BBB MAGAZINE

  • 藤原かんいち電動バイク世界一周 夢大陸オーストラリア編

    2008.11.24 / Vol.28

    「北部のダートロードを行く」

CREDIT

    • ライター
    • 執筆

    藤原かんいち

    • 撮影

    藤原かんいち

    • バイク

    モトラ

VOL.28 「北部のダートロードを行く」[夢大陸オーストラリア - 番外編 -]

トップスプリングスから再びダートを走り、スチュワートハイウェイへ向かかった。丸一日かけてドゥンマラに到着、これでダートロードによるオーストラリア大陸縦断達成だ。

木陰の下でひと休み
灼熱の空の下ようやく見つけた木陰の下でひと休み、至福の時

朝、ドゥンマラのスタンドでサンドイッチを食べていると、トレーラーを引いたバイクが入ってきた。トレーラーを引いたバイクは日本では珍しいが、オーストラリアでは時々見かけることがある。
話を聞くと、トレーラーは自作でジョイント部は車のものを使っているという。自作とは思えないほどきれいにできている。
ふたりの家はブリスベン、彼女と半年かけてオーストラリアを一周する計画だと教えてくれた。ホントに気さくで、笑顔の明るい、素敵なカップルだった。彼らならきっといい旅ができるだろう。
スチュワートハイウェイを50km北上して、デイリーウォーターへ。ここから再び西へ進路を取り、ケープヨークの拠点となる東海岸のケアンズを目指す。
この間もできる限りダートを走ろうと考え、全行程2000kmの内の半分がダートという、北部のダートを繋げたハードなルートを計画した。

行けるところまで行ってみよう

出逢ったオージーから、このルートは川が横切っているポイントが数カ所あるという情報を得ていた。しかし、いずれも川も深さは20cm程度と聞き安心する。それくらいならモトラでも何とか行けるはずだ。完全走破は無理かもしれないが、とにかく行けるところまで行ってみよう。
デイリーウォーターを出ると幅の狭い一車線舗装路になった。周りは熱帯林がビッシリと茂り、いかにも常夏という雰囲気だ。走っているだけで何種類もの草木が視界に飛び込んでくる。これまでとはひと味違った風景が続く。
しかし、舗装路は砂を読む必要もないのでどうも緊張感が続かない。その緊張感のなさがこの異常な暑さを助長しているようで、さらに暑く感じる。
ゴーグルなしの素肌に当たる風は「暑い」を通り越して「熱い」と言った方が相応しいくらい、とにかく暑かった。まるでドライヤーの熱風を全身で浴びているような、殺人的な暑さだ。暑さに負けてロードハウスで止まる度に缶ジュースを3,4本がぶ飲みした。

悪路が始まった。

北部のジャングル
北部のジャングルを行く。これは池の堤防が氾濫したのではありません、一応道です

ボロルーラで舗装が途切れると、悪路が始まった。
急激な下り坂になったと思ったら、その先の谷底には透明な水がサラサラと流れる小川が横たわっていた。もちろん橋はない。おそらくこれが聞いていたロビンソンリバーだろう。ついに現れたかという感じだ。
アクセルと開けて一気に渡る、始めての川越えだったが、タイヤ半分ほどの深さなのでバイクから下りることもなく、簡単にクリアすることができた。
しかし、この辺りに山があると思えないんだけど...この川の源流は一体どこにあるんだろう? 不思議に思う。
その後も川が横切る度に、道は大きなアップダウンを繰り返した。
クイーンズランド州に入るとドノヒューハイウエイで苦労したあのパウダー状の砂が再び行く手を阻んだ。木々がかなり密度で生い茂っているのでエスケープする道はない。砂の海のような道をエンジンを唸らせながら、焦らずゆっくりと進んで行った。
砂の深い道は2日間続いた。木々が減ってくると不思議と砂の量も減っていった。
バークタウンの町の外れでキャンプをしていると、遠くから犬の吠える声が聞こえてきた。かなり激しい吠え方なので何かと思い、テントから顔を出すと、何と、犬がワラビー(小型カンガルー)を追いかけ回していたのでビックリ。
ピョンピョンと跳ねながら必死に逃げ回るワラビー、それを犬が吠えながら猛スピードで追いかけている。こんなのってあり? アハハハハ...。想像を絶するまさかの組み合わせに大興奮、その光景を腹を抱えて笑った。
それにしてもここ数日はうだるような暑さが続いている。テントの入口をネットにして、Tシャツ一枚になって寝ようとするが、汗がダラダラ流れてなかなか眠れない。
外に出ると少しはマシになるのだが、蚊が多いので、そう長居もできない。流れる汗をタオルで拭きながら、睡魔が襲ってくるのをひたすら待つ、辛い夜が続いた。

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