BBB MAGAZINE

  • 全国「旅ごはん!」バイク紀行

    2012.04.25 / Vol.28

    マルカン百貨店食堂のナポリカツスパゲティ(岩手県花巻市)

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    藤原かんいち

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    藤原かんいち

    • バイク

    リトルカブ

東北の旅
のどかな東北の旅には、のんびり走れる原付バイクがマッチしている。

約一年振りに東北地方へ出かけることにした。実は僕の両親は岩手県遠野市の出身。幼い頃は夏休みの度に両親に連れられて祖父母が住む遠野へ里帰り、姉弟と一緒に近くの野山、川を駆け回って遊んだ記憶がある。僕にとって東北は馴染みの深い土地なのだ。岩手県のほぼ中央に位置する遠野は「遠野物語」「カッパ伝説」「座敷童子」などがよく知られている、そこから車で西へ1時間ほど走ると花巻市になる。人口約10万人、岩手県では4番目に大きな町。

千里浜ドライブウェイ
煉瓦造りで趣のある旧岩手銀行の旧本店本館は国の重要文化財に指定されている。

岩手県屈指の温泉地であると同時に詩人・童話作家の宮沢賢治の故郷として知られている。この町の市街地に、時代から取り残されたようなレトロなレストランがあることを知ったのは3年前のことだった。

浄土ヶ浜
宮古市にある美しい海岸「浄土ヶ浜」。この日はヤマセ(霧)が出て幻想的な風景になった。

その時、東北旅行で盛岡に住むバイク友人と久しぶりの再会、一緒に花巻の友人夫婦を訪ねたところで、花巻のおすすめの店はどこか?という話題になった時、そこにいた3人が「それならマルカンだね」と言い切った。「マルカン?」「マルカンっていうデパートがあって、そこの食堂が昭和の風景そのままなんだよ」「そう、あの雰囲気は、かんいちさんも絶対に好きになると思うよ!」と口を揃えた。「それはぜひ、行ってみたい!」と盛り上がり、翌日、早速みんなで行くことになった。

日本の風景
東北の風景は懐かしい日本の風景。出会う人も素朴で素敵な人ばかりだった。

外観はどこからどう見ても田舎町のデパート。お客さんの姿をほとんど見ない店内をウロウロしながらエレベーターに乗り込む。一体どんな感じなのなかぁ?いろんな想像を巡らしていると…チン!6階に到着した。

「おお〜っ!」エレベーターのドアが開くと、目に飛び込んできた光景に僕は思わず声を上げた。忘れられないあの異空間、何とも形容しがたいノスタルジー感。あの感動を味わうために、僕は再び花巻へやって来た。

メニューサンプル
ウインドーに並んだメニューサンプルを見ているだけでワクワクしてくる。

今回も前日に花巻の夫婦と合流。マルカンへ向かいながら「今日は何を食べる?」と盛り上がる。エレベーターが開くと最初に目に飛び込んでくるのが、両側に置かれた巨大なショーウインドー。その中に食品サンプルが鬼のように並んでいる。全部で200点はあるだろう、スゴイ種類だ。寿司、そば、うどん、ハンバーグ、ステーキ、ピザ、カレー、ラーメン、グラタン、デザート…和洋中、何でも揃っている。これだけあると迷ってしまう。そして驚くことにどれも安い。ほとんどが500円前後、中華そば(ラーメン)に至っては350円という安さ。ハンバーグとエビフライが揃った一番高い洋定食セットでさえ1030円なのだ。他のお客さんもウインドーを見ながらどれにしようか同じように悩んでいる。何だか、ほのぼのしている。

マルカン百貨店大食堂
マルカン百貨店大食堂の客席。平日にも関わらずこのお客さんの数には驚く。

迷った末、名物であるナポリカツスパゲティ(550円)に決める。そしてデザートにソフトクリーム(150円)をプラス。入口の会計カウンターで700円を払い食券を受け取る。ワンフロアー全てが食堂、見渡す限りテーブル、テーブル、テーブル…収容人数はおそらく500人を越えているだろう。デパートの食堂とは思えない大きさだ。店内を見ると景色が眺められる窓際は埋まっているが、運良く1つだけテーブルが空いていた。

ナポリカツスパゲティ
これがナポリカツスパゲティ! スパゲティととんかつが一度に楽しめる。
マルカンのメニュー
マルカンのメニューはどれもボリューム満点なので、ハラペコ野郎でも安心。

イスに座り改めて店内を見渡す、本当に昭和レトロだなぁ。それも創られたレトロではなくリアル、昭和の風景がそのまま平成を生きているのだからスゴイ。メイド服を着たウエイトレスさん(これまた昭和生まれのレディ)。テーブルの上にはフタを引くと割り箸が持ち上がる、割り箸入れ。ステンレスのナプキン立て。そして料理も… 今回注文したナポリカツはケチャップ味のナポリタンスパゲティの上に薄いトンカツがドン! これぞまさに昭和の洋食の王道。特別おいしいという訳ではないが、安心感ある、懐かしい家庭の味。どちらにしても、ここで味を語るのは野暮というものだ。

箸立て
この箸立てを見て「懐かしいなぁ...」と思った人はもしかして僕と同年代?(笑)

3人で和気あいあい、ランチタイムを楽しむ。そして最後はデザートのソフトクリームで締める。高さ25cmのビックタワー、もちろんマルカン流に箸で食べる。気が付くとみんな自然と笑顔になっていた。

マルカンのお客さんは食と同時にこの世界観を楽しむために、ここへ来るのかもしれない。創業57年、おそらく花巻市民なら一度はマルカンで食事をしたことがあるのではないだろうか。昔はきっとおしゃれな外食と言えばマルカンだったに違いない。そう、マルカンには花巻市民の思い出がたくさん詰まっているのだ。お年寄りから子供まで、あらゆる年齢層のお客さんがいることからもそれが伝わってくる。

ソフトクリーム
見てください、ソフトクリームのこの高さ!10巻もあって150円は安すぎる。

全国でも貴重な存在となっているマルカン百貨店。花巻市民でなくてもここへ来れば、必ず何かを感じるはず。ぜひ、たくさんの人にこのマルカン時間を体験してほしい。

住吉飯店
東北でも特に岩手県は車が少なくマイペースで走れるので、旅を満喫する事ができた。

かんいち的採点表

あじ:

ボリューム:

値段:

■ナポリカツスパゲティ 550円(税込)
■ソフトクリーム 150円(税込)

~今回の旅ごはんinfo~

マルカン百貨店 大食堂
住所:岩手県花巻市上町6-2
TEL: 0198-24-1111
定休日:年中無休

マルカン百貨店 大食堂

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