BBB MAGAZINE

  • 全国「旅ごはん!」バイク紀行

    2011.12.25 / Vol.24

    マウンテンの甘口抹茶小倉スパ(愛知県名古屋市)

CREDIT

    • ライター
    • 執筆

    藤原かんいち

    • 撮影

    藤原かんいち

    • バイク

    リトルカブ

名古屋
道幅が広い名古屋はバイクで走りやすい街のひとつ。食べ物もおいしい。

いまから遡ること12年前、僕はインターネットを駆使した日本一周の旅をしていた。現地からパソコンを使ってリアルタイムでバイク旅の模様を発信。その頃のインターネットはいまのように繋ぎ放題ではなく、使った時間の分だけ料金がかかるシステムで、情報が得られるとあわてて通信を切断するというアナログな時代だった。

名古屋城
四季折々の美しい花が楽しめる名古屋城。天守閣からの展望も素晴らしい。

なぜこんな話をするかというと、その頃に出会った全国の旅仲間たちから、よく聞かされていた店があったからだ。それは名古屋にある「喫茶マウンテン」。デカ盛りや奇抜なメニューが目白押しのお店で「○○はさすがに食えなかった!」「マウンテンへ行ったら絶対に○○を食うべし!」「あれは食い物じゃない!」等々いろんな噂が飛び込んできた。一度も行ったことがないのに、話を聞いただけでワクワクする店はそう多くない。いつか行ってみたいと思っていたが、いつもタイミングを逃していた。そんな約束の地マウンテンへ、今回満を持して行くことにした。10年以上も聞き続けている噂は果たして本当なのか?その真相を確かめるために名古屋へ向かった。

看板
大きなこの看板が目印。建物は高原の山荘のような雰囲気なのですぐにわかる。

インターネットでチェックすると「マウンテン」は意外な場所にあった。名前の響きから郊外にあるのかと思っていたが、名古屋駅からわずか10kmのところにあった。近づくと周りは大学や高校が多い学園エリア、静かな住宅地になった。丘へ向かって登っていると「マウンテン」と書かれた手書き看板が目に飛び込んでくる。住宅地に何とも不釣り合いな看板なのだが、逆にそれが「マウンテン」らしく、気分を盛り上げてくれる。

万松寺通り
ツーリングのついでに、にぎやかな万松寺通りで買い物しちゃいましょう!

昼時ということもあり駐車場はほぼ満車。山荘風の建物のドアを開けると、おしゃれな女子が明るい笑顔でテーブル席へ案内してくれた。年配の夫婦が経営していると聞いていたので、ちょっとビックリする。見たところ店内の8割が埋まっている、学生のグループ、会社員、カップル、観光客風...客層がワイドだ。

>名古屋市周辺
名古屋市周辺は川が多いので、時々河原にバイクを止めてのんびり休憩しよう。

壁に手書きのメニュー「あつげしょう」「赤いワンピース」「スパイス合衆国」等...一体どんな料理なのか?想像が付かないメニューがいくつも並んでいる。さらにテーブルのメニューを開くと文字がビッシリ。それも定番の洋食から、過去一度も聞いたことも見たこともないメニューまで100種類はありそうだ。「甘口イチゴスパ」「甘口バナナスパ」「なべスパ」「和風パフェ」「イカスミぞうすい」「ニワトリピラフ」...気になるメニューだらけだが、伝説の一品として語り継がれている「甘口抹茶小倉スパ」を注文する。登山に例えたら、いきなり最高峰のチョモランマに挑戦する気分。

甘口抹茶小倉スパ
甘口抹茶小倉スパ。これをパスタと呼ぶかそれともスイーツと呼ぶかは自由だ
抹茶スパ
抹茶スパと生クリームの組み合わせは悪くないけど、その量が問題だ(笑)

10分ほど待つとテーブルに運ばれてくる。「うおおおっ!」見た瞬間、これまで一度も発したことのない唸り声が口から飛び出した。緑色のスパゲティの上に生クリームと小倉あん、さらに桃とチェリー。この色と組み合わせのインパクト、半端じゃない。パスタのはずなのに見た目は完全にスイーツじゃん。

「いただきます!」一応スパゲティ風にフォークに巻き付け、生クリームを絡めて口に入れる。「んーっ!」麺生地に抹茶が練り込んであるのか、口の中に抹茶とクリームの味がまったりと広がる。何だろう、まずくないけどおいしくもない、この微妙な感じ(笑)。いままで食べたことのない不思議ワールドに引きずり込まれる。パスタも抹茶もクリームも小倉もどれも大好きだけど、一緒にしなくていいだろ!という胃袋の突っ込みが聞こえきそうだ。

国道247号
知多半島を周遊する国道247号は変化に富んでいるのでツーリングに最適。

それでも食べ進めていくうちに胃袋も慣れてきて、普通に食べられるようになる。味はそこそこ行けるのだが、とにかくこれだけ甘いものをこれほど大量に食べたことがない。途中で何度か休みながら、時々水でノドを潤し、30分ほどかけてついに完食した!ある意味大満足。そこにはいつもの食事で感じることのない達成感があった。ひとつの山を制覇したような気分なのだ。そうか、これがマウンテンなのか。

野間灯台
知多半島の野間灯台はツーリングでぜひ立ち寄りたいおすすめスポット。

マニアの間では喫茶マウンテンは山に例えられる。店へ行くことを「登山」、完食をすれば「登頂」、食べ切れなかった場合は「下山」。そして食後に気分が悪くなったら「遭難」と言われているらしい。何だかわかる気がする。こんな風に言われる喫茶店は全国でも「マウンテン」だけだろう、それはみんなに愛されている証拠でもある。ぜひ、名古屋で一度「登山」しませんか?

道の駅安城デンパーク
道の駅安城デンパークの並木はとても美しく、まるでヨーロッパのよう。

かんいち的採点表

あじ:

ボリューム:

値段:

甘口抹茶小倉スパ 800円(税込)

~今回の旅ごはんinfo~

喫茶マウンテン
住所:愛知県名古屋市昭和区滝川町47-86
TEL: 052-832-0897
定休日:月曜日(祝日の場合は営業、翌火曜日が休みになる)

喫茶マウンテン

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