BBB MAGAZINE

  • 藤原かんいち電動バイク世界一周

    2007.11.01 / Vol.11

    電動バイク世界一周の旅『 終わらないナラボー平原 』

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    藤原かんいち

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    藤原かんいち

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    パッソル

VOL.11 『 終わらないナラボー平原 』[オーストラリア大陸編]

藤原かんいちの冒険ツーリング

終わらないナラボー平原

パッソルもマジェスティもパンクゼロ
オーストラリアに入ってからパッソルもマジェスティもパンクゼロ。パンクで苦労したアメリカがうそのようだ

2005年1月2日。セデューナを出発。僕たちの旅は2年目に突入した。

最大の難関「ナラボー平原」は越えたが、周りの風景はナラボー平原と呼ばれる地域が終わっただけで、これまでと変わらない枯色の平原とブッシュが延々と続いていた。
さらに、これからは余裕だろうと思っていたところ、みるみる気温が上昇、午後2時には40℃にまで達した。どうやら厳しい道程がまだまだ続くようだ。

殺人的な暑さの中ようやく目的地のウイルーラにたどり着いた。殺風景な通りに小さな店が数軒並んでいるだけの小さな村だ。まさかこんなに暑くなるとは思っていなかったので携帯していた水は1.5リットルだけ。とりあえず水を買おうと思いストアへ行くと、店内の照明が消えている。まさか!?と思いドアの張り紙を見ると、昼の1時までとなっているではないか。今は3時。クソーッ、ひと足遅かったか。


小さな灯台
小さな灯台を見つけパチリ。今は使われていないようだった。海岸線はいろんな発見がある

ならば泊まる所を確保しようとホテルへ行くと、何と、こちらもクローズ。パブも閉まっている。あわてて周りを見渡したが空いている店は一軒もなかった。なんてこったい。行き場をなくした僕たちは、平らな地面と電源があるだけの無人キャンプ場へ行き、小さな屋根のあるベンチの日陰に入った。パッソルは電気切れなのでもう動けない。今日はここでキャンプにしよう。

ベンチでじっとしているだけでノドが乾く、しかし残りの水は1リットルもない。
ふたり交代でチビチビと飲むが、この水を明日まで持たせるのは無理だと思った僕は、50km先の町まで水を買いに行くことにした。今日は日曜日なので閉まっている可能性もあるが、一か八か行ってみることにする。


リマーカーブルロックス
カンガルー島の西端にあるのが「リマーカーブルロックス」。まさに大自然が創り出したロックアートだ

マジェスティのエンジンを回すと午後7時なのに気温が39℃もあった。なんて暑さだ。100km近いスピードで突っ走ると景色が後ろへ飛んで行った。いつもとは別世界だ。
「頼むから開いていてくれよ!」

祈るような気持ちでアクセルを開ける。30分走るとガソリンスタンドの看板が見えてきた、給油機の前に車が止まっている。
「おおおっ、やった、開いてるぞ!」
立て看板にOPENの文字。僕は猛ダッシュでロードハウスに駆け込み、冷蔵庫の扉を勢いよく開けた。

野生動物の楽園

お世話になった嘉子さんとクリストファー
カンガルー島でお世話になった嘉子さんとクリストファー。クリストファーはバイクが好きでパッソルに興味シンシンだった

パース以来の大都市アデレードに着くと、これまでおいしいものが食べられなかった鬱憤を晴らすように食べまくった。セントラルマーケットにはアジア料理のフードコートがあり、おいしい中華や韓国料理などが安く食べられるのだ。アデレード滞在中は毎日通い、食いだめをした。

アデレードを出ると僕たちはカンガルー島へ向かった。フリウリョウ半島からフェリーに乗ると、2時間でカンガルー島に到着する。港には友達の知人である日本人の嘉子さんが迎えに来てくれていた。電話で話したことはあるが会うのは初めて。田舎の島に住んでいるとは思えない、おしゃれな人だった。

話を聞くと、嘉子さんは最初普通のオーストラリア旅行で来たのだが、旦那さんであるクリストファーと出会い、恋に落ち、結婚。結局そのままオーストラリアに6年以上も住んでいるというのだから、人生はどこでどうなるかホントにわからない。


