BBB MAGAZINE

  • 藤原かんいち電動バイク世界一周

    2007.11.01 / Vol.09

    電動バイク世界一周の旅『 ひと味違うオーストラリアの巨木 』

CREDIT

VOL.09 『 ひと味違うオーストラリアの巨木 』[オーストラリア大陸編]

藤原かんいちの冒険ツーリング

17年前とのギャップに呆然

パースの車検場
パースの車検場で車両点検を受ける。ライト、ウインカー、車体番号、エンジン番号などをチェック

2004年11月9日。AM11:30。
ほぼ定刻通りに、僕たち夫婦を乗せたシンガポール航空機は、電動バイク世界一周の第2ステージとなるオーストラリアへ向けて離陸した。

今回が17年ぶりのオーストラリア訪問。人は「十年ひと昔」というので、もうふた昔も前ということになるが、果たしてどんな風に変わっているのか、それともあの頃のままなのか、いろんな意味で期待に胸が膨らんでいた。

一方のヒロコといえば、これが初めてのオーストラリア。一体どんな印象を持つのだろうか、それもまたも楽しみのひとつだった。
パースに着いてまず驚いたのは、日本人がとても多いことだった。中心のショッピングモールを歩いていると、「あの人も」「あっ、向こうにも」という感じでわんさか歩いているのだ。おそらくオーストラリアには現地で働きながら1年間旅行ができる「ワーキングホリデー制度」というのがあるので、おそらくその人たちだろう。それにしてもここまで多いとは思わなかった。


パースを出発する時
全ての準備が整い、パースを出発する時がやって来た。抜けるような青空の下を走り出す

さらに町を歩を進めてゆくと、店頭には日本語の貼り紙が張ってあるし、日本食レストランがいくつもある。スーパーマーケットに入れば、うどん、そうめん、ラーメン、海苔、紅しょうが、カレー粉、キューピーマヨネーズから、干ししいたけまで並んでいるのだから恐れ入る。こんな国は今まで見たことがない...あっ、17年前に来てたんだ、アハハハ...。

それにしても前回は日本食の「に」の字も見かけなかったので、この変わりようはある意味カルチャーショックだった。
僕は17年間のギャップをいきなり感じることとなったが、ヒロコは日本食が食べられると大喜び。日本を出てまだ2日だというのに、「チキンカツ定食が食べたい!」と騒ぎ出した。「やれやれ...じゃあ食べようか」といいながら、内心大喜びで「カツ丼」を食べる僕なのであった。

気さくなオーストラリア人

声をかけてきたバイク夫婦
パースで記念撮影をしているところに声をかけてきたバイク夫婦。僕たちの話を興味深そうに聞いていた

パース空港近くでバイクを受け取り。それから役所、車検場などを行ったり来たりしてようやく自分のバイクでオーストラリアを走れる書類が整った。11月19日。パースを後にする。
最初の目的地であるアルバニーを目指して南下する。スタンドやカフェで休憩をしながらルート1を下って行くが、バイクを止めるたびに誰かしら声をかけてくる。

「おたくら、そんな小さなバイクでどこまで行くんだい!?」
「なに、電気バイク? そいつはすげえな、初めて見たよ」
「どれくらいスピードが出るんだ? 一回の充電でどれくらい走るんだい?」
「そうか、じゃあ、気をつけて行けよ!」


パースの南部
パースの南部は牧草地が多く、牛や羊の牧場も多い。意外とアップダウンが激しくバッテリー1本で20kmがやっと

そんな会話が何度も交わされる。
特に電動バイクのパッソルにはかなり興味があるようで、いろんなことを聞かれる。こんなことは個人主義のアメリカではほとんどなかったのに、オーストラリア人はホントに気さくでフレンドリー、そしてみんな明るく陽気だ。

ヒロコはアメリカ人との違いにビックリしている。国のサイズはほぼ同じ、白人が中心の移民の国という意味でも両国は似ているが、僕たちの印象はかなり違った。
しかし、オーストラリアの旅は始まったばかり、これからもっともっと色んなものが見えてくるだろう。楽しみだ。

ひと味違うオーストラリアの巨木

砂丘でサンドボードを楽しむ
真っ白な砂丘でサンドボードを楽しむ。ツアーだったので1回しかできなかったが時間があればもっと滑りたかった

マンジュラ、バーバリー、バッセルトンとインド洋に沿って南下して行く。どの町にも美しいビーチがあり、たくさんの人たちが夏を楽しんでいた。
しかし、道自体は海岸に沿っている道でも、日本のように海のすぐ脇を道が走っている事はほとんどなく、地図を見なければ海が近いことはわからないだろう。

バッセルトンからやや内陸に入ると、徐々に高い木が多くなった。さらにペンバートンに近づくと、見上げるようなカリーの巨木が現れた。カリーはユーカリの一種。幹が白っぽい木でまっすぐ延びているものが多いが、 少し曲がりながらのびているものもある。
そして、予定のウォーレン国立公園に入ると「バイセンテニアルツリー」を目指した。高さ60m以上あるカリーの木なのだが、らせん状に長い杭が打たれていて、頂上まで登れるようになっているのだ。この木登りには絶対挑戦しようと、この旅を始める前から決めていたのだ。


ピナクルス
ピナクルス。ここはオーストラリアへ行ったら是非訪れたいと思っていた憧れの場所のひとつだった

僕は高所恐怖症なのに高いところが大好きという、不思議な体質(?)なので、あまりの高さに少しだけ迷ったが、高さ60mもある木に登れるチャンスは今しかないと思い、チャレンジすることにした。
杭を一本一本、両手両足を順番に動かし慎重に登って行く。下を見ると怖いのでなるべく見ないようにして、上だけを見て登って行く。
どれくらいの時間登り続けただろうか、頂上にある展望台の床がようやく見えてきた。そしてついに頂上に到着した。

「ヤホーッ!!」
頂上は信じられないくらい見晴らしがよく、さらに周りの高い巨木の頭をすぐ近くで見ることができた。最高に幸せな気分だった。


グロスターツリー
「グロスターツリー」の木登りに挑戦。木の真ん中辺りにいるのが僕。思ったよりも揺れなかった

その明後日には、また別の方法で巨木を見ることができた。それはワルポール・ノーナラップ国立公園にある「ツリートップウォーク」という遊歩道で、何と地上40mに橋が架かっていて、歩きながら巨木の森を眺められるというものなのだ。

エントランスで入場料を払いワクワクしながら遊歩道を歩いて行くと、これが高くなるほどグラグラ揺れる。人がひとり歩くだけでユッサユッサ、ふたり歩くと、さらに激しくてもうグワングワンという感じ。

そんなわけで「ツリートップウォーク」の揺れだけはちょっと辛かったが、地上から巨木をただ眺めるだけではなく、直接その木に触れて登ることができたり、高い場所から巨木が見られるというは、今までになかったスタイルなのでとても新鮮だった。
オーストラリアの巨木訪問は他では味わえない、心に強く残るものであった。

取材・文/藤原かんいち&ヒロコ (2004/12/04)

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