BBB MAGAZINE

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    2019.02.19 / Vol.55

    スモールで遊ぶ #13/VespaGP-2018シーズン最終戦

CREDIT

取材協力:VespaGP事務局(http://www.vespagp.com/)

予定周回数の到達前に赤旗中断となり、そのままレース終了となってしまった最終戦。いったい何があったのか?そして今シーズンの開幕戦でデビューを果たした2人のその後は!?なにやら盛りだくさんで、めちゃめちゃ気になる最終戦のレポートをお届けします!

VespaGP-2018シーズン最終戦

日時:2018年11月25日(日)
場所:筑波サーキット1000
主催:VespaGP事務局(http://www.vespagp.com/

まさに波乱の最終戦

GP-Class最終戦で本気バトル必至の♯4野添選手(左)、♯20尾西選手(中)、♯44小林選手(右)

  暦の上では既に2019年に突入していますが、2018年の11月25日(日)にVespaGP最終戦が開催されました。最終戦の舞台となったのは茨城県・筑波サーキット1000で、青木拓磨氏が開催するtakuma-gp内の3つのスプリントレースのうちの1つとして開催されました。

  ここまでに4戦とスペシャルラウンドを消化してポイント争いも激化していましたから、最終戦ではその辺りも見所となりそうな予感です。ちなみにGP-Classでは♯9菊地(栄)選手が28P、♯4野添選手が29P、♯20尾西選手が32P、♯44小林選手が32Pで競い合い、誰が勝ってもおかしくない状況です。ただし♯9菊地(栄)選手は今回出走していません。そして小林選手は今年デビューしたてのルーキーですから、大活躍と言っても過言ではないでしょう。

  またMASTER-Classでは菊地(信)選手が46P、宮地選手が49Pで、どちらがシリーズチャンピオンを獲るのか注目を集める中、レース&ポイント争いをすんなり終わらすまいと百戦錬磨の牧野選手(29P)と平山選手(21P)もこれに絡むという混乱必至の様相を呈しています。

パドックではマシンを綺麗に並べてギャラリーにベスパの格好良さをアピールし(左写真)、ライダー同士で攻略法やセッティングについて情報交換(右写真)もしてしまう仲の良さがVespaGPの魅力の一つでもあります。皆が速くなって上手くなれば、レースはもっと楽しくなると速いライダーまで含めた参加者全員が考えているというのも魅力の一つなんじゃないでしょうか。

大迫力のTMAX CUP JAPAN

TMAX CUP JAPAN

  実は関西圏での盛り上がりが目立っているTMAXレースですが、この日はTMAX CUP JAPANもtakuma-gp内で開催されました。TMAXを専門とする弥生が関西勢を引き連れエントリーし、今回は6台の新旧TMAXが筑波サーキット1000に集結です。

  ちなみにTMAX CUP JAPANのほか、TMAX DAYS、MCFAJ ED3000に組み込まれるなどして年間に5戦~8戦開催され、関西では常時20台ほどのエントリーがあり、最高で26台が出走しているそうです。

  さて予選では♯77平石選手が40秒375、♯819知久選手が40秒441をマーク。40秒台はこの2人だけでしたが、決勝ではさらに♯49平山選手が40秒306、♯841松浦選手が40秒805、そして♯77平石選手が40秒097と最速ラップを記録するも♯819知久選手がコンスタントに40秒台で周回を重ねトップでチェッカーを受けました。♯819知久選手の自己ベストは40秒254でした。

平石選手
予選でトップタイムを叩き出し、ポールポジションをゲットした♯77平石選手。決勝では2位となるも、最速ラップをマークする豪快な走りでギャラリーを魅了しました
決勝結果
決勝結果
◎左から順に2位♯77平石選手、1位♯819知久選手、3位♯49平山選手、4位♯3河合選手、5位♯841松浦選手、6位♯82塚本選手

見事優勝した知久さんですが、実は耳が聞こえず喋れないというハンデキャップを抱えています。それでも 国内Bライセンスを取得して鈴鹿4耐にも出場。「耳が聞こえず話す事が出来ないけれど、バイクレースを始めて良かったし、とて も楽しんでいます」と、レースもバイクも楽しむ姿が印象的でした。

今回、関西勢を率いて来たのが弥生の松浦さんです。弥生とはTMAX用カスタムパーツを専門とするショ ップで、松浦さんによると「峠では多分リッターバイクより速く、サーキットのインフィールドなんかも得意です。TMAXの戦闘力の高 さを多くの人に知ってもらいたいと思って活動しています」との事です。

特殊ルールが適用されるVespaGPの魅力

VespaGP
後方スタート組みがスタートした瞬間、すでに通常スタート組みは20秒先を走っている!

