BBB MAGAZINE

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    2018.04.30 / Vol.27

    ツーリングキャンプ面白体験談

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まだまだ寒い日が続いている。これまで国内外で数えきれないほどツーリングキャンプをしてきた。もちろん何事もなく楽しく、キャンプの一夜を過ごしたいのだが、自然が相手なので予想外のことが起こることもある。良いこと、悪いこと、困ったこと、驚いたこといろんなことがあった。そこで今回は、キャンプツーリングをするのはまだ辛い季節なので、これまでのキャンプツーリングで思い出に残っているエピソードをいくつかご紹介します。

1.感動のオーロラ体験(カナダ)

カナディアンロッキーのキャンプ場
カナディアンロッキーのキャンプ場

50ccのスーパーカブ2台、夫婦で日本から遠く離れたカナダの地を旅していた。森、山、湖、川、氷河などすべてが美しい。アメリカ大陸の北の端にあるトップ・オブ・ザ・ワールド・ハイウェイを走り、大河ユーコン川の近くにあるドーソンシティという町にあるホステル&キャンプ場にたどり着いた。
受付に行くとバンガローがあるというので、そこに泊まることにする。夕方、ベッドで休んでいると外から日本語らしき言葉が聞こえてきた。「えっ? 日本人がいるの?!」驚いて外に飛び出すと、何と若い男性の二人組がテントを張っていた。向こうもまさか日本人がこんな僻地にいるとは思わなかったらしく、目を白黒させている。

話を聞くとユーコン川をカヌーツーリングしているという。久しぶりに会った日本人旅行者、それもカヌーの話に興味深々の僕たちは、夜になると外に焚火を作り、火を囲みながらいろんな話をした。
すると二人組がカヌーの上で何度かオーロラを見たと話し始めた。オーロラと言えば冬のイメージ。夏の8月には見られないと勝手に思っていたが、日が沈めば見られるらしい。あとはオーロラが見える日の気象条件があり、晴天、無風、気温が低い日は見られる可能性が高いと教えてくれた。

カナダで初めて見たオーロラ
カナダで初めて見たオーロラ

「じゃぁ、今日なんて、まさにそんな感じじゃない?」「確かにねー!」  みんなで盛り上がる。夜11時頃になってようやく太陽は森に沈んだ。そのあとも焚火を囲みながらの旅談義、話は尽きることがなかった。しばらくしてふと夜空を見上げると、不思議な形の雲が浮かんでいた。

「あれ何だろうね?」
「あれ?オーロラだったりして」
「まさか」
「いや、そうだよ、オーロラだよ!!」

見ていると雲のように見えた光はどんどん広がり、カーテンのように長くなり、さらにゆらゆらと揺れ始めた。正真正銘のオーロラだ。まさか本当にみられると思わなかった僕たちは大興奮。

「わーっ!」「スゴイ!スゴイ!!」「きれいだね!」「感動!!」

叫び声をあげながら、空を見上げた。消えるまでどれくらいの時間だったのか覚えていないほど夢中になってオーロラを見ていた。それは一生忘れることのない、感動の夜となった。

2.まるで動物園のゴリラ気分?(ガボン)

バイクを止めると人が集まってくる
バイクを止めると人が集まってくる

これは原付バイク、ホンダゴリラでアフリカを旅していたときのはなし。場所はアフリカ中部のカメルーン。アフリカは大きな町以外はホテルが少ないので、小さな集落に宿泊する時はほとんどがテントだった。

その日、夕刻に着いた村にはホテルらしきものはなかった。村の中心に空き地のような、広場のような場所があったので、歩いていた村人に「ここにテントを張っても大丈夫か?」聞いてみる。ガボンの公用語はフランス語。僕の下手なフランス語が通じたかどうかわからないが、人から人につながり最後には酋長らしき年配の人と話すことに。そして最後、無事キャンプの許可をもらうことができた。

現地の人はみんな親切だった
現地の人はみんな親切だった

そんなことをしている時点ですでに10人以上の野次馬が僕の周りに集まっていて、テントを張り始めると、さらに人がどんどん集まり、気が付くと村人全員がいるんじゃないかというくらい黒山の人だかりになった。

おそらくテントを初めて見るのだろう。テントが組み上がると「わーっ!」と声が上がり、ファスナーを開けて中に入るとさらに「オーッ!」と大歓声が上がった。何と素直な反応なんだ。しかしその後もテントから3mくらい離れたところから離れず、全員で僕の行動ひとつひとつを刺すような視線でジッと見ている。ここまで好奇の目で見られ続けると、さすがに落ち着かない。

結局、夜になって僕がテントに入り「ボンニュイ!(おやすみ)」と手を振ると、ようやく村人たちは家へ帰っていた。しかし、静かに過ごせたのは夜だけ。夜が明けると同時に人がドッと大集合。もう完全に村のイベントになっていた(笑)。僕を見て何が面白いのかな?不思議に思うが、その時初めて動物園のゴリラの気持ちがわかったような気がした。

3.オーストラリアスタイルキャンプ(オーストラリア)

キャンプ場で出会ったライダーと
キャンプ場で出会ったライダーと

僕が初めてバイクで走った海外がオーストラリア。各地でキャンプをしながらぐるっと一周したのだが、日本とキャンプの文化の違いがとても面白かった。まず、若者も老人も関係なく、キャンプをするのは当たり前。日本とは違って、キャンプという文化が完全に根付いていることがわかった。観光地や海や川のある自然豊かな場所だけでなく、どこに行っても温水シャワーや水洗トイレなど設備の整ったキャンプ場が整っていて、さらにそれが大都市にもあるのは驚きだった。

またキャンピングカーで旅行している定年退職した夫婦にもたくさん出会った。みんな親しく接してくれ、こんな風に第二の人生を楽しむのも悪くないなと思った。最近は日本も同じような年代の夫婦が車での長期旅行を楽しむようになったが、オーストラリアでは30年前からそれが当たり前の光景だった。キャンプ場で出会い、仲良くなった夫婦同志が、それから2夫婦、3夫婦となって一緒に旅しているという人たちもいた。

また日本人のように毎日忙しく動き回るのではなく、気に入ったキャンプ場で今日は一日ソファーでゆっくり読書、今日はプールで泳いでリフレッシュ、今日は旅友達とおしゃべり...という感じで、ゆったり過ごしているのが素敵だと思った。

こんなキャンピングカー初めて見た
こんなキャンピングカー初めて見た

そんな夫婦たちは仲良くなると必ず僕に住所交換を求めてきた。これはオーストラリア旅行者同士の『あるある』で、もし僕がそのあと、その人の住む町の近くを通ることがわかると「私の町に来たら電話をくれ、私の家に招待するから」と言ってくれる人がたくさんいた。実際にその後家を訪ねて、泊めてもらったことが何度かあった。そんな風に国籍を越えて気さくに接してくれるオーストラリア人がとても好きだった。

またキャンプスタイルも、ちょっとした空地や河原などにキャンピングカーを止めて宿泊している人も多かった。土地が広く、人もいない原野、うるさく言う住民もいない、大らかで、何もかもがのびのびとしている。さらに面白かったのが、ほとんどの人たちが焚火をしていること。それがオーストラリアスタイルなのだろう。僕もすっかり影響を受けて、毎晩焚火をするようになった。

どんな場所でも僕が近くにテントを張ると必ず「こっちに来て一緒にビールを飲まないか?」と気さくに声をかけてくれた。とにかくキャンプ好きで、フレンドリーなオーストラリア人のおかげで、最高の旅となった。

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