エミューを発見
草原を悠々と歩くエミューを発見。近くで見ると意外と怖い顔をしていてにらまれると怖かった

翌日、島の西にある国立公園へ行く。岬の先端には何とも不思議な形をした石があり、海岸に降りると無数のアシカが気持ちよさそうに岩場に横たわっていた。また途中の森にはエミューやカンガルーの姿も、まさに野生動物の楽園という感じだった。

ひと通り歩いた帰り道、バイクを走らせていると突然ブッシュからワラビーが飛び出してきた。驚いてバイクを止めると、何と路肩に何匹ものワラビーがいる。すごい、10匹はいそうだ。こんな光景を見たのは初めて。興奮しながらさらに進むと、いるわ、いるわ、僕たちが動くのにあわせてワラビーがピョンピョン跳ね回るではないか。その姿がとてもかわいらしく、僕たちは子供のように声を上げて喜んだ。

それは一生ココロに残る、感動的な光景だった。

監獄ホテルにカンゲキ

ビクトリア州に入る
ビクトリア州に入ると珍しく植林された杉の森があった。ふと懐かしい日本の風景を思い出した

2日間お世話になった嘉子さんとクリストファーにお礼を告げ、島を後にする。 サウスオーストラリア州を南下、周りは相変わらず枯色の草原が広がっているが、羊や牛の姿をよく見かけるようになった。
州の南端にある町マウントガンビア。ここにはおもしろいものがあった。それはなんと、つい数年前まで監獄として使われていた施設が、今は宿として泊まれるというのだ。

僕はガイドブックでそれを見つけたときから絶対に泊まりたいと思っていたが、ヒロコはいまいち気が進まない様子だった。しかし
「監獄に泊まるチャンスなんて、犯罪でも犯さない限りないんだよ」
という僕の熱い説得に負けて、結局泊まることになった。
宿に到着すると、まず建物の壁が高く厚いことに驚く。それ以外の特徴は、窓が少ないことくらいだろうか。大きな門を通って奥へ行くと、鉄の扉が規則正しく並んでいた。


ビクトリア州の標識
州境に立っていたビクトリア州の標識。これまでの州に比べるとかなりシンプルな造り。これも州の個性なのか?

「ふ~ん、こんな風になっているのか...」
そしてツインの部屋を見せてもらうことにする。ドアを開けると、床から剥き出しの便器がニョキリ。
「おお、これはいかにも監獄らしい!」
僕はひと目で気に入ったので、ここに泊まろうというが、ヒロコはこんな部屋は落ち着かなくて嫌だと拒否されてしまった。ああ残念。仕方なく新しい部屋を見せてもらうと、こちらは部屋とトイレが別になっている。僕は普通でつまらないが、ヒロコはここなら泊まっていいというのでこの部屋にする。

鉄のドアは異常に分厚く、映画で見たことがある覗き窓がついていた。そんなひとつひとつに興奮する、子供のように無邪気な僕なのであった。
ちなみに、泊まった感想は静かで良く眠れたとヒロコにも大好評。オーストラリアへ行く予定のある人は是非泊まってみてください。きっといい夢が見られますよ!?

グレートオーシャンロード

グレートオーシャンロードのハイライト
グレートオーシャンロードのハイライトは「トゥエルブ・アポストルズ(12人の使徒)」。近くに他の見所もたくさんある

オーストラリアも3州目となるビクトリア州に入ると、自然が随分と豊かになった。
これまでは水のある川はほとんど見かけなかったが、きれいな水の川がたくさん流れていて、周りの木々も豊かに葉を茂らせている。
さらに海岸線を東へ向かう。海岸線には美しいビーチがいくつもあり、どこも短い夏のバカンスを楽しむ人たちで賑わっていた。しかし、真夏とはいえサザンオーシャンから吹く風はとても冷たく、こんなに寒いのに良く 泳げるなぁと感心する。きっと僕たちと体温が違うのだろう。

ワーナンブールの先から、ついに楽しみにしていた「グレートオーシャンロード」が始る。道路沿いには海が見える見晴らしのいい展望台がいくつもあり、奇岩や断崖絶壁の絶景にため息をついた。そのクライマックスはなんと言ってもトゥエルブ・アポストルズ(12人の使徒)だった。

サンセットの時間になると岩肌が夕陽に染まり、刻々と表情が変わった。これぞまさに自然美の究極。僕たちは時が経つのも忘れ、いつまでも眺めていた。

取材・文/藤原かんいち&ヒロコ (2005/01/31)

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