BBB MAGAZINE

  • MotorCycleDays

    2014.08.19 / Vol.12

    バイクトラブル大百科「海外の旅・後前編」

CREDIT

これまでにバイクで旅した日々は海外国内合わせて10年間以上、世界を旅していると避けられないのがバイクトラブル。特に海外は日本とは文化、状況、環境が大きく違うので自分の意志とは別に思わぬトラブルに巻き込まれることがある。バイクが動かなくなったら、旅も動かなくなる、そう、まさにバイクと人は運命共同体なのだ。海外ではどんなトラブルが起こり、それをどう乗り越えてきたのか!? 今回は海外の後編、自身が描いたイラストと一緒に振り返ります!!

①「ポリスに止められる!?」 ~ホンダ ゴリラ50cc/ノルウェーほか/1991年~

ゴリラに興味津々なポリス
嬉しそうにゴリラを前から後ろから眺めている。僕たちが外国人だとわかると英語で矢継ぎ早に質問攻め。

当時の国産車で最もサイズの小さなバイクで世界一周に挑戦したい! という理由から、ホンダのモンキーにビックタンクを付けたゴリラを選んだ。かなり小さいので日本を走っていてもかなり目立っていたが、ビックバイクしか走っていない欧米ではさらに注目の的。ハイウエイ沿いのパーキングなど休んでいると、必ずと言っていいほど地元のライダーに声を掛けられた。

北欧ノルウェー。国道をヒロコが乗るdax70と2台で気持ちよく走っていると、前方に広いパーキングスペースがありパトカーが止まっていた。特に問題ないと思ったので、そのまま走り抜けようとしたら、立っていたポリスが僕たちに「止まれ!」と手招き。「えっ!?」ノルウェー語なのでよくわからないが、表情や動きから、どう考えても止まれ、といっている風だ。とりあえずスピードを落として、パーキングに入りバイクを止める。

どう転んでもスピード違反はできないし(笑)、人通りのないまっすぐな道なので、車線変更や信号無視をした記憶もない。ポリスが免許を見せるように言うので、バックから国際免許を取り出し提示する。ところがほとんど見もせず、嬉しそうにゴリラを前から後ろから眺めている。僕たちが外国人だとわかると英語で「排気量は?」「ギアは何速?」「スピードはどれくらい出るんだ?」「どこまで行くんだ?」矢継ぎ早に質問攻め。小さなゴリラに興味津々らしく、もう完全に仕事を忘れてるー(笑)


ポリスと一緒にポーズを取って写真収まる。
小さなゴリラに興味津々なポリスと一緒にポーズを取って写真収まる。

ワイワイしているとパトカーからポリスがひとり降りてきた、見るとなぜか手にカメラを持っている。「写真を撮ってもいいか?」「YES、OK!」答えると、撮りまくり。さらに君たちも一緒にと言ってと言われ、ポリスと一緒にポーズを取って写真収まる。止められたときは驚いたが、まさかこんな平和な時間になるとは思わなかった。とにかく外国のポリスはいい意味で自然体。

その後も、小さなゴリラのお蔭でアメリカやカナダでもよくポリスに止められた。それもほとんど興味本位(笑)。そういえば、止められたポリスと仲良くなりそのまま自宅にお邪魔して、お茶をごちそうになったこともあったな~。ハプニングもイイこともあれば悪いこともある。そんな体験のひとつだった。

ホンダ ゴリラ50cc/ノルウェーほか/1991年_01
ホンダ ゴリラ50cc/ノルウェーほか/1991年_01
ホンダ ゴリラ50cc/ノルウェーほか/1991年_02
ホンダ ゴリラ50cc/ノルウェーほか/1991年_02

②「ゴリラが...どこにもない!」 ~ホンダ ゴリラ50cc/フランス/1991年~

事件のあった、ユースホテル
ここで、事件が起きた・・・

病気や怪我以外で「最大トラブル?」と聞かれて真っ先に思い出す出来事がある。場所は世界一周で訪れたフランスの港町マルセイユ。ヒロコのDAXと僕のゴリラのふたりでフランスのパリから始まったヨーロッパの旅、時計回りで再びフランスへ、残るはスペインとポルトガルだけとなった。

マルセイユは地中海沿いの港町としてはフランスで最も大きい。調べると大都市の真ん中にバイクを置ける安宿はなさそうなので、郊外にあるユースホステルへ向かうことにした。午後5時ごろ、ユースに到着した。敷地全体が柵でグルッと囲まれており、その真ん中にユースの建物があった。大きな門の扉は鎖で錠がかかっているが、人が通れるくらいの幅だけ開いていたので、そこからバイクと一緒に敷地へ入った。

オープンは午後5時。受付はもうできるのな?と思いながらドアを開けると、中に人がいた。聞くとチェックインできるという、よかった。受付でもろもろの事を確認してから外へ出ると、ゴリラがない。「あれ? どうしてゴリラがないんだ?」ここまで乗っていたはずだよな... おかしいなぁ? 狐につままれた気分で何が何だかわからない。「んっ!? えっ! うそ、盗まれたっ!?」血の気が引いた。ようやく事の重大さに気が付いた。あわてて道に飛び出すが、ゴリラの姿はどこにもない。なんてこった! ヒロコのDAXを借りて周辺を探し回る。通りがかりの人に「小さなバイクを見なかったか?」尋ねるが、みんな「ノン!」と首を横に振る。「マジかよ!」その後も町の中をあてもなく走り続ける、ただただ走ることしかできない、それが悔しかった。


ゴリラがない
外へ出ると、ゴリラがない。「あれ? どうしてゴリラがないんだ?」

翌日、警察へ行き盗難届を転出した。しかしポリスは「まず出てこないだろう」という、バイクの盗難がとても多く、「組織化してるから、どうにもならないんだよ」と顔を歪めた。1mmだけ期待をして1週間ほど待ったが、再びゴリラに会うことはなかった。思い出がいっぱい詰まったゴリラ、旅日記、撮影済みのフィルム、テントなど身に着けていた貴重品以外は全てなくした僕は、その数日後、ヒロコと共に帰国することとなった。

その時はかなりのショックだったが、自分の命さえあれば何度でも旅はできる。そう思うと前向きになった。物はなくなっても、僕の心の中にある思い出は何一つ消えることはない。本当に大切なものは目に見えない、それが確信となった

ホンダ ゴリラ50cc/フランス/1991年_01
ホンダ ゴリラ50cc/フランス/1991年_01
ホンダ ゴリラ50cc/フランス/1991年_02
ホンダ ゴリラ50cc/フランス/1991年_02

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