ式を採用

ガソリンタンク&小物入れ

前ヒンジを採用するので、シートは前方に開閉する。開けるとガソリンタンクとポケットタイプの取り外し式小物入れがあり、スプリングで書類なども押さえておけて便利に使える

キャブレターまわり

取り外し式小物入れを外すとキャブレターにアクセスでき、セッティング時などに役立つ。中央に見える棒はガソリンコックレバーで、シート下で操作できるようになっている

ガソリンコックレバー&チョークノブ

シート下足元付近に見えるのがガソリンコックレバーとチョークノブ。コック操作は左側に倒してOFF、真上がON、右側に倒してリザーブ。黒いツマミはチョークノブとなる

50Sでどんな遊びができるのか?

  50Sをベースにして挑むなら、どんな遊びがベストなんでしょう? それはズバリ「サンデーレースを楽しむ」というのがイチオシだと言えますね。いじって車両の完成度を高め、走りこんで自分のスキルを高めていくという奥深さが、飽きさせないで長く楽しめるファクターだったりしますから。  そんなサンデーレースにはロードレース(サーキット)とオフロードレース(ダートコース)があり、どちらも50Sで楽しむことができます。どちらを楽しむかは好みで選べばいいでしょう。それぞれにおもしろさがあって、どっちが良いというものではありませんから。  それでもレースの種類は2つあるよってだけではなかなか決められないんじゃないかと思いますので、ムゼオが製作したレーサーを題材にしつつ、それぞれのレースにどんなマシンが必要なのかを見ていくことにしましょう。

 

  まずはロードレーサー(写真手前の緑色のマシン)からいきますね。現在50Sで出場可能なロードレースは関東のVespaGPと関西のルーツ・ザ・原チャリがあって、微妙にレギュレーションが異なります。なので今回はVespaGP仕様のマシンを見ることにします。レーサー製作となると、実践を踏まえつつ煮詰めていく作業が欠かせません。だけどVespaGPは歴史があるので、先人たちのノウハウが蓄積されていてトライ&エラーというレベルのスタートラインということではありません。上手に情報交換しながら、一応の完成状態まで仕上げていくのはそう難しくはないでしょう。それでもコースに合わせてセッティングを煮詰めていくとか、ライダーの好みやリクエストに合わせて再調整していくことは必要でしょう。

 

  続いてオフロードレーサー(写真奥の黄色のマシン)です。出場可能なオフロードレースは現状でスクータークロスのみですが、関東でも関西でも開催されています。ただしレースというよりオフロードコース走行会的な状態で、模擬レースが行われている程度です。そのためマシン製作のノウハウも、スクータークロス自体の成長もまだまだこれからといった段階で、ムゼオとしても手探りでひとまずカタチにしただけといった状態だそうですよ。  そもそもロードレーサーとしてカタチになっていたマシンを、おもしろそうだからオフロードレーサーに転用してみたというのが製作の発端とのこと。手元にあった使ってないパーツやあまっているパーツを使って、ひとまずオフロードレーサーとしてカタチにしてみただけなので、これからどんどん走らせて完成度を高めていく予定だそうです。

ラージで遊ぶってあり?

  ラージで遊ぶのももちろんありです。じっさいスクータークロスWestではラージ(厳密にはインド・LML社のスターデラックスというモデル)を何台か見かけました。大柄なボディは居住性が高く、安定感や疲れないといったラージならではの良さもあり、本家ベスパのP/PXシリーズに採用されるサスペンションは作動性が良好だったりします。

  しかしラージは大きく重いため、スモールの手軽さ&軽さが際立つことになり、さらに価格面でもスモールは優位だと言えます。また仕上げていく段階で塗装を考えるなら、パーツ点数の多いラージは使う塗料の量が多くなり、業者に頼めば価格も違うという結果になってしまいます。

今回はこれで終了!

さて「スモールで遊ぶ編・第1話」はいかがでしたか?

第2話ではロードレーサーとオフロードレーサー、それぞれの仕様や各種スモールの解説などに踏み込んでいきたいと考えています。

どうぞご期待くださいね〜!!

それでは次回をお楽しみに!