BBB MAGAZINE

  • 全国「旅ごはん!」バイク紀行

    2010.12.25 / Vol.12

    味福の中華ちらし(北海道帯広市)

CREDIT

    • ライター
    • 執筆

    藤原かんいち

    • 撮影

    藤原かんいち

    • バイク

    リトルカブ

納沙布岬
最東端の納沙布岬にて。この日はとても天気が良くて北方領土がよく見えた。

北海道の帯広市に住む、旅の友人であるカオルを6年ぶりに訪ねた。1987年、僕は360度の地平線をバイクで思い切り走りたい、ただその夢のために、原付バイクでオーストラリア大陸一周する旅に出た。半年がかりの旅だったが、その道中で知り合ったのがカオル。当時彼女はシンという男とふたり自転車でオーストラリアの旅している途中だった。同年代で同じような旅をしていたこともあり、出会った瞬間から意気投合。

南オーストラリア州のポートオーガスタという小さな町の公園で3日間一緒に過ごし、お互いの夢、将来のこと…満天の星空を眺めながらいろんな話を熱く語り合った。青春ですね〜(笑)。それ以来の仲で、場所を変えながら、数年に一回、北海道を訪れるときは大抵カオルの家を訪ねていた。

釧路のレンガ倉庫
異国情緒漂う釧路のレンガ倉庫。北海道は自然だけじゃなくこんな風景もある。

元気そうなカオルと懐かしい昔話に花を咲かせている途中、長い年月帯広に住んでいるんだからおいしい食べ物も知ってるじゃないかと思い、帯広のおもしろい名物料理はないか聞いてみる。

幸福駅
大昔話題になった幸福駅の駅舎はいまも健在。無数のカードが貼られている。

「ぱんちょうの豚丼は昔食べたし、六花亭も行ったでしょ…なにかあるなぁ…」「帯広の人しか知らないような、マイナーなヤツがいいんだけど」「えーっ、そんなのあるかなぁ…」「頑張って思い出してくれ〜っ」「あっ、そうだ、中華ちらしって食べたことある?」「中華ちらし?中華料理なのにちらしなの、初めて聞いた」「これ結構おいしいのよ、私も最近食べてないから食べてみようかな」「いいね!行ってみよう!」ってことで話がまとまると、町へ繰り出した。

ばんえい競馬
馬券を買ってばんえい競馬も楽しみました。結果の方は聞かないでください

着いたのは帯広市内の住宅地にある「味福」という店だった。見た感じはどこにでもありそうな何の変哲もない中華屋さん。だが良く見ると、外に立っているノボリにデカデカと「中華ちらし」と書いてあるじゃないか。どうやら帯広市内では中華の一般的メニューらしい。ここで期待度がグーンとアップする。さあ、入ろうか。ガラガラガラ…引き戸を開けると「いらっしゃいませ!」元気のいいおばさんの声が飛んできた。

カオルちゃん
入口はこんな感じ。帯広に住むカオルちゃんが紹介してくれました。感謝!

昼を過ぎているため客は一組しかいない。カウンターではなくテーブル席に腰を下ろす。食べるのは「中華ちらし」と決めているが、一応メニューを開いてどんなものがあるのかチェック。すると「おおお〜っ!」中華屋にあってはならない、スゴイものを発見してしまった。何と、にぎり寿司、ちらし寿司、のり巻きなどなど寿司メニューがあるじゃないか。普通じゃありえない。あのおばちゃんが握るのかな?何だか想像がつかない。カオルに聞くと彼女も寿司があるのは知らなかったという。(後で寿司屋の姉妹店であることが判明)

中華ちらし
中華ちらし。ちらし寿司のように具沢山なところからこの名が付いたらしい。
中華ちらし
ボリューム満点食べ応え十分。具が多すぎてごはんがほとんど見えません。

10分ほど待つと出てきた。目の前に現れた中華ちらしは、なんだか限りなく中華丼に近い雰囲気(笑)。野菜炒めに炒り玉子を絡めた感じといえばわかりやすいだろうか。てっぺんに乗っている赤い紅しょうが食欲をそそる。いくぞ〜。レンゲで具をザクッと掬う。若干とろみがついているようだが、あんかけという程ドロッとしていない。「じゃ、いただきます!」パクリと口に運ぶ。

硬すぎず、柔らかすぎず丁度いい食感だ。ごはんの上にもやし、タマネギ、人参、きくらげ、豚肉、イカ、玉子など具がたくさん、一度にいろんなものが食べられる。味付けはオーソドックスな甘口の醤油、まさにガテン系のランチという感じだ。どんどん食が進む。これは万年ハラペコ野郎の僕にピッタリのメニュー。ペロリと完食してしまった。ごちそうさま!新しい味ではないけど、安心できる庶民の味。帯広の味だった。

ハルニレの木
豊頃町のシンボルにもなっているハルニレの木。広々とした草原に立っている。

だが一つだけ気になったことがあった。それは料理ではなくて「中華飯」という別メニューがあったこと。この2つは一体…どこがどんな風に違うのか?味付けは?具材は?てっぺんに乗っかっているのは紅しょうが、それともうずらの玉子!?。やけに気になる。2つを比べるためにいつか中華飯も食べてみたい。それにしても、北海道といえば海の幸や肉料理を思い浮かべるけど、それ以外にもおいしいものがたくさんあるんだな。

十勝平野
十勝平野には広大な農地が広がっている。日本離れした風景がどこまでも続く。

雄大な十勝平野の中心地である帯広は、北海道のほぼ真ん中に位置している。パッチワークの美瑛、温泉と絶景の層雲峡、パノラマ展望の日勝峠、大自然の屈斜路湖、北海道屈指の港町釧路、白波打ち寄せる襟裳岬等々…

北海道屈指のツーリングスポットが放射状に点在しているため、帯広はベースキャンプとして超おすすめ。いろんな顔を持った北海道を楽しめる場所、帯広。来年の夏はぜひ、北海道ツーリングに中華ちらしを加えちゃいましょう!

層雲峡
険しい絶壁が迫る層雲峡。自然が造り上げた風景は人の心を無言で圧倒する。

かんいち的採点表

あじ:

ボリューム:

値段:

中華ちらし 630円(税込)

~今回の旅ごはんinfo~

味福
住所:北海道帯広市西2条南20丁目1-3
TEL: 0155-25-7070
定休日:毎週水曜日

味福

人気コンテンツ