BBB MAGAZINE

  • 藤原かんいち電動バイク世界一周 夢大陸オーストラリア編

    2008.11.24 / Vol.30

    「ついに太平洋が見えた」

CREDIT

    • ライター
    • 執筆

    藤原かんいち

    • 撮影

    藤原かんいち

    • バイク

    モトラ

VOL.30 「ついに太平洋が見えた」[夢大陸オーストラリア - 番外編 -]

ケアンズまであと200km。
道は快適な舗装路となり、周りも北海道を思わせるような穏やかな風景に変わった。なだらかな丘に色とりどりの畑が広がっている。こんな風景を見ていると改めて人間が住むのはやっぱりこういう場所なんだと感じる。豊かな自然が眩しい。

親子でツーリング
ライダー同士はすぐ友だちになれる。しかし、親子でツーリングとは羨ましい

小さな町が数kmおきに点在。水や食料、ガソリンを心配する毎日からようやく開放された。
道はドンドン険しくなり、箱根の峠道さながらのカーブの連続するワインディングロードになった。周囲の木々も多くなり、休憩の度に木陰のベンチに腰掛け、清涼を楽しんだ。
そして連なる山々の向こう側に、ついにエメラルドに輝く大海が姿を現した。待ちに待った、憧れの太平洋だ。
「やった太平洋だぁ!」
うれしさがジワジワと込み上げてくる。ここまで来たらケアンズはまで後僅か。はやる気持ちを抑え、ゆっくりとモトラを走らせた。
ケアンズでは、思わぬ再会が待っていた。
町中で食事をする店を探していたところ、カワサキのニンジャに乗ったオーストラリアライダーに声をかけられた。話をよく聞いてみると、驚いたことにシドニーで同宿だった西本くんを知っているというではないか。それどころか今、日本人ふたりとケアンズのアパートを借りて住んでいると聞き、ビックリする。
ニンジャ野郎の先導で西本くんアパートへ向かう。何だかすごくワクワクする。小さなフラットのドアを開けると、そこには懐かしい顔が待っていた...
「おおお~っ、ニシモトくーん、生きてたかぁ!」
「あれ、うそ~、藤原さーん。どうしてここにいるの!?」
「アハハハ...ニンジャの人が教えてくれたんだよ」
「まあ、とにかく上がって下さい」
「で、あの後...」
それから僕たちは、まるでスロットマシンから溢れ出るコインのように、お互いの旅のいろんな出来事をしゃべり続けた。
そしてゆっくりとケアンズの夜は更けていった。

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