BBB MAGAZINE

  • 全国「旅ごはん!」バイク紀行

    2010.10.25 / Vol.10

    きんたろうのガタタン定食(北海道芦別市)

CREDIT

    • ライター
    • 執筆

    藤原かんいち

    • 撮影

    藤原かんいち

    • バイク

    リトルカブ

北海道
北海道には大きな青空と眩しい緑の大地が溢れている。バイクと一緒で良かったと心から思う。

北海道の旅も2ヶ月近くになろうとしている。こんなに長くじっくりと北海道を旅したのは20年ぶりになる。変わった場所、変わらない風景、新しい発見…いろいろあるが、やっぱり北海道はいい。大きな自然の中にいると人間も自然の一部だと素直に思えるし、心もどんどんきれいに掃除されて行く。自然のパワーはやっぱり偉大だ。

上陸したのは8月下旬だった。そのころは一日何台もバイクとすれ違い、キャンプ場やライダーハウスも北の大地を満喫にやってきた旅人たちで溢れていたが9月になると徐々に減り、10月に入るとすれ違うバイクはほとんどいなくなった。そうなると思っていたが、やっぱり寂しいものだ。

リトルカブの旅
ゆっくりと歩くような速度で進んでゆくリトルカブの旅。周りの風景も近くに感じる。

出会う旅人は減ったが、食に関しては結構楽しんでいる。各地で行われるお祭りを訪ね、いろんなものを試食。また改めて北海道をゆっくり巡ってみると全道の各地で観光客を集めるために考えられた、志向を凝らしたB級グルメ的メニューや地元産の食材を生かした新名物がたくさんあることがわかった。テレビや雑誌で紹介されているものから「これは面白いかも!」「これはちょっと無理があるんじゃないか〜」…と笑ってしまうようなものまで、実にバラエティに富んでいる。

萱野駅
北海道は廃線となった駅舎が宿になっていることもある。ここ萱野駅もそのひとつ。

そんな中で「むむむっ、これは新鮮!!」と感じたのが今回のガタタン定食。北海道のど真ん中、富良野から北東方向、滝川へ向かって延びている国道38号線沿いにある芦別。「星の降る里」というキャッチフレーズを持つ芦別は自然が豊かで全面積の88%を森林が占めている。なだらかな森林地に開けた町で、その中心を空知川が悠々と流れている。ツーリングでは通過してしてしまいそうな小さな町の郷土料理が、このガタタン(含多湯)なのだ。

空知川
壮大な自然が溢れる空知川を渡る。秋深く、紅葉もずいぶんと進んでいる。

ほとんどの人がガタタンという名前を聞くのは始めてだと思う。ガタタンとはとろみのついたスープで、とんこつや鶏がらで出汁を取ったスープに野菜や海産物、豚肉、玉子などを細かく刻んだ具材に溶き玉子をいれ、とろみをつけたもの。道の駅に読んだ紹介文によると戦後中国から芦別へ引き上げてきた人が中国の家庭料理をヒントにして創作したものらしい。中華料理店「幸楽」で出したのが始まりで、当時は男たちに親しまれた料理。最近はガタタンをアレンジしたガタタンラーメンやガタタンチャーハンなども出てきているという。

きんたろう
「きんたろう」と書かれた大きな看板が国道沿い立っているのですぐわかります。

食べられる店は近くに13店舗ある。ガタタンラーメンもいいけど、やっぱりシンプルに基本のガタタンを食べてみたい。そこでなんとなく名前が気に入った「きんたろう」へ行ってみることにする。店舗は小さなビルで外壁はレンガ造りで喫茶店風だ。入り口の横に大きく「ガタタン」と書いた紙が貼ってある。胸を弾ませて店内へ入る。午後2時近くなので他に客はいない。メニューを開くとガタタンラーメンやチャーハンの他にもガタカレーうどん、ガタタンスープカレー、ガタタンうどんなどもある。どれも食べてみたいけど、ここはぐっと我慢して(笑)ガタタンのスープにおかずとごはんが付いた、ガタタン定食にする。

ガタタン
とにかく一度にいろんな具材が食べられるのがガタタンのいいところ。味付けはあっさりしてる。
ガタタン定食
ガタタン定食の全貌!あまり強いクセがないので、ごはんのおかず以外にも何でも合います。

出てきたガタタンは、中華丼の上にかかっているやつを少し水分を多目にしてスープにした感じ。食べてみるとこれが食べやすい。そして「おっ、これは何だろう?」「あっ、イカも入ってる!」いろんな具材が次から次に口の中に入ってくるのが楽しい。

味はさっぱり塩味で、しつこくないのでどんどん入って行く。ざっと具材をチェックしたところ、こんにゃく、セロリ、豚肉、シイタケ、イカ、ちくわ、かまぼこ、玉子を確認することができた。どれも好きなものばかりだ。いや唯一セロリは苦手なんだけど、でもなぜか食べやすかった。うーん、不思議だ。

タングロン
タングロンを飲んだことがある人は少ないでしょうね。食後にピッタリの味ですよ。

確かにこの味なら、ラーメンやチャーハンにも合いそうだ。ガタタン定食のおかずもなかなか充実している。エビフライ、から揚げ、サラダ、小鉢2品、ごはん、さらにタングロンが付いている。ボリューム満点でおなかいっぱいになった。この定食が850円。どの店もガタタンラーメンだけで850円前後はしているので、これはお得でしょう。ちなみにこのタングロンというのは、ここ芦別の代表飲料(一村一品)でりんご果汁と昆布エキスと天然酵素の入っている、一味違った健康飲料です。

幾寅駅
幾寅駅周辺には映画「鉄道員」に使われたセットがいまもそのまま残っている。

芦別を通る時はぜひぜひ、立ち寄ってガタタンを食べてみてください。気に入ること間違いなしですよ。道の駅のレストランでも食べられるし、道の駅へ行けば他の店の情報も得られます。旅の思い出にぜひ一度味わってみてください。

うーん、しかし…ラーメンやチャーハンにしたらどんな風に変わるのか、気になるなぁ。それに同じガタタンも店によって味は違うだろうし、ガタタンスープカレー、ガタタンリゾットもあるみたいだし、次はぜひ別メニューに挑戦したいなぁ。長かった北海道の旅も終盤、もうすぐお別れだと思うと寂しい気もするけど、旅ごはんはまだまだ続きますよ。さあ、次はどこでどんな旅ごはんを食べようか!?

親子の木
美瑛は何度訪れても新しい発見がある。遠くに見える木は「親子の木」と呼ばれている。

かんいち的採点表

あじ:

ボリューム:

値段:

ガタタン定食 850円(税込)

~今回の旅ごはんinfo~

きんたろう
住所:北海道芦別市北4条西1-3
TEL: 0124-22-8205
定休日:月曜、第2日曜日

きんたろう

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