BBB MAGAZINE

  • 藤原かんいち電動バイク世界一周

    2007.11.02 / Vol.25

    電動バイク世界一周の旅『 喜望峰とアグラス岬 』

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    藤原かんいち

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    藤原かんいち

    • バイク

    パッソル

VOL.25 『 喜望峰とアグラス岬 』[アフリカ大陸編]

藤原かんいちの冒険ツーリング

バイクと再会、いよいよ旅が動き出す

アフリカンペンギン
ボルダーズ・ビーチに生息するアフリカンペンギン。ヨチヨチと短い足で歩く姿に親近感を感じる

昨年11月にアテネからケープタウンに船便で送ったパッソルとマジェスティ。
ところがすぐに受け取れていいはずなのに、手際が悪くてなかなか手続きが進まない。辛抱強く待つこと5日間、ようやく手元にやって来た。

「ヤホーッ!」
おお、懐かしのパッソルとマジェスティ、会いたかったよ~。僕たちの旅はこの2台がいなければ始まらない。よし、次は荷物の整理だ。

部屋へ戻ると、手荷物にバイクと一緒に梱包していた荷物が加わりとんでもない量になった。部屋中に足の置き場もないくらい荷物が散乱している。
「これが全部、バックに納まるのか?」
思わずため息が出る。とにかく荷物を分類しながら13個のバックに少しずつ入れて行く。
「この服はこのバック、ストーブとコッヘルはここで...」
「あっ、ガイドブックは今回からこっちのバックね」
「オッケー!」


巨大なアロエ
巨大なアロエ(?)を発見。近くでよく見ると伸びた葉から棘がたくさん出ていてまるでタラバガニの足のようだった

車と違ってバイクは荷物が積めるスペースと量に限りがあるので、いい加減にやっていると納まらなくなってしまう。ジグソーパズルのようにひとつひとつを確認しながらバックに詰め込む。
するとこれが、予想に反して次々といい感じでバックに納まるではないか。そして30分もかからずに全ての荷物が13個のバックにきれいに納まった。

「すごい、まるで手品みたい!」
「やっぱり、2年も旅しているだけのことはあるなぁ...」
荷物を眺めながら自画自賛するふたりなのであった。
これで全て整った、後はバイクで走るだけだ。

喜望峰とアグラス岬

喜望峰
喜望峰に立つ。ここはいろんな旅行記に登場する場所。いつかは訪れたいと思っていた場所のひとつだった

ケープタウンを離れるとまず"喜望峰"へ向かった。ケープタウンから南へ突き出すように延びたケープ半島、その南端にあるのが"喜望峰"だ。この辺りは昔から航海の難所として知られる海域で、喜望峰の名は世界地図に必ず載っている。
切り立った海岸線の斜面を縫うように延びる道を走っていると、海藻の香りを含んだ海風が漂ってくる。海岸をよく見ると昆布がたくさん浮かんでいる。

「う~んこの匂い、日本を思い出すなぁ...」
ケープ半島の東海岸にあるサイモンズ・タウンで1泊。近くのボルダーズビーチで野生のペンギンに会えるというので行って見ることにする。海岸の草地に作られた木道を歩いてゆくと...

「おおおっ、いる、いる、いる!」
大きな岩の上でたそがれているヤツ、体をボリボリ掻いてるヤツ、巣に向かってヨチヨチ歩いているヤツ、色んなペンギンがいる。砂浜へ行くとものすごい数のペンギン。100匹、いやそれどころではないかもしれない。こんなにたくさんのペンギン見たことがない。


イエローウッド
BIG TREEと書かれた案内板を見つけて森へ入って行くと存在感のある巨木が聳え立っていた。このイエローウッドは樹高36.6m、幹周8.9m、樹齢800歳

ペンギンは人間がかなり近づいても怖がる様子もなく、のんきにしている。自然のまま思いのままという感じだ。そんなペンギンたちに改めてアフリカの大自然の懐の深さを感じのであった。
翌日。さらに南にある"喜望峰"にようやく到着した。

岬に行くと「CAPE OF GOOD HOPE」と書かれた標識が立っていた。ここで写真を撮りたいところだが、有名な場所だけに観光客が引切り無しにやって来る。20分くらい待っただろうか、人が引いた瞬間を突いて、ドドッと走りこんでパシッと撮影。やった! ようやくお気に入りの写真を撮ることができた。

"喜望峰"を離れると、僕たちはアフリカ大陸の最南端の地"アグラス岬"へと向かった。えっ"喜望峰"が最南端じゃないの? という声が聞こえてきそうだが、意外と知られていないが最南端は"喜望峰"ではなく、さらに南東へ300kmほど行った"アグラス岬"なのだ。

ガーデンルートを満喫

ガーデンルート
南部の海岸線は"ガーデンルート"と呼ばれる観光スポット。入江、砂浜、湖、森林など自然の変化に富んでいる

緩やかな丘陵と平原をしばらく走り続けると、インド洋に面した港町、モッセルベイに出る。ここからいよいよ南アフリカでも特に自然が美しいといわれる"ガーデンルート"が始まる。このルートは旅行者が多いため、低料金で泊まれる若者向けのバックパッカーズ(以降BPに略)がたくさんある。僕たちはBPに泊まりながら少しずつ東へ向かった。

