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より希少な輸出用モデル/50SS

50SS(Super Sprint)
1966/V5SS1T

  ここでちょっと同じフォルムを持つ排気量違いの50SSについても紹介しておきましょう。この50SSは90SSよりもさらに希少なモデルで、主にドイツ中心に流通した輸出用モデルでした。そもそもスモールボディ系はイタリアの法改正に合わせて若者に訴求するべく50を基本に登場したモデルでしたが、この頃のイタリア国内では90SSのほうが引きが強かったため、イタリア以上にスポーツスクーター人気の高かったドイツ市場に50SSが回されたと言われています。

  そして外観上で90SSとの相違点はメーターとエンブレム類くらいなものです。メーターはMAX表示が100km/hとなる盤面を採用しています(Photo1)。それとダミータンク側面エンブレムのデザインが50に変更されていて(Photo2)、テールランプ上部の車名エンブレムには50ccであることが加えられた「S.Sprint 50」を採用しています(Photo3)。

◎お宝アイテム収集という喜び

  資料的なものからグッズ類など、世界中で愛されるベスパだけにコレクションアイテムは豊富に存在します。もちろんレアモデルとして認知されている90SSに関するものも探すことが出来ます。例えば当時のパーツカタログには時代的な問題なのか、四角と六角のピアッジオマークが混在しているのが興味深いところですし(Photoお、左上の緑×2冊)、ドイツ版カタログは90SSと50SSが同デザインで別々に製作されているのでうっかり見落としてしまいそうです(Photoお、中ほどの3種)。他にオーナーズマニュアルなども探せば見つかります(Photoお、左下と右上)。
  グッズ類ももちろん多くて、ミニカー的なものやオイルライターといった定番的アイテムは当たり前に探せます(Photoか)。驚きのグッズとしては、パッケージデザインだけ見ると変形ポストカードのように見えるのに、実はなんと女性用ストッキングなんて商品もあります(Photoか、右下のタンデムしているカップルがパッケージの商品)。
  またオーナーであればストック用パーツを探したり、いつかオーナーになることを夢見てちょっとずつパーツを探していく人もいるようです。近年ではリプロパーツの入手が容易になってきていますが、こだわってオリジナルパーツを集めるというのもオーナーならではの楽しみかもしれません。メッキの美しさと独特のフォルムを持つマフラー、それにホーン、ツマミ、エンブレムは当時のオリジナルパーツです(Photoき)。

今回はここまで!

Vespa 90SS
6レースにも積極的だったピアジオがレースベースのスペシャルマシンとして投入……それがスーパースプリントだった

  今回の「ヒストリックモデル#09」ではレースベースとして人気を博し、今尚レアモデルとして名高い90SSにフォーカスしてみました。いかがでしたか?  最後にもう少しだけ補足しておきましょう。1960年代のピアッジオのレース活動は、それまでのプロダクションモデルを投入するワークス的な立ち位置から変化し始めていました。具体的にはレース参戦のためのスポーツモデル供給というスタンスへの移行です。
  そこで用意された車両こそが90SSであり、公認のレース出場マシンとしての規定を満たすためにホモロゲーション取得を目的に市販化されました。これにより「どうしてもレースに出たい、そのために作った、出るからには完走したい、もちろん表彰台だって狙っていきたい」というような市販レーサーモデルを手に入れてレース参戦していた人たちからすると、レースチューンに耐えるだけの耐久性を持つ90SSの登場は非常に魅力的だったことでしょう。  ユーザーからすれば、確実にゴールを目指してチェッカーを受けられる信頼性を備えたマシンだったのです。だからこそ"レースシーンでの活躍"だったんじゃないかと推測します。それにエンジン周りの強化と走りを意識したボディクラフト、加えて高性能マフラーを装備していたことはユーザーの負担軽減にも効果的だったハズです。なにより走りを追求したデザイン、さらに実際のレースシーンでの実績により市販モデルとしての人気に貢献していたのは間違いないでしょう。
  ちなみにホモロゲーションとは市販車ベースのクラスに出場できる車両であることの承認で、メーカー側が一定期間内の生産数を申告して"量産型市販モデル"であることの承認を受けることになります。なのでホモロゲーション取得モデルでなければ、市販車ベースのクラスに出場することはできないというワケです。

  それでは次回もまた魅力的なヒストリックモデル紹介を計画していきたいと思います。
どうぞご期待ください!

それでは次回をお楽しみに!