BBB MAGAZINE

  • 藤原かんいち電動バイク世界一周 夢大陸オーストラリア編

    2008.11.23 / Vol.11

    「初めてのダート走行」

CREDIT

    • ライター
    • 執筆

    藤原かんいち

    • 撮影

    藤原かんいち

    • バイク

    モトラ

VOL.11 「初めてのダート走行」[夢大陸オーストラリア - 番外編 -]

3泊4日で走り抜け、ポート・ヘッドランドに到着。
ビルの並ぶ都会を想像していたが、予想していたよりも町は小さく、赤い砂が町中を覆い尽くす、煤けた町だった。

変わった風景
これまでに見たこともない変わった風景にワクワク。

ポートヘッドランドを出るとダート走行練習のため、内陸ルートへハンドルを向けた。半日ほどで舗装が終わりダートが始まる。初めてのダートだが思っていたほどデコボコは少なく、地面も平らで意外と走りやすい。40km近いハイペースで走れるほど、これなら舗装路と遜色ない走りができそうだ。
道は徐々にカーブが多くなり砂漠から山がちな風景に変わってきた。ゴツゴツとした荒々しい絶壁の岩肌が両側に迫る、これまでのオーストラリアとは違う風景に興奮。しかし、これまでは99パーセントが直線の道路だったので、峠道のような急カーブを曲がり切れず、崖に突っ込みそうになり何度も冷や汗をかいた。
国道1号との合流まで残り10km、夕陽を追いかけていると前方の路肩でうずくまる動物の姿が目にとまった。目を細めているとその動物はバイクの気配に気が付き、驚いて走り出した。
「うおおおっ、エミューだ!」
2匹のエミューはバタバタと僕の前を横切ると、その後をヒヨコサイズの子供がヨチヨチと追いかけて行くではないか。
その姿がカワイイのなんの。胸の奥がホンワカ温かくなる。大平原で繰り広げられた雄大な光景は、深く心に残るものだった。

再び南下の旅が始まった。

ご夫婦
道端で僕をコーヒーに誘ってくれたご夫婦。こんな時間が一番楽しい。

国道1号に合流すると、再び南下の旅が始まった。
このところ暑からず寒からずの過ごしやすい陽気が続いているせいか、走っていると自然と歌が飛び出してくる。歌はどれもなぜか小中学生の頃に覚えた歌謡曲ばかりで、小6のお楽しみ会でサングラスをかけて踊り歌ったフィンガー5を筆頭に、ピンクレディー、ゴダイゴ、松山千春、郷ひろみなどのオンパレード。
「若いうちわぁぁぁ、やりたいことぉぉぉ、何でも~でぇきるうのぉ~さわぁ...」
そして最後はいつもの西城秀樹のYMCAで締めになる。誰もいない大平原に向かって大声で歌うと、最高に気分が良かった。
おまけにヘルメットの中だとなぜかうまく聞こえるので、自分の世界に浸ってしまい周りが見えなくなる、そんなときにいきなり車に抜かれたのでビックリ、シートから5cmほど飛び上がった。
しばらく行くとさきほど追い越していった車が路肩で止まり、僕に向かって手を振っていた。何かと思いバイクを止めると 「キミのことエアーズロックとテナントクリークで見たんだよ、今日でもう3回目だぁ!」
声を弾ませながら嬉しそうに手を握った。エアーズロックっていったら、もう1ヶ月以上前じゃないか。よく覚えていたなぁ。僕は嬉しくなって、この旅ことを夢中でおしゃべりした。冷えたレモネードやクッキーをご馳走になりながら、短いながら楽しい時間を過ごした。

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