  当日はまずまずの好天に恵まれ、レースにはもってこいの過ごしやすさ。そんな中、takuma-gpのスケジュールに従ってレースは動き出します。受付は7時にスタートし、そのまま車検。8時からブリーフィングが行われ、9時からは順次練習走行です。そして10時になると同時に予選も順次スタートです。

  VespaGPはエントリークラスであるGP-Class、そしてエキスパート対象のMASTER-Classという2クラス設定。今回は両クラス合わせて16台のベスパが参加。混走となるため、MASTER-Classはゼッケンベースをイエローとしていて見た目も分かりやすいと言えます。ちなみにGP-Classが12台、MASTER-Classには4台のエントリーがありました。

  予選上位はやはりMASTER-Classが独占。唯一44秒台で周回した♯5菊地(信)選手が予選最速タイムとなる44秒925をマーク。これに♯23宮地選手の45秒075、♯7牧野選手の45秒259、♯74平山選手の45秒937と続きます。

  一方、GP-Classでは♯20尾西選手がトップタイムとなる47秒047をマーク。これに♯4野添選手の47秒632、♯8安東選手の47秒836、さらに♯1藤井選手の48秒627、♯32川島選手の49秒005と続き、なんと6番手タイムの50秒015をマークしたのは2018シーズンのルーキーである♯44小林選手です。

  ところでVespaGPが他のレースと大きく違うのは、独特のルールによってルーキーやタイムの伸び悩んでいるライダーでも楽しめる点にあります。簡単に説明しておくと、予選結果で決まる決勝グリッドはリバース式で遅い順となります。さらに前のレースの勝者にはウエイトハンデが課されたり、速いライダーを時間差でスタートさせるなどして、速いライダーだけのレースにならないような工夫が随所に見られます。実際、こうしたハンデなどの特別ルールは参加ライダー達からは好評で、それは速いライダーも納得しているからこそ成立しているジェントルなレースでもあります。

  そんなリバースグリッド方式による決勝は、GP-ClassとMaster-Classの混走で全12周で競われます。まずは通常スタート組みが一斉にスタート。時間差スタートで後方から追い上げるライダー達に課されたビハインドタイムは、今回は20秒という設定。果たしてMaster-classの猛者達はオーバーオールでトップを獲れるのか? それともGP-Classが逃げ切って勝利をもぎ取るのか? 表彰はクラス別となりますが、レース展開はそのような楽しみもあるのがVespaGPなんです。

◎参加ライダー達の走りをギャラリー形式で大公開!

2018シーズンのルーキー達の所感

  今シーズンのルーキーは他にもいるのですが、開幕戦で取材したお二人に1シーズンやってみた所感を伺って見たのでご紹介しましょう。

房野克哉さん
◎この1年でオートバイに乗るのが上手くなった事を実感しています。VespaGPを始めた事で体重移動と注意の払い方が変わり、安全に速く、普段から乗れるようになった気がします。この歳になって初めてバイクってこうやって乗るんだって気がつけたというか。公道ではなかなかレーシングスピードだったり、攻めて行くような走り方は出来ないので、それが出来るサーキットだから気づけたというのが大きいと思います。

それとサーキットでも練習走行だけでは闘争心がないというか、レースをやる事で勝ちたいとか良い成績を残したいとかっていう気持ちになるので、それがモチベーションになって向上心が生まれた事も要因だと思います。VespaGPは初心者でもチャレンジ出来ますし、お金もそんなにかけずに出来るのでお勧めですね!

小林匠さん
◎この1年は楽しい事ばかりで、あまり苦労したみたいな事はなかったです。それと基本的な操作に戻るというか、それが始まりでそれがすべてという事を再確認出来たというのがありました。なので普段のバイクライフでも基本操作をしっかり出来るというか、オートバイの動きが公道でも良くなったのを自分でも体感しています。

VespaGPは同じオートバイ、ハンドチェンジである事、クラシックバイクでレースをやろうというコンセプトがまずおもしろかったです。全戦エントリーするというのが初年度の目標だったのですが、そのおかげでなんとなくポイントもちょこちょこもらえ、それで自分に順位がついたりするのも楽しいと感じました。遊びの延長なのかもしれないですけれど、純粋に楽しめると思うので、考えている方にはお勧め出来るレースです!

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