BBB MAGAZINE

  • MotorCycleDays

    2016.02.22 / Vol.30

    「ドゥカティ・スクランブラーDAYS」その3

CREDIT

夕日に映えるスクランブラー

幸運にも長期間走行する機会を得た「DUCATI-SCRAMBLER(ドゥカティ・スクランブラー)」。第1回ではその歴史やコンセプト、装備、スペック等。第2回では実際に操作したときの印象、各シチュェーションでの感想などを紹介した。そして最後となる今回はツーリングへ出かけ、たっぷり走ってみたその印象をお伝えします。旅行家の僕にとってバイクは旅する道具、僕なりのツーリングインプレッションです。

DAY1 三浦半島

ドゥカティ・スクランブラーと藤原さん

僕の自宅がある神奈川県相模原市から日帰りで行ける距離で、寒くないエリアということで行き先は三浦半島に決定。これまでも時々気が向くとぶらりと走りに行ったことのある場所だが、スクランブラ―と一緒なら知っている風景も違って見えるのかもしれない。明日に備えて早めにベッドに潜り込んだ。
6時すぎに起床。眠い目をこすりながらバイク置き場へ行き、バイクを道路へ出す。車体が軽いので取り回しはラクチンだ。セルスターターを押すと「キュルルル...ブルルン!!」1発で目を覚ます。L型2気筒、2バルブ、デスモドロミック空冷エンジンの小気味いい排気音が響き渡る。13.5リットルのガソリンタンクは満タン、途中で給油せずに一気に三浦半島まで行けるだろう。

神奈川県のとある畑

8時出発。まず国道16号で横浜方面へ向かう。信号待ち、走り出しで不用意にアクセルを開けると、トルクが強いので車体がドンと前に飛び出し、危うく体がおいて行かれそうになった。ヤバイヤバイ...(笑) その後スタートは控えめにアクセルを開けるように気を付ける。

一般道はパワーがあるので余裕を感じる。自動車専用道路の保土ヶ谷バイパスもいい感じで流れに乗れる、エンジン音が心地良く感じる。新保土ヶ谷ICから横浜横須賀道路に入り、三浦縦貫道路を経由して林ICで降りる。 城ケ島が近づくと大規模な畑が目立つようになる。三浦だいこんなどが広く知られているように、三浦半島は野菜の宝庫でもあるのだ。城ケ島大橋を渡って城ケ島へ上陸する。漁船が停泊している港を右手に眺めながらバイクをゆっくり走らせる。さらに進むと歩道に屋根のあるアーケード商店街が現れる。ほとんどシャッターが閉まっているが、きっと昔は観光客がたくさん訪れたのだろう。

港付近にスクランブラーを停める
スクランブラーにまたがり港を見渡す
夕暮れ時の海とスクランブラー

灯台の下にバイクを駐車、灯台に登ると太平洋の水平線がきれいに見えた。その風景はとても大きく、潮風が気持ちよかった。その後海岸の岩場を歩いたり、港周辺をバイクでウロウロしたり、しばらく城ケ島で過ごしてから橋を渡り、三崎港へ移動。こちらは魚市場も大きく、人も多く賑やかだ。港周辺を走りながらちょっと気になる脇道を見つける度にどんどん入って行く。どんな道でも軽量でバランスのいいスクランブラ―なら躊躇なく入って行ける。Uターンや切り替えしもスムーズ、寄り道が好きな僕にはピッタリのバイクであることを改めて実感した。
コンビニの前でコーヒーを飲んでいると20代位の男のふたり組が声をかけてきた。「カッコイイバイクっスね!」「ドゥカティなんだけど、ふたりもバイクに乗るの?」「一応免許はあるけど、いまは持ってないんですよ。これ何CCですか?」「800」「へぇ、意外とデカいんだな。何キロ位出るんですか?」「スピード?オレあんまり出さないから、わかんないなぁ...」その後数回会話のキャッチボール。「やべぇ、時間がなくなる、どうも!」コンビニでお弁当を買おうとしていたらしきふたり組はあわてて店内へ入って行った。
ドゥカティ・スクランブラ―は20代の若い感性をくすぐるバイクのようだ。

DAY2 富士山

パーキングエリアで一休み
秋口の景色とスクランブラー
雄大な富士山をバックにスクランブラーを休める

スクランブラー・ワンデイツーリング第2弾。雪が降る前なら大丈夫ということで、今回は富士山周辺を走ってみることにした。厚木ICから東名高速に乗り御殿場方面へ向かう。高速道路を快適に走るために作られたバイクではないので、カウル付のモデルに比べると風圧を強く感じる。だが、走り続けていると「それもまたバイクらしくていいな」と思うようになってくる。快適さだけを求めるなら車に乗ればいいんだからね(笑)。
中井パーキングエリアで小休憩するが、12月の寒い時期だからかバイクは1台も入ってこなかった。御殿場ICで東名を降り、富士山麓を横断する「富士山スカイライン」へ入って行く。しばらく走ると正面に富士山がドーンと見えてくる。今年は暖冬のせいか、山頂の雪が少なく感じる。カーブをいくつか周るとパーキングのマークが現れる、水ケ塚公園の広い駐車場にバイクを止めてひと休み。ここから富士山山頂の眺めが素晴らしい。

綺麗な港を一枚
素敵なワインディングとスクランブラー
景色を楽しみながらの一枚

トイレタイムを済ませると、写真撮影に取り掛かる。いいアングルを探すため駐車場をウロウロ、さらにバイクの向きを変えたり場所を移動させたり、これがいつもの事ながら時間がかかる。ひと通り撮り終え、液晶画面で確認をしていると「これ、いいですね。何というバイクですか?」と後ろから声をかけられた。40代くらいの男性はバスの運転手さんで、写真撮影ツアーのお客さんを乗せて富士山周辺を走っているという。昔はバイクに乗っていたが、家庭を持つようになってからは乗っていないという。ドゥカティのバイクだと知ると驚き、「でもこれくらいのサイズが一番乗り易くていいんだよね」といった。僕が「おすすめですよ!」と応えると「でも、奥さんの許可が下りないだろうなぁ~」と笑った。
五合目へ行く道は冬期閉鎖になっていたので、富士宮経由で朝霧高原へ向かう。走ってみるとやはり50~60km前後の速度が一番楽しく感じる。朝霧高原の道の駅で「牛乳ソフトクリーム」を食べる。ミルク感が強くて美味しかった。
その後、三島経由で西伊豆方面へ移動する。戸田港を訪れた後、西伊豆スカイラインへ向かう。山の尾根を走る道は緩やかなカーブが連続するライダーに人気のあるルート。僕は猛スピードでコーナーを走り抜ける歳でもないので、ひとつひとつカーブを味わうようにバイクを走らせる。マイペースでコーナーリングを楽しみ、景色がいい場所があったらバイクを止めて、ゆっくり風景を眺めたり、写真を撮ったり。その瞬間にある全てを楽しむ。そんな大人のツーリングをしたい人にピッタリなのが、ドゥカティ・スクランブラーなのかもしれない。

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