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フロント用リプロフェンダーを選択しなかった理由

  文中で「実はちょっと手抜きをして、リプロの新品フェンダーを使おうとも一瞬思ったんです……がやめました。 もちろんオリジナルフェンダーを尊重したいと言うのが大きな理由の一つなんですが、それ以上にリプロではダメな理由がありまして……これについては後程説明します」と、相澤さんは言っています。ここではその件について、相澤さんによる説明を記しておこうと思います。

  なんでもリプロフェンダーを選択しなかったのは、形状の違いが最大の理由なんだそうです。これについて「恐らく50Sや100、それにET3(どれもスモールのバリエーション)などのフロントフェンダーは、1966年以降の型を受け継いでいるようなんです」とのこと。そして当然のようにリプロフェンダーの形状も1966年以降の形状がベースとされているため、最初期のプリマセリエにはマッチしないものという判断をしたようです。その辺り、比較写真で違いを確かめてみてください(Photo-う)。

相澤さんが以前所有していた1960年代後半の車両とプリマセリエを比較したものです。 フェンダー脇のプレスラインを見比べれば違いが一目瞭然ですね。プリマセリエのオリジナルフェンダーは、以後のものより全体的に丸みを帯びているんです。

ボディへの本塗装

  さて、日記の方では掲載回が5回目から6回目に変わっていますけど、前項「続いてボディ編に突入!」からの流れになります。それではここから先、相澤さんのレストア日記・第6話からの転載記事をご覧いただきます。

  それでは、いよいよ本塗装のボディ編です。まずはボディ内部を、当時のイタリアの職人っぽく雑〜に塗装します(Photo-20)。ひっくり返して裏側も雑〜に(Photo-21)……と言っても、雑に塗るのはかえって難しいですね。やっぱオレ、日本人だと実感。

裏側が乾燥したら、ボディ全体を一気に塗装していきます(Photo-22Photo-25)。一気にとは言っても決して慌てず、じっくりと色を重ねていくようにちょっとちょっと塗り重ねていくようなイメージです。そうして塗り上がったボディラインのエッジをご覧ください(Photo-26Photo-28)。これぞラッカーの仕上がり!

全体を塗り終えたところで終わりではありません。ここからゆっくりと時間をかけて塗料を乾燥させていきます。
幸い予定通り梅雨入り前に塗装を終えられたのと、晴天で気温の高い日が続いたので毎日陰干しする事ができました。

  さてさて写真ではいい感じに仕上がって見えると思いますが、よく見ると表面はまだ梨地状態だったりします。なので塗料がしっかりと乾いたのを確認してから、ボディ 全体をサンドペーパーがけして磨き上げていきます(Photo-29)。1000番→1200番→1500番→2000番と、順次サンドペーパーの番手を上げながら水砥ぎし、さらにコンパウンドで磨き込 みます。
  文章だとあっという間ですが、納得いく仕上がりになるまで一週間以上かかりました。ちなみに当時のピアジオでは、こんなに手間のかかる作業はやってい なかったと思います。恐らく塗りっぱなしの梨地状態で組んでいた事でしょう。

  さあ、いよいよ仕上がった全パーツを組付けます。まずサドルシート(Photo30)。レストアした時は、まだ真冬だったなぁ……(遠い目)。薄いペパーミントグリーンのボディに黒いフロアゴムが栄えます(Photo-31)。水砥ぎ失敗の連続で、何度も何度も塗り直したガソリンタンク(Photo-32)。そしてステアリングヘッドを組み(Photo-33)、いよいよプリマセリエ本来の姿が復活です!

もちろんワイヤーハーネス&ケーブル類は組み込み済みで、レストア開始から今日まで全てのパーツに魂を込めて再生してきました。そして今、少年時代に憧れたV50プリマセリエが目の前に佇んでいます(Photo-34Photo-35)。いやー、ホントようやくここまできました。残すはエンジンのみ!
もう間もなく、国内最古と思われるスモールが宮城で再び走り出します!!

-引用元: レストア日記「愛しのプリマセリエ」

手を付けてみてわかる違いや特徴

  こだわっていた塗装を終えた相澤さんですが、苦労した分だけ感慨も一入だったようです。それに「ようやく全ての塗装工程が終了したワケですが、思い返せば苦労の連続でした。それでも終わってみれば自分で仕上げた満足感でいっぱいですし、同時に最初期型と以後のモデルの違いや特徴を勉強できました」と、"相澤調べ"のほうも匂わせてくるところはサスガです。

まずはオリジナルホイールについて(Photo-え)。50Sや100のホイールと同型に見えますが、実は一回り小さい9インチというサイズです。しかもリプロ品と比べると、オリジナルはプレスラインがしっかり出ている点がポイントなんだそうです。さらに装着タイヤはお付き合いのあるベスパ専門店・Pug Scootersさんから譲っていただいたMICHELIN ACSだそうです。現行モデルとはパターンが違っていて、少し古い印象となるパターンが旧型ベスパとの相性の良いタイヤです。ブラスト後にサフェ−サーをかけて塗装をしてみると、ご覧のようにピアッジオエンブレムの刻印が浮き出てきて、相澤さん的にめちゃめちゃ感動したんだそうです(Photo-お)。

それともう一つ。ハンドルピンチボルトにも最初期型だけの違いが見られたそうで、それも比較写真で分かりやすくしてくれています(Photo-か)。こんな些細な違いも見逃さず、新旧での比較によって具体的な差を明確にしてくれた相澤さんに脱帽です。

今回はここまで!

さて今回は第4回目の「レストア寄稿-プリマセリエ編」として、ボディ周りを塗り上げていく工程をお届けしました。塗り上げて仮組みした状態のプリマセリエを前にした相澤さんの感動っぷりがこちらにも伝わってきました。

好きなモノを手間隙かけて一生懸命復活させるワケです。そこには本人しか分からない苦労や満足感がギュウギュウに詰まっているハズです。それだけに達成感も強く得られたことでしょう。
まだエンジンを残していますから、「レストア寄稿-プリマセリエ編」は続行です。どうぞお楽しみに!

最後の1枚は前回お約束した通り、ダスカニオ企画展からこの写真です。ダスカニオが設計した主な作品を展示している企画展にあって異色の展示内容となっていますが、こちらはベスパ50の設計者・ダスカニオの仕事部屋を再現したものです。きっとこのデスクの上から、今なおベスパファンを惹き付けているベスパ初期のモデル群が生み出されたのでしょう。それでは次回もこの企画展からの1枚にご注目ください!

それでは次回をお楽しみに!