ウイルダネスでは、町の中心から離れた丘にある、古い農家を改造したBPに宿泊した。6人部屋だったが僕たちの他に宿泊客はなく、とても静か。窓の外は豊かな林が広がり、夜は満天の星が広がる。あまりの心地よさに2泊もしてしまった。


天気がいい
天気がいいとそれだけで嬉しくなるのがバイクの旅。3月の南部は乾季のため晴れの日が多かった

その2日後着いたストームス・リバーは商店もない小さな村だった。ここのBPはきれいな芝生が広がっていた。手作りのベッドも木の温もりがあっていい雰囲気。周りは何もなく、怖いくらいの静寂。広い居間にビリヤード台があったので、僕たちは10数年振りに玉を突いた。しかし、ヒロコは笑い転げるほど下手くそだった。

そして最後に泊まったのがサーフィンのメッカ、ジェフリーズ・ベイ。ここでは南アフリカのサファーたちと仲良くなった。出発の時にはみんなと一緒に写真と撮ったり、ビデオを回したり大はしゃぎ。期待していた以上に変化のある楽しい毎日となった。

象の群れに感激

ストームス・リバー
ストームス・リバーのバックパッカーズのオーナーは若い夫婦だった。釣銭40R(800円)の手持ちがないからと代わりにダチョウとビーフの干し肉をもらう

"ゴールデンルート"の終点ポート・エリザベス。人口100万以上を抱えるイースタンケープ州の中心地だ。久しぶりに大きな町にやって来た。だがここに来た目的は町ではなく、70kmほど北にあるアドゥ・エレファント国立公園を訪ねることだった。驚くなかれ、ここは野生の象が200頭以上も生息している、すごい国立公園なのだ。

公園にパッソルで入れたら最高なのだが、危険すぎるためバイクは禁止。仕方なく車で巡るツアーに参加することにした。生まれて始めてのサファリ、これから動物園ではなく自然の中で生きている野生動物に会えるのか! と思うと胸が高鳴った。


象の群れ
象の群れが並んでいる姿はさすがに壮大。これぞ正に日本人が想像する、野性の王国アフリカ

ゲートを抜けしばらく走ると車が止まった。ガイド兼ドライバーが、もうそろそろこの辺りを象が通るという。声を潜めて現れるのを待っていると... ブッシュの中から象の群れが現れたではないか。すごい、こっちに向かってくる。そして象の群れは車から2m位のところを横切って行った。

「きゃーっ、すごい!」
ヒロコは大興奮。僕も感激で涙がちょちょ切れる。それにしてもまさかこんな近くで野生の象が見られるとは思わなかった。なんだか夢のようだ。この光景、一生忘れることはないだろう。

日本人大学生、孝治くんとの出会い

ダーバンから来たというライダーたち
スタンドに入ったところで、ダーバンから来たというライダーたちに囲まれる。乗っているバイクは日本車が多かった

ポート・エリザベスから内陸へ向かうと、風景はさらに単調になった。枯れ葉色の大地がどこまでも果てしなく続いている。何もない土地がこんなに続くなんて日本ではありえない。日本にこれだけ土地があったら、どれだけの畑と家が建てられるだろう? 始めはそんなことを考えていたが、それもバカらしくなるくらい続いた。

130kmほど走りグラハムスタウンという町に到着。ここは開拓時代の貿易と商業の中心地だった町。趣のある街並みがいまでも残っており、中心には立派な教会が立っていた。
インフォメーションで宿の情報を仕入れ外へ出ると、何と日本人がいるではないか。観光地でもないこんな小さな町で日本人に会うとは驚きだ。聞くと彼はローズ大学に通う、千葉孝治という大学生だった。僕たちが世界一周中でこの町で泊まる予定だと話すと、親切にも「よかったら家に泊まって行きませんか?」と言ってくれた。彼の言葉に甘えて、お邪魔することにする。


大学生の孝治くんとそのルームメート達
グラハムスタウンでお世話になった大学生の孝治くんとそのルームメート達。美女に囲まれて、うらやましいですねぇ...

学生4人でシェアして借りているという家を訪ねると、3人のルームメートは美女揃い。ならばと、僕たちは腕を振るってチキンスープを作った。口に合うか心配したが、売れ行きはまずまずだったのでホッとする。

翌日は偶然にも祝日。学校が休みのため孝治くんが通っている大学や町を案内してくれた。本当に小さな町だが、何もないから逆に勉強に集中できていいですよと笑った。

将来は日本に南アフリカを紹介する仕事ができたら...という話を聞き、それは素晴らしいことだと思った。雄大な自然あり、野生動物あり、独特の文化あり、そんな魅力たっぷりの南アフリカを、知っている日本人は驚くほど少ないからだ。ぜひ2国を結ぶ架け橋になって欲しい。孝治くんならきっとできるよ!

ルート = 南アフリカ/ケープタウン → ブルームフォンテン
総走行距離:28,947km(アフリカの走行距離:1,949km)
取材・文/藤原かんいち&ヒロコ

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