BBB MAGAZINE

  • 藤原かんいち電動バイク世界一周 夢大陸オーストラリア編

    2008.11.23 / Vol.17

    「横断日記1」

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    藤原かんいち

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    藤原かんいち

    • バイク

    モトラ

VOL.17 「横断日記1」[夢大陸オーストラリア - 番外編 -]

ナラーバー平原横断1日目は60km走行で終了とする。翌日からの本格走行に備えて早めに就寝する。

空と大地だけの世界
空と大地だけの世界。シンプルで気持ちがいい。

ナラーバー平原横断2日目。路面は思ったよりも荒れはひどくなく、時速30km近いペースで走ることができる。車も1時間に1台ぐらいはすれ違う。
道の真ん中に突然、ゲートが現れた。恐らくここが牧場の境界なのだろう。鍵はかかっておらず、鎖で止めてあるだけのよう。ここを通らなくては先へ進めないので、鎖を外して中に入る。
日が傾くと同時にカンガルーがチラホラと現れるようになった。道と平行に走る柵との間にカンガルーが紛れ込むと、柵側にも、僕が走っている道側にも逃げられずアタフタ。ついに柵へ衝突して転んでしまった。エリアの珍入者は僕の方なのに...申し訳ない。
最初の予定ではローリナに宿泊する予定だったが、結局、たどり着けず。その手前70~80kmのブッシュでテントを張った。
~深夜、突然人の気配で目を覚ます。何とテントの外に男が立ち、銃口を僕に向けているではないか。止めてくれ、僕が何をしたというんだ!? 僕はただの旅行者だよ。お願いだ、助けてくれ~
あああ~っ。ハタと我に返る。よかった、夢か。しかし、何てリアルな夢だ。恐る恐るファスナーを開けて外を見ると、暗黙の闇が静かに広がっていた。

ナラーバー平原横断3日目

地面から突きだした岩
地面から突きだした岩がくせ者。

ナラーバー平原横断3日目。昼、食料の手に入る最初の町「ローリナ」に到着。町といっても、ザッと見たところ家は20件あるかないかの小さな集落だ。一応学校もあるようで子供たちが校庭で楽しそうに遊んでいた。
近くを歩いていた住民らしき人に声をかけ、ストアの場所を尋ねる。ストアに入ると次の町「クック」までの食料2~3日分のパンや米、ラーメンなどを買い込む。さらに手持ちの水筒6リットル全て水を満杯にしておく。これで完璧だ。
これまではダートだが一応道路らしきカタチを造っていたがローリナを出ると、通過した車のタイヤがつくった轍が放射線状に数本伸びているだけ。道は姿を消した。
まあ、道がなくても線路沿いを進めばいいので、ルートを見失う心配はないが、道ではないところを走るのはやはり緊張する。
線路と自分の位置を確認しながら、走りやすい轍を選び進んで行く。路面からもの凄い数の岩が飛び出しているので、走りにくくて仕方がない。始めの頃は避けながら走っていたが、これじゃ何日かかるかわからない。途中から岩にぶつかるのを覚悟で、一定以上の速度を保つようにした。とにかく進まなくては...
何本かある轍で岩の少ない轍を選びながら進むが、思いようにペースが上がらず、時速30kmにも満たないノロノロ走行が続く。
地面ばかりに気を取られていたが、何気なくバイクを止めて視線を上げると、背の高い木は姿を消し、僕はどこまでも果てしない平原が続く360度地平線の世界に囲まれていた。
「スゲーッ、スゴイよ!」

正真正銘の360度地平線

僕が求めていた、正真正銘の360度地平線が広がっていたのだ。あまりに感動的過ぎて、うまく言葉にできない。大きな感動が、怒濤のように押し寄せてくる。
そしてまたしても涙が溢れてきた。僕が見たかった憧れの地平線が存在していたこと、そしてそこを自分が走っていることが、幸せでたまらない。頑張ってオーストラリアまで来たかいがあった、心からそう思える瞬間だった。
再び走り始めると前方にポツンと小屋が見えてきた。誰もいない大平原の真ん中に何だろう? 不思議に思いながら近づいて行くと、驚いたことにWILBAN HOTELの文字があるではないか。
「ホテルって...こんなところに泊まる人がいるの?」
窓から中を覗くと、地面も露わのボロ小屋でどう見てもホテルに見えなかった。かなりの年代物なので恐らく大昔、大陸横断鉄道の作業員たちが寝泊まりしていたのだろう。
岩地獄はこれでもかと言うほど続く。まるで拷問を受けている気分だ。時折岩を避けきれずに、ホイールを岩にガツンガツン当るが、かまわず前進する。しかし、これではバイクにかかる負担が大きい思い、中腰で走ることにした。足をサブのサスペンションにすることで、少しでもバイクへかかる負担を減らそうと考えたのだ。
しかし、中腰体勢で長時間走行はきつく、時々休憩を取り、体力の回復を図りながら進まなければならなかった。

これは困った...

ホテル?
これがホテル?さすがに泊まる気にはなれなかった。

水を飲もうと後ろを振り返ると、後にくくりつけていた水筒が見当たらない。もしかして、やってしまったか!? どうやら振動でロープが緩み、積んでいた水筒が抜け落ちてしまったらしい。
これは困った...どう考えても残り2リットルでは不安すぎる。しかし、探し回るほどガソリンの余裕はない。そこで一か八か、1kmだけ戻って探してみることにする。もし1km走っても見つからなかったら、そのときはきっぱり諦めよう。
200m、500m、1000m...
「チクショウ! やっぱりないか...」
ガックリ肩を落とす。1km戻ったが、結局、水筒は見つからなかった。仕方がない、クックまでもつように、手持ちの水を節約して使おう。そして、クックに着いたら代用できる適当な水筒を探そう。
夕方、意気消沈しながらテント設営。テントの周りは見渡す限り地平線が気が遠くなるほど続いている。夜の帳が降りると暗闇で光を放つのは、僕のテントひとつだけとなった。恐らく半径100km内に僕以外の人間はいないだろう。何だかすごい経験をしている。
夕食のパンを囓り夜空を見上げると、こぼれんばかりの数の星たちが、キラキラと輝いていた。何より驚いたのは地平線のすぐ上まで星が輝いていることだった。それだけ空気が乾燥しているということ。そして空を白く染める天の川が、地平線から地平線へ、まるで天を2つに分けるように伸びているのもメチャクチャ感動した。
僕はいつまでも...飽きることなく夜空を眺め続けた。

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